第30話 ジャングル
軽バンに乗ったままシャドールームを解除して、元いた場所へ戻った。
持参したペットボトルの水を含むとトンネルのような洞窟の奥へと車を走らせる。
バックミラー越しに土埃が舞う。
ライフポイント上げしたいのにグリ公らと出会わない。今は何に使うのかワカラナイけどさ。運がいいのか悪いのかって、あれ?
「道がない?」
これ以上進めない。岩盤に覆われてここで行き止まりになっていた。
「行き止まり?なんで?」
ゴツゴツした壁に円形の空間があるだけだ。
じゃ、さっきのグレムリン達はどこから現れた?車を降りようとした瞬間、
「あ、あ、あ、あ」
「エレベーター?」
俺と軽バンは見えないエレベーターに乗ったかような感覚で下降していく。
着いた先の空間はだだっ広いアマゾンのような
「ジャングル?」
ここはどこ?転送?日本?地球?空も青いし。
それにしてもこのジャングルの中は暑い、南米かって突っ込みたくなる。
トンネル内だから涼しいと思って着てきた特攻服のような上下に革のブーツが裏目に出てしまった。
すると地面に巨大な影が被さる。
うわっ!
「でた――なに…あれ…」
見上げなくても分かるほど巨大な物体が青空を舞う、、あれはサメ?!どう見てもサメだ。10m以上ありそうなホオジロザメっぽいのが翼を広げ空を飛んでる…
しかもサメのくせに首も手足もある。
「俺、、とんでもない所にきちゃったよ」
眼の前はジャングルだし、来た道に戻るにはと、後ろを振り返る。と、何なんだよ!
「後ろもジャングルじゃねーか!」
「どうやって戻るの!戻るにしても目印もないじゃん!」
怖怖軽バンから降りてみる。見ると軽バンの周りにだけ草がなかった。
これが目印なの。ムリだ。ここから移動したら猫の額のような目印を再び見つけるなんて出来っこない。
つまりこの場所を離れると帰れない?もう動けないじゃん。
ジャングルは軽バンで移動できないし…再び軽バンに乗り込む。すると
「オヨヨ――」
再び転送が始まった。
今度は上昇だ。つまり転送前の元の位置に戻って来た。
もうダンジョン確定だ。
「戻ってこれたけど、なんなんだよこのダンジョンは」
ラノベと違いすぎるだろ!初っ端から倒せっこないフライングシャークはいるし!
と、前方から大勢の話し声が響いてくる。さっきの学者らとガードマンか。
足音が大きくなり話声も鮮明になる。
「居ないじゃないか」
「先生、車の轍は奥へ続いてますよ」
いま見つかると面倒臭そうだと軽バンと共にシャドーハルームへ逃げ込んだ。
「あれ?行き止まりだ」
「先生、誰も居ませんよ」
「ここ携帯繋がるかね」
「シグナルは無いですね」
便利なシャドールームだがルームの中だと外の状況は分からない。
あいつらどうするのかな。まさか転送したりしないよな。暫く様子を見るしかない。シャドールームは元居た場所、つまり転移した場所からは移動できないようだ。
時間つぶしに飯でも食うか。持参した適当な缶詰で腹を満たす。
ついでにハウス備付のバスでシャワーを浴び、さっぱりする。
軽バンの中の銛を掴むと再びトンネル状の洞窟へと戻った。
が、誰もいない。
やつら戻ったのか転送したのか。地面を見ると戻った靴跡がない。
「転送したのか、そのままだと死ぬぞ」
「しょーがねぇなぁ」
銛を持ったまま洞窟内の転送ゾーンからジャングル側の転送ゾーンへと移動した。
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