第25話 円盤

早急に調べたいこと、つまりここが地球の何処かなのか、それとも、、

(空気は…意識体の俺は呼吸しないので空気が無くても平気だろうけど)


「じゃ、いよいよ外へ行くぞ!」(ドキドキしちゃう)南無三、どうか地球でありますように!部屋の壁と通り抜け、外へでる――


「え、えぇ――!」

なによこれ、、外で見たものは密林と草原に覆われたジャングル。

その先には港があり、反対側には遠くにそびえ立つ城っぽいっ様相の街並みも見える。

「ああ、、地球じゃない」

やっぱりか。何となくそう思ってたけど、現実視するまでは地球だと信じたかった。


嫌な予感がして、後ろを振り返る。そこはただ青空が広がってるだけだった。

何にもない。通り抜けた場所にあるはずの建物がなくなっている。


「やばい!俺の本体と逸れちゃう!」


焦って出てきた場所へUターンする。あれ、さっきの部屋だ。

も一度外へ出て、建物と思しき周辺を上下左右に飛び回ってみると、建物と思われたおよその形が掴めた。


円盤だ!フェラル国で見た円盤だ。燻し銀でコーティングされた円盤の色は見えないが、多分そうだ。

(円盤の中って意外とシンプルなんだな)などとほざいてる場合じゃないや。

それよりもここって、、どこなんだ?

進化した生態系がいるっぽいが、この国、国なのか分からないけど、町と城を作れるほどの技術はあるのだろう。


取り敢えず港を目指してみるか。

あ、まてまて、見えない円盤から離れたらこの世界で迷子になっちゃうじゃん。

ここを離れてもまた戻ってこれる目印みたいなの、何かないかな。


一度上空へ飛び上がって目印を探すか。

円盤の位置から更に上空に行き周りを見渡す。と、直ぐに見つかった。

円盤は透明化できても影までは隠せない。新緑の大地に大きな黒い影が円形状に形成されていた。


「これならOKだね。お天気次第だけど」

ここから港まで一直線だ。じゃ、さっそく港へ行ってみよう。初めての異世界人類との遭遇、ドキドキしちゃうよ。

 

意識体のまま空中をかなりのスピードで移動すると、遠くに見えたはずの港に

到着してしまった。


第一村人発見!って人じゃないし…しかもうじゃうじゃいるし。意識体じゃコミュれないし。

俺だけじゃ問題が大きすぎる。とにかく一旦戻ってジンとメデューサにこの話をしてから今後の展開を模索しなきゃ。


円盤内部に戻ると、気絶から覚めたメデューサがまだ目覚めない俺を揺り動かしたり頬を叩いたりしていた。

彼女の甲斐甲斐しさもラブドールのせいなのだろうがキュンとするものがある。

意識体のままメデューサに触れ、自分の体に触れると、おおお、吸い込まれる―

吸い込まれた意識体が自分の身体に戻った!カムバックアゲイン!よかったー。


「ジン無事か?」

『ああ、なんとかな』

ジンも無事だし、ひとまずめでたしめでたしだ。

と、メデューサがいきなりキスしてきたのには驚いた。彼女なりの愛情表現、というよりこれってラブドールの影響なのだろう。ま、美人だし嫌いじゃないな、こういうのも。(ウニョウニョしてる髪の毛を除けば)


で、ジンとメデューサに、掻い摘んでいま見てきたことを話した。

『人種並みの肢体にカエルの手足のような触手を持った粘菌生物が服を着て歩いている、のか』

「そう、もう見た瞬間コミュる自身が喪失したよ。会話もできないだろうし」


「なぁメデューサ、ここは何処なんだ?どうにかして地球へ帰れないか?」

[ここは多次元宇宙の中にある、多次元世界のひとつでしょう。私にメ゙フェストルシファー様のような能力はありません。が、円盤と多次元世界を繋ぐワープチューブ航法を駆使すれは可能です]


ワープチューブって聞いたことないけど、なんとなーく納得できちゃった。

「じゃ地球へ帰れるんだ!ルナにまた会える!じゃ帰ろう、地球へ」

[ルナ…様にですか…]

ルナ様…名前を聞いた瞬間、私の身体は熱くなり、苛立ちと不安に押し潰されそう。(これが嫉妬なのだということに後で気づくのだが)

[できません]

「できないって、どうして?」

[できなくなりました]

「ジン」

『つまり嫉妬だろ。モテる男はつらいな』

「茶化すなよ。どうすればいいんだよ」

『いますぐ抱いてやれ。それで丸く収まる』

「そんなことしてルナにバレたら大変だ!」

『ま、バレるだろうな。メデューサの口から。悪事千里を走るってな』

「ああ、そうですか」

「なぁメデューサ、俺には人格が2つあるんだ。で、片方の人格でジンてのがメデューサを抱きたがっている。好みだそうだ」

[ジン様というもう一人のダ・ン・ナ様が、私を抱いてくださる。のですか?]

『やめろ!誰にも好みってもんがあるだろう』

「おや?美人はお気に召さないと?」

『もうこの話は終わりだ!』


メデューサの気を引きながらも、気持ちを落ち着かせ、やっと地球に向けて

飛び立つことに。

その前に、石化したメ゙フェストルシファーの頭部を砕いて地表へバラ撒き、胴体も地表へ落とした。

その衝撃で胴体は2つに割れ、手足も四散した。生死は定かじゃないがこれでお別れだ。


[旦那様]

旦那様って…見つめ合うと真逆目が緋色に…とか、キミの髪もウニョゥニョだし。


[ワープチューブを使っても地球到着まで1年以上かかります。果報は寝て待て、ですので、スリープカプセルの準備が整いました。こちらへどうぞ]

「キミは?」

[私もカプセルに入ります]


それなんだけど、地球へ着いたら残りの悪魔族だか神族らと生き残りをかけて戦うことになるだろうし、このままだと勝機が見えない。

ジンと力を合わせて新技、というか隠しコマンド化してる能力を開放したい。

ヤツらと渡り合えるほどの。


「俺は暫くこのままでいい。円盤の備品使ってもいいか?」

[どうぞお使い下さい。私もお付き合いさせて頂きます]

えっ…

[ではワープチューブ航行が整いましたので、これよりハイパードライブへ移行します。1年余りの旅になりますのでシャワーを浴びて着替えてきます。シャワー室に旦那様の着替えも用意してありますのでこちらへどうぞ]

というとウニョニョしてる髪の毛を…取った!取ったよ、いま!

すると金色の髪の毛が現れた。金色?地毛?

「え…それって取り外せるの…」

[これ、ただのカツラですもの]

かつらだったのかーい


妖艶な美人へと大変身をとげたメデューサ。 


シャワー室へどうぞってことは…一緒に…あ、起っちゃった。。


































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