第二章「異世界」

第24話 謎だらけな男

オエッ、、気持ち悪ぃ、、クソっ、、脱水機の中で一晩中踊らされた気分だぜ。

フラつく意識と、思考するのを嫌がる脳みそをフル回転させ周りを確認してみる。

「ここは、、どこだ?」

周りを見回すと、小部屋っぽいが窓がないただの空間。そこに俺が倒れていた。

おかしなことに、 倒れてる俺が、俺を見ていた。


まてまて。倒れてる俺を、空中から俺が見てるっておかしいだろ。


じゃ、ここにいる俺と、、倒れてる俺って、、どういう関係??

呼吸はしてるし、死んでるワケじゃないし。ということは、つまり俺の身体と俺の意識体が分離したってこと? 幽体離脱ってギャグがあったけど、いまそれなの?

この状況におたついてしまい冷静な判断ができないでいる。


難しい意識体のことはひとまず置いといて、他の奴らはどうなった?

見ると少し離れたところにメデューサという女が俺と同様に気をを失って倒れていて、石にされた運転手もいた。クラウンもそのままだ。

でも運転手さん、可哀想に倒れた勢いだと思うけど、頭と手足が取れちゃって、、

バラバラだった。


それと、

魔神族のメフェストルシファーと名乗った悪魔野郎も石塊になって倒れていた。

こいつは頭と身体が分離していた。頭だけとは運のいいヤツだ。

石化して身体のバランスが崩れてしまい、床に倒れ込んだ勢いでヤツの頭が胴体から離れたんだろう。


気になるのは、以前ルナが天使族も不死だって言ってたけど、石塊になっても生きているのかだろうか。

俺にはそれを確かめる術もないけど。それに、こいつ最後に

「反転?」とか妙なことを言ってたけど。ヤバい呪文なのか?


こういう状況なのになぜか、なぜだか自分でも理解できないが、

「意識体のままじゃ好きなつまみとホッピーが飲めない」

なんて考えちまった。そうとうな脳天気だよ。


ま、こういう時はだ、この意識体を俺の身体に移せば、と、自分の身体に触れてみた。

ダメだ。手で触れるという行動はできても、押すとすり抜けてしまう。

つまり自分の身体に憑依したくてもすり抜けるだけだ。


『ジン!聞こえるか!』


ジン、頼む!答えてくれ!と何度も念じるが、全く応答なしだ。

ハァ、、ジンとコンタクトが取れない。なんなんだよ、意識体って。

しょーがない、こうしてるよりこの住居?家?の散策でもするか。

その間に本体の俺が気づくかもしれないし。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


この部屋の壁は一面バニラアイスのような白色系カラーだ。

が、見渡してもドアらしきものが見当たらない。四角に縁取られたゲートらしきものがあるだけだ。ドアがなくても意識体だから壁をすり抜けてくので関係ないけど。


通路がありそうな右方向の壁から攻めて見るか、なんだかドキドキしてきたよ。

壁から顔をだしてみる。

通路の床が平面式エスカレーターっぽい。これって人体検知式の動く歩道だろ。

意識体なので歩道は動かないけど。マジに家の中なのか?

 

そのまま真っ直ぐ進むと、突き当りは行き止まりっぽいけど、よく見ると正面とその手前に薄っすらとゲートらしきモノが。


手前のゲートを覗くが、どうやらは仮眠室らしいので、正面のゲートへ。

意識体なのでフリーパスだ。

そこは床以外全面ガラス張りの広間で、外の景色が丸見えだったのには驚いたね。


超豪華な家なのだろうか?ガラスに映る景色に近寄ってみる。

「ガラスかこれ?」

ガラスのように見えたけど、これ、でっかい画面だよ。

それにその画面に映る外の景色?映像?なのかは定かじゃないが、区分けされたそれぞれの映像には、青い空と雲、太陽、山々、海が一望できた。高低差から察するに空に浮かんでるのかと錯覚するほどの景観だ。


更に驚いたのが空間の真ん中辺りに映しだされたホロフラムが宇宙空間を立体的に映しだしており、それが思いっきり幻想的で、暫し見とれてしまった。


それにしても、ホログラムに映る星々は太陽系か銀河系なのか?それとも、、それにひとつだけ青い星が点滅してるけど、この星?つまり地球なのか?


ホログラムが気になり、意識体でホログラム映像を触ってみた。

「何かでた――床から!」

意識体に反応した?床から現れたのはストールっぽい透明感のあるイスだ。


意識体が座れるように作られていないだろうけど、座りたい欲望に駆られてストールに座ってみた。

ピッとアラーム音が鳴る。するとあら不思議、空間に計器類と思しきものや、座席の安定装置っぽいもの、操縦桿っぽいもの、は無いけど、まるでコントロールルームを彷彿させるような雰囲気だよ。だとしたらどうやってこれを作動させるんだろう。


「サッパワイヤー」(さっぱり分かんないや)


そういや明かりを照らす器具もないのにどうしてこの部屋は明るいのかな?

ま、いいや。次のルームへ行くか。来た通路を戻らず、反対側の通路へでる。


プライベートルームに食堂やジャグジー風呂、コロニーを含む食堂と思しき広間などを覗いていった。

次に地下に通じる通路を通っていくと凄いものを見つけた。武器庫だ。

理解できない武器や刀っぽい物から光線銃のような物までと多種多様だ。

戦争でもするのか?


不思議な空間もあった。その空間に保護されるように設置されたダイアモンドのような輝きを放つ巨大な球体だ。これはなんだろう?売れば、、って金には困ってないし。


地下通路の奥は進むと目の前に現れたのは、空中戦車とでも表現すればいいのだろうか。それにドローン!しかも大型のが3機。

座席が2つということは2人乗りか。

だけど通常プロペラ型のファンがある輪っかの中が空洞だ。どうやって動くのって、こりゃもうなんていうか、未知のテクノロジーだな。


ドローンの隣には、、小型の潜水挺が2機。ガラス?で囲った潜水艇のコックピットを覗いてみたが、やはり2人乗りのようだ。カッコいいけど、何のために?調査かな。

他にもホバークラフトが進化した物など冒険家の血が騒ぐような、強いて言えば大人のおもちゃがズラッとって感じだ。

やっぱいいな、こういうメカって。意識体なのに男としての血が騒いじゃうよ。

意識体から俺自身へ覚醒したなら是非乗ってみたいな。


続いて隣の倉庫っぽいのを覗くと、部品の保管庫兼制作ルームって感じだ。


しかし広いな。まだ何かありそうで興味は尽きないけど、早急に今の状況を調べなきゃだし、これらのモノが無くなる理由じゃないだろうから後でゆっくりね。


ということで、意識体のまま外の空間へと飛び出してみようと決意した。

































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る