第19話 少女対女

「あれ?」


先に葉山リカのマンションへ向かってるはずの部下に貼りつけた追跡マーカーの機能が失われている。


私が行くまでの間の葉山リサの監視を命じたけど、、


貼り付けた追跡マーカーが最後に捉えたビジョンの映像では葉山リカがマンションの玄関へ入るところを映しだしている。


「音声なしのビジョンだけでは確認不足ね」


葉山リカのマンション周辺を捜したが部下の痕跡が掴めない。


そう、明日ね。部下のお礼参りに参上するわ。勝負は・あ・し・た・よ。

 

┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈


水沢響子はマンションエントランス前で俺の帰りを待っていた。


「あ、あの時の女だ」


しつこいなぁ、

登場の仕方も昨日の賊の仲間っぽいし、、


「今晩わ、それともお早うがいいかしら。昨日部下が伺ったと思うけど、

 知らない?」


あーやっぱりコイツらかぁ。


「知らないわ。お姉さん、悪いけど私疲れてるの。帰っていいかな」

「あら、私の話はお嫌い?」

「うん、嫌いだよ」

ちょっと生意気、お仕置きが必要ね。


「ふーん、じゃ、好きになってもらわないと、ね」


(なんかヤバそう、ジン!)


「そうそう、逃げたら、次はお店に行くから、急に消えないでね」


水沢響子がポケットの中のボールペンを握った瞬間、


『喰らえっ!ラブドール!』


異性を操り人形と化し隷属させる固有能力ラブドールだ。


「(あれ、ちょっとまって)」


水沢響子は異変に思考がついていかない


「ジン、人形だから意思がなくなるのに、この女は意思があるじゃん、効いてないのラブドール?」

『いや、効いてる、この女も能力者だからな。その分、能力抵抗値が高いのだろう』


【レベルが上がりました】

 

「いまのでラブドールが+1になったぞ、レベルアップキタ――」

  

「あれれ?わたしどうなっちゃうの?」


変よ、変なのわたし、わたしの中の何かが変、でも何が変なのか、それがわからない、、


心神喪失状態で不安定な水沢響子は6分後の未来視ビジョンを覗いた。

その瞬間、水沢響子の顔は驚きの表情に変わった。


葉山リサに抱きついて甘えていたからだ。


「アナタ、私になにをしたの!」


『ラブドール!』


 (もう一発?)


「ジン、ラブドールの重ね掛けってできるの?」

『いや、知らん。が、問題ないだろ。意思は残ったままでも従順だ。ああ、そうか、女の姿だからラブドールの効果に戸惑ってるのか。喜べ、文字通りラブドールのでき上がりだ』

「あーそういうコトか。じゃ、男に戻って試してみようか」

『なにを試すんだ?』

「そりゃ、、2人でお酒を、、」


あぁ、こんな気持初めてよ、、相手も女なのに凄く愛しい。女でも構わないという激情に抗えない。


水沢響子は葉山リサに腕を絡めると最高の笑顔で微笑んだ。


「ここじゃ人目につくので、取り合えす俺のマンションに行こう」


「俺?貴女は自分に俺って言葉を使うの?」


「事情は部屋で説明するよ」

「男みたいな話し方なのね、魅力的だわ」

「それより私のマンションに行きましょ。ほら、早く」


俺は水沢響子に手を引かれ彼女のマンションへと向かった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る