第18話 少女対刺客②

男の身体が闇を舞う。

そう見えた。


男が着ていた服が[フワっと]地面に落ちた。

まるで男が服を残してこの世から消えたかのように。


男が服を残して消えた闇から黒い虫の塊が飛び出してきた。

いや、虫じゃない!黒い物体。霧だ!真っ黒い霧がブワァーーっと!

黒霧が、塊が、人の形を残したまま一直線にこっちに向かってきた!


「うわっ、なんだか小バエの集合体みたい。キモイ!」

ま、ヤバけりゃ神速ライトニングでドロンできるし余裕っちゃ余裕だけど。。

 

「逃げる素振りも無い。小娘の癖に余裕だな。オレ様をナメるなよ」

「小バエ男の癖に、人並みにしゃべれるなんてキモイんだよっ」

「小バエ男だと!コノヤロー死ねっ!」


こいつプライドの高いやつだなぁって、「やべっ」


神速ライトニングが起動する。ジンの詠唱だ。俺はファントムを唱える。

神速ライトニングの欠点は、動いてないと姿見えちゃうから。ファントムで誤魔化さなきゃ。


「なにっ!消えただと!」

「痛でっ!オレ様の身体の一部が削られた?」


俺はライトニングで敵の黒い霧に近寄ると人の形を残したままの、この黒霧を

両手で「パチン!」と叩いてみる。


「うわっ、なにこれ 両手が真っ赤。まるで血の色だ」


だけど、おもしろーい。黒霧をパチンパチン叩いてやる。おそらく敵は原始的なハエたたき攻撃を躱そうとしてるのだろう。

効果なさげだけど、殴ってみようかな。


「マッハパーンチ」


拳が赤くなるだけか。やっぱ余り効果はないなぁ。


敵はマッハ23の領域でのハエ叩き攻撃を躱すことができないでいる。

こっちからは敵は止まって見えるし、敵は身を捩って回避しようにも原始的なハエたたき攻撃ですら躱せないでいる。


「あらヤダ、お気にの白いワンピが真っ赤っ赤。お手々も真っ赤」

口調が女子化しちゃった。


ハエ叩きパンパンしてからどれくらい経ったかな?なが―い時間に感じるけど、

実際は5秒か10秒?多分。

ま、コイツの今の状態を知りたいし、ライトニングを一度解除してと。ファントムは、、解除と。


「うううう、、腕の部分が削り取られた、、てめーナニモンだ!」


「あらー元気ねーって、オマエがナニモンだよ!」

「小バエの癖に生意気にしゃべるし」


「バカにしやがって、、」


「うぅ、くそっ、腕が、痛てぇどころじゃねぇ、激痛で我慢できね―!あのヤロー、オレの力は無敵つったじゃねーか。てめぇ、俺の血を見てみろ!」


「血?」

自分の手についた血をみて、、


「うわっ、なにコレ?」


血が、掌についたヤツの血を吸収した?俺の皮膚がヤツの血を吸いこんでいる!

「キモっ!」


「うぅぅー痛てーーだが、やっと捕まえた。俺の能力イーターでお前の遺伝子情報を書き換え、お前の身体ごと乗っ取るからよ」


「あっ、あぁぁ?」

なんか変だけど、思ってたホドじゃない、というか、、あれ??


「本番はこれからだが、痛みに耐えた甲斐があったぜ。乗っ取り成功だ」


【未知のウイルスが増殖中。未知のウイルスへナノウイルスの破壊攻撃を開始。同時に未知のウイルスへ報復します…一部未知のウイルスを取り込みました。使用可能です】

 

取り込んだの?!使用可能って?!

 

俺がもたついてる隙に、敵の能力、黒霧が俺に覆いかぶさる。


「神速ライトニング!」

『まて!』

「なんで?ピンチじゃん」

『報復というのを体験してみたい』

「うっぴょ――この場面で――」


黒霧が俺に覆いかぶさると、俺の耳、鼻、口と、その他、あらゆる穴から全て黒霧が俺の体内へと入り込むが、既に報復は完了している。

 

「逆に俺がお前を取り込んでやるよっ」

『そのセリフもっと早く聞きたかったぜ』

(そこツッコむとこ?)


【取り込み済みウイルスの侵入を確認。再取り込み完了。報復が終了しました】


「あぁ、痛みが引いていく、あぁ、気持ちがいい。とても幸せな気分だ。俺の意識が消えていく、、」


「えぇーー終わり…呆気ないほど弱っ。ていうか、ナノウイルスと報復が凄いのか、、」    


「で、こいつの能力利用可能って、、えぇーーマジっすかぁぁぁキモイ――」















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