第12話 女になった男②
俺には親も兄弟もいない。いたとしても知らない。祖父母に引き取られたが、両親のいない理由を尋ねたこともない。
冬生利久こと通称リック、今は葉山リサと名乗ってるが元は24歳の男だ。
葉山リサの年齢設定は16歳だが世間的には18歳で通している。
季節は夏真っ盛りの8月、日本へ戻ってから2ヶ月が過ぎていた。
ナノウィルスで構成され身体の調子は絶好調、、なのだが毎月の生理の対応に慣れなくて辟易してる。
あの日、、
俺が日本へ密航した当日、気になるのはその後の顛末だった。
あの事件の臨時ニュースが日本でも報道されていた。
ガンダ国ロコ州刑務所に収容中の日本人死刑囚を緊急指名手配し現在捜査中、というニュースだ。
ロコ州刑務所内において5人を殺害し刑務所を脱獄。大量殺人犯として現在逃走中の日本人死刑囚ことトシヒサフユキ容疑者を指名手配中であると。
まぁ、概ねその通りなのだが、、
犯人引き渡し条約がなくとも俺が日本にいると判れば警察は動くだろう。
俺が以前住んでいたアパートには帰れない。身許もバレないようにしなければ、、
日本に帰れたのはいいが、金がない。スマホもない。キャシュカードもない。
銀行に貯金はあるが下ろせない。
日本にいないハズの俺が金を下ろしたらヤバいことになる。ま、使いたくても銀行カードも通帳も手元にないけどさ。
身体はナノウィルスの働きでシャワー要らずでいつも清潔なのは有難いが、
服は塵や埃、車の排気ガスでくすんでくる。白いから余計だ。
元男でもさ、今はさ、やっぱ16歳女子の身空で着たきりすずめはハズいじゃん。
腹も減った、喉も渇いた、着替えたい、俺はファントムを唱える。
しかたねー、背に腹はなんとやらだ。で、またやってしまった、ちょろまかし、、
日本にいないハズの俺は正規の職には就けない。
考えた末にラウンジ風クラブの戸を叩いた。
クラブのママは俺の容姿が気に入ったのか年齢と名前を確認すると即採用。
よかったー。
田舎から出てきたばかりでお金もないというと思案の末、ママさん名義のマンションに転がり込むことができた。
「やたっ!」
クラブの仕事内容は主におっちゃん、じいちゃん相手の、要はホステスだ。
元男の俺がホステス。さしずめ WoooManーーdoーーm 女の世界―って、ちがうか、、
クラブ内ではおさわり厳禁だ。俺は元男だから男に抱かれるのは願い下げだが、
金を落してくれるならオッパイやアソコをさわりたきゃどんどんさわってくれ、
気持ち悪いけど。
見ーる見ーる3千円♪さわるさわる3万円♪やーるやーるなーし♪フフッ。
でもさ、思うんだよね。アソコにチンチン入れると、どんな感じなのかなぁって
元男にはワカラナイ未知の領域だ。女になったから、、試してみる?
なーんちゃって、そんなことするわけナイジェリア
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