第11話 謎の男

「きた、きた、きたーー!」

レース結果が判っちゃいるけど今日の配当が9千万円単位だとやっぱ興奮するぜ。


毎朝恒例の女漁りの後は競馬、競艇に入り浸りが俺の日常だ。

競艇も含めると今月の純利益は20億円を軽く突破している。


男はレース結果を見届けると、結果が出ているハズのレースに100万円を賭けている。

競馬も競艇も男の賭け方は同じ要領だ。

競馬なら馬連の3連複の馬券を100万円分購入する。それも1着2着3着の結果が判明した後に、、


不思議なことに男はレースの終了後に購入した3連複馬券の配当金9千万円を受け取っている。

高額当選なので目立つハズが配当金を受け取った後の男の姿を見た者は誰もいなかった。


男は気が向くと全国の中央競馬にも顔を出す。が、他所では決して女を襲わない。

用心深いのか都内の女で満足してるのか観光が目的なのかは解らないが。


男は顔バレを警戒し、男は常にマスクと帽子とサングラスで顔を隠している。

シンデレラボーイと銘打ってマスコミが男の素性を調べようとしても男の素性は掴めなかった。


競馬競艇で100パーの勝利もカジノは違った。例えばルーレット。

1点掛けで百万、千万円だとディラーの心理的要素、俺という存在の登場により勝利確定だった未来図に変化が生じる。⑤だった筈が違う数字に変わってしまう。


人が直接操るルーレットは不確定要素在りきということらしい。


だから最初から百万円、千万円を賭けてルーレットの出目を確認し、タイムゾーンリバースを起動して時を戻してから再び出目の数字に賭けると確実に当たった。


それは俺という要素が絡むか絡まないかで確定したはずの未来が変わってくるという現象があるという事らしいが、どうでもいいや。


金を受け取るとバッグに詰めてタイムゾーンフリーズで時を止めてドロンする。

こうして何百億円も荒稼ぎしたが流石に悪目立ちする。明日からは当分レイプごっこに専念するか。


タイムフゾーンフリーズ、タイムゾーンリバースという特殊能力が俺の人生を180度変えた。


初めは注射器をもったババアと翻訳機片手に質問責めのジジイを怨んだが。いまはこんな素晴らしい能力を授けていただき、感謝感激雨霰だぜ。マジに。


あの日、、俺は東南アジア地方にあるガンダ国内でハニートラップにまんまと引っ掛かり否応無く刑務所内の隔離施設へ強制的に送られ、得体の知れない薬漬けの日々を送っていた。


赤、黄の液体を打たれると副作用に耐えきれず回りの奴らはみんな死んだ。

生き残ったのは俺だけだった。特殊能力に気付いたのは赤と黄色の混合液体を打たれた 翌々日だが、意識不明で死ぬかと思ったぜ。


その日のうちに俺の能力、タイムゾーンフリーズ、タイムゾーンリバースを検証した後、刑務所敷地内通路を走る出入り業者のトラックのタイミングを見計らい、タイムゾーンフリーズで時を止めると同時にダッシュ!


まんまとトラックの荷台へと潜り込み刑務所を抜け出し、タクシーで空港へ向かう。

時を止め、タクシーを降りる。金なんか持ってねーし。


空港到着後にタイムゾーンフリーズで時を止め、ドロンパだ。

俺は再びタイムゾーンフリーズを駆使し日本行きの飛行機へ飛び乗ったのさ。


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