第8話 女になった男

女医の鞄からカミソリと手鏡で髭を剃り、サングラスとマスク、財布から金を抜きとると不要になった鞄を捨てた。


『じゃ行くぞ、超次元能力も使わなければ宝の持腐れだろ』

「ああ、帰ろう。任せたぜ相棒」

超次元能力、神速ライトニングを起動する。おおおーー一瞬で周囲の音が消えた!

同時に頭の中でアナウンスが立て続けに流れた。


【通常思考能力を構成中、、神速領域思考能力へと進化します。神速領域での高速思考が可能になりました】


秒速思考で情報処理ができるってことは1秒が超長く感じるってことで、、いいか。 


【反射神経と動体視力を合成しました。反射視力へと進化します。反射視力と動体視力を合成しました。流動視力へと進化します。ホークアイと同期しました】


ひょーー流れてた景色が止まって見える!すっげーー歪んでた周りがよく見える!

人も車も動いてないみたいだ!

神速領域でのホークアイの特徴なのか目を左右別々に動かせたので片目で前を見ながら片目で左右確認してみる。うん、こりゃ便利だわ。名付けてカメレオンアイ、だーー!でも呼吸が、息継ぎが上手くできない、、


【空気中の酸素をナノウィルスで育成します。肺呼吸から組織呼吸へと進化します】


あ、楽になったけど、呼吸しなくていいってもう人外確定だろ。海中へも無呼吸で潜れそうだぜ。老博士が人類の宇宙進出が可能みたいなことを言ってたが万更ウソじゃなかったのかもな。


【地球周回軌道速度の取り込みに成功しました。これによりマッハ23の加速が可能になりました。空気抵抗が消滅します。加速時の空力加熱が消滅します。空気抵抗及び空力加熱消滅の上限はマッハ23までとなります】


秒で空港に着いてしまった、、飛行機、、いらねーだろ、、


神速ライトニングはまだ起動している。

「海、越えられないかな」

『楽勝だな。海上を進むのもいいが、両手を広ければ飛べるだろ。日本なら数分で着くぞ』

「やるか!」

『途中で神速効果が消えたら海の藻屑だがな』

「海のもずくなら食えるんだけどな」

『電光石火ライトニングが6分、神速ライトニングは優れているが6分、いや5分以上持続するのかは不明だ』

「なぁ、さっきのツッコミ笑うトコなんだけど、、」

シャレは通じないらしい、脳ミソの癖に。


「なぁ、ところでさ、いま、俺、裸なんだけど、、」

『神速領域に生地が耐えられなかった。困ったな』


素っ裸での買物は勘弁丸だぜ。

その辺で調達しようにもジーンズのポケットに入れといた金もサングラスも吹き飛んでナイじゃん。


盗みは泥棒の始まりだけど背に腹はかえれられない。Tシャツにアロハ、ハーパンにサンダル、サングラスにマスクをちょろまかし、神速で吹き飛ばないようにちょろまかした商品を握りしめ一路空港へと向かった。 


空港内で神速ライトニングを解除し空港のトイレで着替えると森羅万象を起動する。

ジンと相談の上、年齢設定は60歳にした。頭の中にアナウンスが流れる。


【遺伝子情報のシステムを構成してます。システム構成が完了しました。任意の性別、任意の身長、任意の体型、任意の年齢に00.1秒未満での移行が可能です】


なんですとーー♪60歳のロートルはヤメだ!女がいい!


少女A、身長156センチ、スタイル抜群の16歳で!すると一瞬で少女に。


「コンパクトをもって謎の呪文をつぶやきたい気分だぜって、声も女だ!」

おっと口調も女に変えないと。恐る恐る鏡を覗くと、、そこには、、そこそこ可愛い少女の姿があった!


うん、結構カワイイじゃん。サングラスを掛けてと、、おーークール!きゃわいい!

ジンがいう

『元が基だからな。そんなモノだろう』

なんて失礼なことをいう奴だ。


胸を触ってみる、軟らかーーボヨョンヨン!

ハーパンの中に手を入れてみる。ぴよょーー毛があるけどチンチンがナイでしゅよーその先はと、アレがこうなってて、あそこが、、ほ、本当に女だーーうっぴょーー


【任意の髪型に変更可能です】


そうなの?じゃ、ポニーテールで。


【、、ショートヘアに変更しました】


なんでよ!ってゴムがないのか、、

鏡に映る女が囁いた。可愛いからって襲わないでね。。


ライトニングだと機内で裸になっちゃうから、ファントムで。


【人体組織を再構成します。再構成が完了しました。神速領域起動中において人体組織のインビシブル化に成功しました。同領域において白色生地の同化に成功しました】


やった!Tシャツとハーパンは白だ、マスクも!(すっ飛んじゃうけど)よし、きゃわいい16歳女子のおヌードを披露しないで済んだぞ。だけど白じゃないサングラスやサンダルはダメだなぁ。破損したらまた現地調達か。


出国審査を潜り抜け、搭乗手続きの脇をすり抜け、日本行きの飛行機へ乗り込んだ。

ファントムを解除し、素知らぬ顔で空いている空席へ座るとため息が漏れた。

無賃乗車、いや無賃乗機?スミマセン、、


日本の入国審査も受けれないし、パスポートはガンダ国にあるし、ガンダ国から出国してないコトになるが仕方ない、どうにかなるさ。


日本は6月か。ちょっと早いけど、Tシャツハーパンでもオッケかな。

フライトアテンダントがウエルカムドリンクのコーラを注いでくれた。


くうぅーーー生き返るぜ!





 


















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