第5話 覚醒した男②

で、高速移動を止めるのはどうすんだ?


「誰か教えろー」と、念じるといきなり

『呼んだか?』という声が

「な、なに?誰?」


見渡しても誰も居ない。幻聴?だがハッキリ聞こえた。


『おいおい、そんなに驚いたんじゃ話もできないぜ』

(お、俺の頭の中?!)

「お、おまえは誰だ!」

『声に出さなくたって伝わるし、聞える。それとも独り言を他人に聞かせたいのか?』 


こいつは一体ナニモノなんだ?幻聴と会話するなんてとうとうおかしくなったのか?『幻聴じゃないしおかしくなってもないさ』

「じゃナニモノか答えろ!」

『オレは前頭葉を司る脳だ』

「脳?誰の」

『オマエのだよ』

「オマエ・・・おまえって言うな!」

『そこ?オマエと言われてプライドが傷つくのか?いまはその場面じゃないだろう』

「こ、こいつ、アーイエバコーユー ま、いいだろう。で、、」

『全て言わなくても解る。オレはアンタ、いや、利久の脳の一部だ』


なにー!やっちまったなー!じゃなくて、、ホンマかぁぁーー いやいや、まてみちまてみち、やべー、やっぱ薬のせいで狂ったのか?精神崩壊か?末期か?オワタか?


『で、ひとりツッコミは終わったか』


こ、こいつ、、


幻聴や狂ったんじゃないとしたら、、じゃ100歩譲ってそうだとしたらなぜ、


『なぜ会話ができるのかだろう、それは前頭葉を100%解放したからさ』

『そしたら前頭葉のオレに自我が芽生えたってワケさ』


「脳の100%解放ってそんなの信じられるか!」

『信じようが信じまいが事実だ』


「ぐっ、、じゃ、仮にだ、仮にそうなら、つまり俺は自分の脳と会話してるのか?」

『そういうことだ、理解できたら話を進めたい』

「うーーじゃこれから何と呼べばいい」

『ゼンちゃんでいい』

「ゼンちゃんって、そのまんまかよ!」

『そう言うと思った』

負けてる、俺は自分の脳に負けてる気がしてきた。。

『主に危険分子を排除するのもオレの役目だが』とゼンは思考したが利久には伝わらなかった。


非現実的な相談相手が出来たのはいいとして。

「で、ゼンは何か役に立つのか?」

『そうだな、まず電光石火をノーマルに戻そう』

「あ、周りが騒がしくなった。音か、なるほどね。周りの景色も穏やかだ。

どうやった?あとなぜ急に高速移動したんだ?」

『オフと念じれば解除する。高速移動したのはいきなり加速領域の能力が覚醒したからだろう』


こりゃもう人の想像外の出来事だし。もうふーんそうなんだ。と言うしかないや。

それより

「なら他に何か別の能力があったり?」

『神をも凌ぐ能力の反魂+だが今は条件が整わない』

「ハンコ?+?なにそれ意味不明だけど?」


『いいから聞け』

『脳が解放され30倍の高速移動が可能なのはご存じの通りだ。同じく筋力解放で力が20倍に増幅、視力解放(ホークアイ)で視細胞が20倍に増幅、聴力が20倍、嗅覚も同様だ。今は右脳左脳共に30パーセントしか解放できていないが、全脳が100パーセント解放されれば神をも凌ぐ能力が覚醒し未知の領域へと進むだろう』


なーにぃーーボクちゃん人外確定!

「 30倍でって、、人間か俺」

普段それぞれの能力は勝手に起動しないとのことだが、

ゼン曰く、神をも凌ぐ能力とは右脳左脳が完全覚醒したときに次元をも超える超次元能力というモノのことらしいが、超えるとどうなっちゃうのかはゼンにもワカラナイとか。


特殊能力は4つ。


電光石火は 目で追うのが不可能なほど素早く動けるのだが既に経験済みだ。


弛緩麻痺パラダイスは生物の神経を麻痺させ死に至らしめる能力だという。


ラブドールは相手に触れるか2m以内の距離で相手の瞳を見つめると異性を生きた

人形として自由に操れるという能力らしい。

(コレは、、す、凄いぞ、なにが凄いって、、)


最後のステルスは光学迷彩みたいな能力らしい。でも服着てたらダメじゃん。

でしょ?てことは素っ裸にならなきゃ、、は、ハズい。


で、ゼン曰く100パーセント解放された前頭葉を主体に30パーセントずつ解放された右脳と左脳がシステム化した結果の能力なのだと。(うん、さっぱり解らん)


これを聞いてからもう俺的には人外確定だし半覚醒中の右脳左脳が完全覚醒したら脳圧と膨張熱で風船が弾ける如くバーーンじゃないの?でしょ?

脳の完全覚醒などしないでいいやと心からそう思うのだった。


その後ゼンとのやりとりで個々の能力を発現させるには手順があるとのこと。


電光石火、ステルス、筋力増強、ホークアイという能力は常時発動可能だが

ラブドールは2m以上の距離からでも効果があるのかは疑問だが、相手の瞳(つまり眼)を覗く必要があり、


弛緩麻痺は近づいで相手の瞳を覗くか相手の身体に触れるかしないと発動しないという面倒臭い代物だ。

そういうわけで能力を使うタイミングはゼンに任せることにしたが、基本呼ばないとゼンは出てこないらしい。

頼りになるのかならないのか分からないヤツだ。 それにしても自分の脳と会話するなんて世界広しといえど俺だけだろう。うん、マチガイナイ。


じゃ早速試そうか。するとゼンが身体能力が強化された高速領域で使わないと筋力だけでは余り意味がないと言い出す。その理由を問うと

『やってみれば解る』

「ああ、そうですかー!」

その言い方、なんかムカつく。


まず右拳にタオルを巻いてと、立木に向かって筋力3倍UPで突きーー!

ガシッと立木が大きく揺れ葉が散り立木に拳の形が残るも

「痛っっーーてーー」

くぅーーと涙がちょちょびれそうになる。

やばい拳が・・・タオルを外すと拳の部分が赤向けて骨が飛び出しそうになっていた。筋力3倍UPでモノを殴るとこうなるんだ・・・筋力増強しても骨は骨なのか。

箸持てるかな・・・


ジャンプはどうだろう、足全体に筋力3倍UPで

「ジャーーンプ」

おーーすっげぇーー高さは3m?4m?足を縮めればもっとイケるな。

これが3mオーバージャンプの景色かぁ。

ドーンと着地ーー、ほ、ほし、星が目の前でピカッと、、

踵から頭のてっぺんまでシビレた、、もっと着地の仕方を工夫しなければヤバイ。


ホークアイ、鷹ってこんな風に世界が見えるんだ。遠くのモノもハッキリクッキリ、遠く離れてても拡大できて目の前にあるみたいだ!(こ、これは、、もうあんなトコやこんなトコを、、)


聴力は倍、倍の倍、その倍で試すも便利っちゃ便利だがそ反面増幅された余計な音、周りの音まで拾うので今のところ役立たずかな・・・ホークアイとのコンビネーションとか静かな場所でならいいのかも。


反魂+って攻撃能力っぽくないよなぁ。はんこん?ハンゴン?スマホが手元にないので調べようがないけど、もし他人からスマホなど借りたら見返りに何を要求されるか、腎臓1個くれとかさ。ここでの貸し借りは御法度だ。


よし、物は試しだ。殴ってみるか自分で自分を。横っ面をバチーンとやってみた。

うん痛かった、、ただそれだけ。ヤメヤメ、分からんものは解らん!

(あ、ゼンが封印されてるみたいなコト言ってたっけ、、)


使い勝手が面倒なのもあるが概ね素晴らしい能力だと改めて実感したけど攻撃力のあるもの無いよね。筋力増強での蹴りとパンチ(拳痛いけど)位じゃん。ゼンが高速領域じゃないと余り意味がないようなことを言ってたけど。

ま、簡易武器でも作るとするか。

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