第2話 にゃん娘の楽園

 朝だ。空の「天蓋」を運行する月が朝を示した。

 魔界では、ずっと夜。闇の中で、時間は月の運航(と時計)で知る。

 人界で初めて太陽を見た時は、太陽は火の玉だ、なにこれ怖い。と思ったものだ。


 キングサイズの極上ベッドの上。

 隣には可愛い寝顔がある。だが、どこか満足げだ。

 

 俺は巨乳美女で、隣で眠る子は慎ましい体型の美少女。どちらも全裸だ。

 そう、昨夜は百合が大丈夫な従業員と、2人で乱れたのである。

 女の子が相手なら、ひたすら可愛がるのが俺の流儀だ。

 

 まあ、男が相手でも尽くす方なのではあるが。

 え?両刀使いなのかって?そうだよ。ついでに言うと性別も自由に変えられる。

 そんな奴は淫魔領の高能力者には珍しくない。


 娼館で働く女性は基本「さっきゅん」男は「いっきゅん」と呼ばれる。

 性別自由なのは「どっきゅん」と呼ばれる。俺は「どっきゅん」だね。

 とは言ってもマジな恋人ができてからは、女で固定しているのだが。

 男の体だと、彼氏が引くんだもん。だから女性の姿を心掛けている。


 隣で眠る彼女は高級娼館「ブラックリリー」の女の子。俺は店長だ。

 言っておくが店長権限とかは使ってない。

 料金も全部、店のルールにのっとっている。

 ここは74大魔王の一人である俺のプライベートルームであるので、同じ店の中にあるのだが、ちゃんと出張料金は払っている。職権乱用は嫌いなのだ。


 74大魔王には城とかないのかと言われそうだが、ある。

 だが俺はお城暮らしで使用人が何でもしてくれますvというのは嫌いなのだ。

 自分でなんでもやれてしまうし、その方が落ち着くし。


 さて、眠る彼女(名前はリュアンヌ)はそっとしておいて、俺はお風呂に入ろう。

 俺の趣味で、隣の部屋には常時温泉が湧いている。とても豪華な大浴場である。

 

 というかこの店は、何処の部屋でも温泉が楽しめるのがウリの一つだ。

 楽しくエロくゆとりの空間、がキャッチコピーである。

 最も「ブラックリリー」は高級娼館なので、1番のウリは女の子。

 下の階にある高級バーで働いている女の子から、誰か選ぶのがルールだ。

 全員、とかいうお客様も別に拒否はしていない。店はcloseになるけど。


 制服はない。高級店な事を忘れたコーディネートはしてくるなとは言っているが。

 俺に泣きついてきた場合、1回無料でお相手する事を条件に、買い物に連れ出す。

 当然その場合、服代は俺が出す。1ヶ月は困らない量を買ってやる。

 

 リュアンヌを選んだのは、たまにはロリータも「食べたい」と思ったから。

 淫魔はHを楽しんだ時に出る「精気」を食べて生きている。味も分かるのだ。

 「ブラックリリー」の面々の精気は上質でとても良い。


 湯船でそんな事を考えていたら、リュアンヌが起きてきた。

 リュアンヌは今日初めて俺のお相手だったので、俺が居ないと思って困ってるな。

「店長~!どこですかぁ」

「こっちの部屋だよ!一緒に入るか?」

「あ、店長!入ります入ります。この店のお湯って、本当に肌が綺麗になりますよね。飲んだら体調も良くなりますし」


「ところでリュアンヌ、ほくろの除去手術を受けたいと言ってるそうだな?」

「あっ、そうなんですよぉ。そしたら何故かぁ、みんなが「店長に相談しなさい」って言うんですぅ。店長、信頼できる店をご存じなんですかぁ?」

「俺の能力で何とでもなるからだな、それは。どこをどうしたいのか言ってみな」


 リュアンヌは足の付け根を指さした。欲を言えば全身のほくろをとり、ついでに頬のしみ(そばかす)も取りたいとか。

「俺なら全部今ここで、パパっと願いを叶えてやれるけど?」

「確かに店長なら安心ですけど、おいくらですか?」

「無料で1日貸し出しプレイだな。いろいろ、いい思いもさせてやるよ?」

「むしろ得するじゃないですか!店長にお願いします!」


 そう言われたので「じゃあ、始めるぞ」と声をかけ、ストップは出なかった。

 ので足の付け根のほくろと、ついでに黒ずみを消し去り、ベビーピンクにする。

 そして全身のほくろを撫でるようにして消し去り、そばかすも消し去る。

 本人に確認して、唇の色素も整え、ついでにまつげを増量してやった。

 他にもいろいろ言われたので「2回分な」と言ってから、乳首の色素沈着をなくす。耳の形も整えたし、最後には全身脱毛(永久)までした。


「こんなもんでいいか、リュアンヌ?」

「はい!店長って凄いんですね!」

「実は体の中までいじれるんだ。手術したくないけど臓器に問題がある人とか、良く  権魔にいて、呼ばれたりもするんだぞ」


 はしゃぐリュアンヌに体を洗って貰いう。

 洗い返してやって、もう一度温まって風呂から出た。

 服を着る。リュアンヌには可愛い薄紫のワンピースをプレゼントしてやった。

 「物質創造」という特殊能力で作ったものだ。高位の悪魔はよく使う。


 俺は、普段の服だ。まず、胸に揺れ防止仕様のブラジャーをつける。

 下着のブランドは「You Love Me」で統一している。チェリーレッドのブラだ。

 薄茶色の細身のスラックスに、光沢のあるブロンズ(銅)のシャツ。

 スラックスと揃いのベスト。上着は着ない。

 ただ季節柄、トレンチコートを着る。色はオーソドックスに薄茶色だ。

 服のブランドは基本ブランドは「 Reverse Pentagram」である。


 部屋の掃除は、掃除係にチップを渡して任せておく。

 きちんと契約(悪魔はこれが重要!)したプロの掃除人である。


 今日の仕事は新開店する店の指導や手伝い。

 俺はアスモデウス様から、「表淫魔領」の管理を全権委任されているからだ。

 それに加えて、俺の家は代々「表淫魔領」の世話役でもある。


 新しい店は猫獣人の専門のお店で「にゃん娘の楽園」という。

 店構えは派手だ。入口には電飾と「さっきゅん」の写真で飾られている。

「あまり高い店だと思われないようにしたくて、あえてこんな感じです」

 と「にゃん娘の楽園」の店長は言っている。本人もネコ耳だ。

 獣人は基本戦魔なので、お店で働ける娘を探すのは大変だったそうだ。


 まずは基本、衛生面での確認だ。

「病気と妊娠はどうしてる?」

「今からです。どうしたらいいのか情報がありすぎて………絞れません」

「ああ、デマが多いからなぁ」


「じゃあまずは妊娠。女の子の希望は?」

「強い子種が欲しいらしいです。子供はせいぜい3ヶ月で育つそうで、あまりデメリットもないんだけど、強い子種が欲しいと皆が言ってますね」

「なら、魔法陣の設置だな。どのレベルまで弾きたい?」

「女の子たちに相談してみます………(念話で集合をかけている)」


女の子たちが出そろった。

どこまで毛皮があるかと柄の好みは別れそうだ。

後は普通の(当然みんな可愛いのだが)さっきゅんである。


「私は中級以上………できれば上級悪魔の子種が欲しいニャー」

 と、サーバルキャットの妖艶なお姉さまが言う。

「わたしは中級も視野に入れるニャー」

 これはスコティッシュフォールドの女の子である。

「私は現状の能力だけでなく可能性も見たいニャア」

 こちらは三毛猫のお姉さんだ。


 俺はふむふむと聞き取りをして

「個別に魔法陣を作って、部屋に設置するのが良さそうだな」

「高価なのでは?」

「俺が安く作ってやるから、支払いは終わるまでの間、日当から少し引くといい」

「おいくらでしょうか………?」

「1人金貨5枚かな。オーダーメイドだ、これより安くなるのはないと思うぞ」

「確かに………信用問題も考えるとこれ以上なさそうですね、お願いします」


 俺は大理石のプレートを「亜空間収納」から取り出す。

 亜空間にほぼ無限の収納庫を作る技。

 上級悪魔なら必ずと言っていいほど持っている術だ。

 中級悪魔でも、スペースが限定されはするが持っている者が多い。


 取り出した大理石に、各自の希望を聞いて陣を描いていく。

 人数が少ないので、3時間ほどで全員のプレートができた。

 全員に喜びのキスを頂いた。おかげで気分がいい。

 強い子が産めるとみんな喜んでいた。

 てゆうか戦魔がさっきゅんになると、こんな感じになるのな。


「店長、病気は全面的にカットだな?」

「勿論ですよ!」

 俺は御影石のプレートを全部屋分の3倍の枚数取り出して店長の前に積む。

「この魔法陣で防げない病気は「病魔(ベールゼブブ領民)」だと思ってくれ」

「はい!ありがとうございます。………おいくらですか?」

「俺は管理人だからな、こっちはサービスしておくよ。

 というか必ず1部屋に1つ置くんだぞ。続き部屋や浴室にも忘れずにな?

 妊娠の方は女の子と紐つきにしてあるけどこれは「部屋」で括ってあるからな?」

 店長はコクコクと頷いて礼を言った。


「それで………もちろん遊んで行かれますよね?」

「ああ、もちろん。男の姿になったほうがいいか?」

「はい、うちの娘たちは、男性限定の契約ですので………」


 俺は男性型になる。服がそれに合わせて変化する。

 だからいつも「 Reverse Pentagram」の服を着ているのだが。

 ちなみに「You Love Me」の下着も男物に変わっている。


 女の子たちの目の色が変わる。

 今の俺は彼女たちの求める「男の上級悪魔」だからな。

 誰が相手をするかでもめたが、俺はクジを作り出して差し出した。

 当たりを引いたのは三毛猫のお姉さんだった。

 俺の腕を取り、スリスリしながら部屋に向かう。可愛い。


 部屋に入ると、白(妊娠)のプレート、全部屋に黒(病気)のプレートを設置する。

 黒とチェリーレッドのカラーリングのセクシーな部屋だった。

 三毛猫のお姉さん(名前はエリー)は以前から淫魔領で暮らしていたそうで、かなりのプロだった。スポポポンと脱衣させられる。

 いつのまにか彼女もドレスを脱ぎ去っている。


「マタタビ………使っていいニャ?」

「どんな効果があるんだ?」

「私の気分がトロンとしてきて………上がるニャ」

「ドラッグではないんだな?ならいいか」

 エリーはマタタビを食べる。確かに表情がトロンとしたな。


「お風呂に行くニャ~」

 導かれるままに風呂へ。

 今代に入って、海魔領から海藻を取るのが難作業になったため、ベールゼブブ領の多肉植物を原料とした「ローション石鹸」がたっぷり体にかかる。

 エリーが背後から抱きしめてくる。ふわっぷるんと毛皮の感触。巨乳だなぁ。

 だがすぐにローション石鹼で、つるっぷにんとした感触に変わる。


 泡立てながら全身を使って洗ってくれる。このぬるぬる感、俺は好きだ。

 全身をマッサージされ気分が乗って来る。


 さて、風呂を出ていわゆる「本番」だが………凄かった。

 体のしなりが凄いのだ、さすが猫だ。

 そのしなりが震動となって刺激される。

 悔しいが、かなり搾り取られたといえるだろう。


 体勢が変わって俺が上。

 何がどうしたとは言わないが、俺が勝ちでいいであろう。

 愛らしいアヘ顔を頂戴した。


 うん、ここは優良店になるな………女性型になっていいならまた来るのだが。

 エリーさんは妊娠するのかって?それはない、こっそり避妊魔法をかけたからな。


 開店祝いには「承認」の意味もあるでかい花束を手配しておいた。

 俺の承認がない店は客が入りにくいから大抵要求されるので、最近では「金色の大輪の薔薇」の花束が俺のだと周知させた。

 

 おいでませ、表淫魔領へ

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