陰キャの気まぐれで泣いている女の子を慰めたら、次々と絶世美女が絡んでくるようになりました

第35話 告白

　初恋は高校からそんな言葉を聞けば、誰だって、高校１年生時だと思うだろう。

「…………あれか、渚ちゃんって結構……ピュア？」

「ピュアじゃないし……多分」

「多分って、渚ちゃんって面白いね」

「面白くないから……はぁ～なんでこんなどうでもいいこと口走ってんだろう」

　恥ずかしさのあまり、顔を伏せる渚ちゃん。全く目線を合わせてくれないが、耳が真っ赤であることだけは確認できる。

「そんなに恥ずかしがるなら言わなきゃよかったのに……」

「…………波人くんは分かってない。わかってないよ」

「うん？」

「私の初恋、高校。そして今もその思いは続いてる……わかるよね？」

「………………ふぇ！？」

　脳内が一瞬バグった。思考がほんの数秒、停止した。

「それって……」

「わ、私だってこんな気持ちになる経験なんてなかったし、そもそも男の子をすきなるって感情が理解できなくて……でも、この気持ちが恋だって、私は確信持って言える……波人くん、私は波人くんの気持ちが知りたい……」

「………………」

　悲しい瞳を覗かせて、こちらに訴えかけてくる渚ちゃん。

　その言葉を聞いて俺の中で、違和感を感じた。別にその言葉を疑ったわけではない。ただ、その言葉に濁りを感じたんだ。

　まぁ、俺の勘違いの可能性は十分にある。でも、俺はもうここで、全部、洗いざらい吐き出したい。

「………………俺はもちろん、渚ちゃんのことは大好きだよ」

「………………」

「一目惚れだった。この場所で初めて会った時から、きっと俺は君に恋をしてた。この気持ちは噓じゃない。でも……」

　言葉に詰まる。また逃げ出したくなる。

　一度逃げ出したときと同じような感覚に襲われる。

　俺はまた逃げるのか？同じように。また同じ過ちを犯すのか、そんなの俺が許さない。

　言い出すんだ。俺の口。口を開け。言葉にするんだ。

　一度、失敗した、いや、逃げ出したあの時は、まだ覚悟がなかった。聞く勇気がなかった。

　人の弱さを知るのが怖かった。自分の愚かさに気付くのが恐ろしかった。そむけてきた現実に直面するのが嫌だった。

　もう、逃げないよ俺は……もう後悔なんてしたくないし、もう渚ちゃんを悲しませたくないしね。

「俺は渚ちゃんの本音が聞きたいな。いや、聞きたいよ」

「………………」

　驚く表情を俺に見せた。

　予想外の言葉が返ってきたのか、少し反応に困っていた。

大きく、目を見開いて、少し、口が開いていた。

「………波人くんはさぁ、なんで、そんなに私のことを気にしてくれるの？」

「決まってるよ………」

そんなこと、決まってる。とっくに自覚している。だから、俺には全く迷いなんてなかった。

だから、俺はその言葉をはっきりと口にする。今度は逃げない。

一言一句はっきりと……。

「渚ちゃんのこと、ものすごく大好きだから。誰よりも、誰よりも、離したくないほどに……」

それは俺の告白だった。

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1月6日に最新話を投稿します。