【2人目 看護師の女】
色白で少しやつれた印象の女性は、深呼吸すると決心したように語り始めました。
「ストレスが多い職場なんです。辞めたいなと何度も考えましたが、息子が大きな病気を抱えていて
それは許されません。
ストレスの一番の原因は、医者のセクハラでした。
腰に手を回したついでに脇腹から指を差し込んで胸を触ろうとして来るし、本当に死んで欲しいと何度も思いました。
ある日、交通事故で男の子が運ばれて来ました。
高齢者の車が突っ込む最近よくある事故で
息子と同じくらいの歳の子で、可哀想にと回復を祈りましたが、その子に脳死判定が出ました。
ですが、私はあの医者を疑っていました。
あの医者は自分の子供も臓器移植が必要な病気なので、脳死判定が出ると秘密裏に優先的に適合検査をしているんですが
ドナーのために嘘の脳死判定を出しているという噂があるんです。
私はその疑いを拭い切れませんでした。
不正を行って、命を弄んで、そんな事が許される訳がありません。
私は医者の息子のドナー判定の結果を偽造しました。
自分の息子宛に届いた不適合の書類に細工をして、ダミーを作りました。
そして次に息子の判定が行われ、奇跡的に適合し、私の息子の病状は無事回復しました。
少し手術の順番が変わっただけと思っていましたが
医者の息子さんは急速に容態が悪化して亡くなってしましました。
私は自分の息子の命と引き換えに、医者の息子さんの命を奪いました
でも後悔はありません。
それでも、その息子さんにだけは懺悔の気持ちがあるので
ここで神父様に話させて頂きました」
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