2 桜の季節の始業式日のホームルームの時間
「初めまして!」ロボット相手などということは教壇に立ったら考えない。第一印象を大切にし、声のトーンと口角を上げながら話す。
「このクラスの担任、遠藤一馬です。一年間よろしくお願いします」自己紹介に続いて学級目標やクラスのルールを話した。
人間であることは口止めされていたので言わなかった。
その後生徒全員の自己紹介の時間だ。特徴的な生徒が3人いた。
一人目はタケル。坊主頭でやんちゃそうだ。
「タケルです。趣味はサッカー。元気が取り柄です。勉強は苦手なのでみんな教えてください。あだ名でタケちゃんって呼んでください」元気で活発そうな声で話した。
こういう生徒はクラスの中心人物になり、引っ張ることができる。しかし他の生徒との揉め事も起こしやすい。ちょっと注意。
二人目はサツキ。すごく小声だ。
「サツキです。外国とのハーフです。今年からこの国に来ました。漢字が苦手なので教えてください。一年間よろしくおねがいします」ボソボソと喋る。確かにイントネーションは少し違う。
生徒は違いに敏感だ。変な意味でちょっかいかけられないように居場所を作ってあげる必要がある。
三人目はツバサ。前髪で目が隠れた男子だ。
「ツバサです。普通の人間です。コミュ障です。話しかけないでください。以上」はっきり言った。おいおいどうしたんだ。と聞くと首を横に振った。
周りの生徒も眉をひそめる。これは要注意だ。
その後は特に変わったこともなく生徒は家に帰り、一馬は翌日の準備に取り掛かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます