105話 悪夢

 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合に向かって今日の予定を確認した後、アリシアさんたちとともにマナナの森へと向かう。

 そこで、いつものようにアリシアさんたちに教わりながらモンスターと戦っていた。


「ねえ、ユーリ君、何度同じことを繰り返すのかな? そんな程度の存在を弟子になんて思えないよ」


「そうだね、アリシア。キラータイガーを倒した時には才能があるって思ったんだけどな」


 先程まで優しかったアリシアさんたちが急にぼくを責めはじめる。

 ぼくはどう返答していいものか分からなくて、言葉に詰まっていた。


「いいよ、もう。君に期待した私達がバカだったんだ」


「もうあなたには付き合っていられないよ。せいぜい1人で頑張ってね」


 そう言ってアリシアさんたちはぼくを放って去っていってしまう。

 ぼく1人だけが残されて、そのまま必死でモンスターを退治していく。……なんでぼくは1人なんだっけ? 他に誰かいたような……?

 いや、そんな事を考えている場合じゃない。目の前にいるモンスターを倒すことでしか、今の状況を乗り切ることはできない。

 あれ? そういえば、どうやって今までモンスターを倒していたんだっけ? そんなの、剣以外にないだろう。

 おもいきり敵に剣を叩きつけると、そのままモンスターは倒れていった。

 なにか手応えに違和感があるような気がしているけど、なぜだろう。

 まあ、いいか。無事に生き延びることができたのだし。アリシアさんたちに見捨てられてしまったことは悲しいけれど、このままやっていくしか無い。

 さて、つぎからの依頼はどうすればいいだろうな。ぼく1人でどこまで出来るだろう。

 そんな事を考えていると、眠気がきて意識が薄れていった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へと向かうと、サーシャさんが不機嫌そうな顔をしている。


「ユーリ様、見損ないましたわ。せっかくエルフィール家の力を使ってまであなたを支えていたのに、なんの成果も発揮できないとは。これからは、ただの冒険者として過ごしてくださいな」


 そのままサーシャさんは去っていく。仕方がないので、別の人に受付を頼んで依頼を受けていく。

 一般依頼の受け方が分からなくて、その人には結構手間をかけてしまった。

 それにしても、なぜサーシャさんはいきなりぼくを見放したのだろう。よく分からない。

 だけど、見捨てられてしまった以上はぼく1人でもやっていくしかない。

 そのままマナナの森へと向かってモンスターを討伐していく。

 マナナの森はやはり弱いモンスターばかりだ。ぼくでも問題なく倒すことが出来る。

 剣を適当に振るだけで面白いように倒れていくのだ。ぼくってこんなに強かったっけ? 別に気にすることはないか。上手く倒せるのだからそれでいいだろう。

 そのままモンスターを倒していると、急に眠気が襲ってきて、耐えきれずに眠ってしまった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へと向かうと、メルセデスたちが待っていた。いつものように、冒険の仕方を教えることになっている。

 メルセデスが使う契約技にアドバイスをしながらモンスターを倒していく。

 そういえば、どうしてメルセデスの契約技にアドバイスをしているんだっけ? まあいいか。それですることは変わらないのだし。

 そのままメルセデスたちに色々とアドバイスをしていると、突然2人は不機嫌そうな顔になった。


「何を知ったような口ばかりきいているっすか? 自惚れも大概にするっすよ。こんな人、なんで師匠になんてしちゃったんっすかね」


「まあ、他に人がいなかったんだから仕方ないわ~。それよりも、もうユーリちゃんに教わる必要はないんじゃないかしら~」


 そう言って2人は去っていく。結局2人は何が不満だったのだろう。よく分からない。

 でも、これから指導しなくなるのだから、ぼく1人でしっかりやっていかないとね。

 それにしても、なぜメルセデスたちはぼくの弟子になっていたんだっけ? まあいいか。もう関わることはないだろうし。

 悲しくはあるけれど、仕方のないことだ。これからも冒険者として活動するために、しっかりとモンスターを倒していかないとね。

 そのままモンスターを倒していると、モンスターの目の前なのに眠気が襲いかかってきて、ぼくの意識は薄れていった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へ向かうと、オリヴィエ様がそこで待っていた。そのまま、屋敷へと連れて行かれる。

 そこでは、リディさんとイーリスも待っていた。今日は一体何のようだろう。

 部屋に連れて行かれて話をしていると、突然3人は怒ったような顔になる。何か気に障ることでもしてしまったのだろうか。


「ユーリ、貴様に余が目をかけていたのは大きな間違いだったよ。もう余が貴様に会いに来ることはないだろうな」


「ユーリ殿、貴殿には失望しましたよ。それほどまでに愚かだったとは。殿下にも見込み違いというものがあるものなのですね」


「本当につまんねえやつだったよ、お前は。だが、今のうちに気づけてよかったぜ」


 そのままぼくは屋敷から追い出される。仕方ないので、それからは依頼を受けてモンスターを倒しに行った。

 モンスターを倒しながら、そもそもぼくはなぜオリヴィエ様に気に入られていたのだろうかと考えていた。

 しばらくのあいだ考えていたが、結局よくわからなかった。

 そのまま、モンスターを討伐していると、不意に眠気が襲いかかってきた。こんなところで眠る訳にはいかないと思いながらも、ぼくの意識は遠くなっていった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へ向かうと、ミーナたちが待っていた。そうだった。今日はミーナと戦いの訓練をする日だったな。

 そのままミーナと何度か戦っていると、ミーナは不満げな顔をする。


「ユーリ、君はそんなものだったんだね。君なんかをライバルだと思っていた自分が恥ずかしいよ。もう、次の機会はないだろうね」


「ミーナがライバル扱いする相手だから、どんなものかと思っていたけれど、期待外れだったわね。ミーナの目は曇っていたのかしら」


 そう言ってミーナたちは去っていく。ミーナとこれ以上競い合え無いのは悲しいことだけど、仕方のないことだ。

 それにしても、一体なぜ、ぼくたちはライバル関係になったんだっけ? 戦ったことはあるような気がするけど、それだけで?

 まあいい。予定が潰れたのだから、モンスターを討伐していればいいか。

 そして、モンスターの討伐へと向かおうとすると、突然の眠気に耐えきれなくなった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へ向かうと、フィーナとユーリヤがいた。そうか。今日は2人とモンスターを倒しに行くんだっけ。

 2人とモンスターを倒していると、2人から急に睨まれる。ぼくは何もしていないと思うけれど。


「わたしたちに任せて、ユーリさんはずいぶんと楽をしていますね。そんな人だとは思いませんでした」


「そうです……わたしの力を好き放題に使っているだけなんて、許せません……」


 そのまま2人はモンスターを放ったまま去っていった。

 追いかけたい気持ちもあったけれど、追いつくよりもぼくがモンスターに倒される方が先だろう。

 そのままモンスターと戦っていると、なぜか急に意識を失っていった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 部屋から出ると、ステラさんが待っていた。でも、いつもの優しそうな顔とはほど遠い。


「ユーリ君、この家から出ていっていただけますか? あなたの世話をする理由は、今の私にはありません」


 そのままステラさんに家から放り出されてしまう。追い出されてから考えることではないかもしれないけれど、そもそもぼくはなぜステラさんの家に住んでいたんだっけ?

 まあいい。つぎの宿を探さないとな。そうなると、宿代の分も稼がなくてはいけない。

 そのまま依頼を受けてモンスターと戦っていると、あまりの眠気に勝てなくなってしまった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 部屋から出ると、シータがぼくのことを待っていた。明らかにむくれた顔をしている。


「おにぃちゃん、もうシータのおにぃちゃんなんておもわないで」


 それだけを言ってぼくのもとから去っていく。そもそも、なんでシータはぼくの妹として一緒にいたんだっけ?

 まあ、考えても仕方のないことか。嫌われてしまったのだから、諦めるしか無い。

 それよりも、今日の依頼を達成しないと。そのままぼくはモンスターを討伐しに向かう。そして、疲れていたのか眠りについてしまった。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へ向かうと、カタリナとノーラが待っていた。そのまま依頼のモンスターを倒しに向かう。

 そこでモンスターを倒していると、2人から殺意のようなものを向けられた気がした。


「あなた、いつまであたしの足を引っ張っていれば満足なの? もううんざりだわ。せいぜい頑張って生き延びることね」


「そうだな、カタリナ。元ご主人、せいぜい達者でな」


 そのままカタリナたちは去ってしまう。ぼくはもうどうしていいのか分からなかったけど、それでも生きるためにモンスターを倒していく。

 すると、何故か立っているのに眠くなってしまい、そのまま眠りについた。


 目が覚めると、いつもの家にいた。……いつ帰ったんだっけ? まあいい。

 それよりも、今日の予定は何だったっけ。マナナの森でいつものようにモンスターを討伐すればいいのか?

 組合へと向かうと、アクアが待っていた。そのまま2人でモンスターを倒しに行く。

 そこで、アクア水を使っているぼくを見て、アクアが不満そうな顔をする。


「どうしてアクアはユーリと契約しちゃったんだろう。ユーリ、ばいばい」


 そのままアクアは去っていく。ぼくは少しの間呆然としていたが、すぐにおかしなことだと理解した。

 アクアがぼくを見捨てるわけがない。なら、これはきっと夢? それはわからないけれど、アクアとぼくの絆をぼくが疑うのか?

 その疑問を深く追求していくと、アクアとの思い出が蘇ってきた。そうだ。みんなアクアと一緒だから出会えた相手で、仲良くなれた相手なんだ。

 これまでの夢も思い出した。そして、今の状況も。アクアは今も苦しんでいる。ぼくがアクアを助けるんだ!

 そう強く誓うと、景色が歪んでいき、やがてぼくは目を覚ました。

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