ジャスティス・ボブ

Aiinegruth

Evidence

 やぁ! ぼくは正義のボブなんだ! 

 今日も正義! 正義!

 朝から鼻歌らんららん!

 

 重たい荷物を抱えて、信号を渡ろうとしているおばあちゃんがいるぞ!

 長くて曲がり角にあって危ないと近所で有名な横断歩道だ!

 間に合わないかもしれないから、代わりに、持ってあげようね!

 ずしん!

 うっ……。何だ、この、荷物の……邪悪な力は――。


「かかったな正義のボブ!」

 ……お前は、邪悪のボブ……。くそ、力が、入らない……。

「おばあちゃんの姿に騙されるからだ! お前は轢かれて死ぬのだ!」

 信号が、赤になった……。横合いから大型トラックが!


 ドン!

 

 そうして、正義のボブは死んだ。

 轢かれるまでもない。信号無視をしてしまった時点で、かれは正義のボブとして死んでしまったのだ。

 

 ところで、その横断歩道ではもう事故が起こることはなくなったという。

 惨劇を経て危険度が再認知され、看板設置や注意喚起などの対策がなされたためだ。

 

 一年経った桜並木に、露さす緑の映えるころ、

 何処かに吹かれて舞うかれは、正義の名残を、まだ知らない。


 ――正義がまたいずれ、甦るということも。


 ジャスティス・ボブ リターンズ(続くわけねえだろ!!!!)

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