第142話 ロボチューブ生配信です! その六

「はい、始まりました、はい、あ、始まりました『ご主人様チャンネル』の生配信がね、始まりました」


 画面に白ティー丸メガネ黒髪おさげの女性が現れた。丸メガネの上からグラサンをかけている。


『始まった』

『久しぶりじゃん』

『なにこの番組』


「近所に住んでるマリ助まりすけですわー!」

「助手のアンキモですわー!」


 画面に金髪縦ロールにグラサンをかけた少女と紙袋を被ったメイドロボが現れた。


「あ、先に名乗られましたね。えー」

「助手のメル蔵めるぞーです」


 画面に紙袋を被った巨乳メイドロボが現れた。


『マリ助きたー!』

『アンキモ可愛いよ』

『メル蔵ー! 待ってたぞー!』


「あ、どうも黒男くろおです。あ、もっこりぽこぽこさん、今日もね、お願いします。あ、飛んで平八郎さん、お久しぶりです。あ、しおきんさん、初めまして、見ていってくださいな」

「ご主人様! 時間がないので早速コーナーいきましょう! デュルルルルル、デン!」

「ロボゴンクエスト3やってみたー」

「パフパフパフ!」


『ロボゴンクエストwww』

『懐かしいw』

『¥3000。メル蔵がんばれ』


「あ、ロボゴンクエストはですね、あの、ロボの勇者がですね、ロボ魔王を倒すというレトロRPGですね。あ、ドバイから帰国さん、ロボチャットありがとうございます」

「このゲーム遊んだことございませんわ」

「私もです!」

「わたくしもですわー!」

「じゃあメル蔵!」

「はい!」

「メル蔵がロボ勇者ね!」

「はい!」

「他の人は好きな職業選んで!」

「わかりましたわー!」


『ここは無難にロボ勇者、ロボ戦士、ロボ僧侶、ロボ魔法使いやろなあ』

『ロボ武闘家も強いぞ』

『素早さではロボ盗賊が一番』


「あ、そろそろ決まったかな。はい、じゃあマリ助!」

「なんですの」

「職業教えて!」

「ロボ戦士ですわ」

「アンキモ!」

「ロボ戦士ですの」

「ご主人様もロボ戦士。ばかもーん!」


『勇戦戦戦www』

『強そうwww』

『汗臭そうwww』


「どうして同じ職業にするの!」

「そんなこと言われても困りますわ」

「そこは仕込みを入れておいてくださいましな」

「ご主人様! もう冒険に出かけましょう!」

「ハァハァ、まあ勇遊遊遊とかじゃないだけましか」

「ロボ魔王を倒しますわよー!」

「楽しみですわー!」


 ロボ勇者はロボ王様から50Gとこんぼうを貰った。


「このロボ王様しけてますの」

「はがねのつるぎ寄越しやがれですの」

「ロボ王様に無礼ですよ! さあ! ロボ勇者に付いてきてください!」


『口が悪いwww』

『確かにしけてるよなあ』

『財政が逼迫ひっぱくしてるんだよ』


 一行はロボ勇者を先頭にロボアハンの町を歩き出した。


「ちょっと待つですの」

「マリ助どしたの」

「他人の家のタンスを漁ったら30G手に入りましたの」

「ほうほう」

「あと20Gあれば100Gのどうのつるぎが買えますの」

「さすがお嬢様ですの」

「でも20G足りないではないですか」

「ロボ王様から貰ったこんぼうで充分でしょ」

「でもロボ勇者はどうのつるぎを最初から持っていますの」

「不公平ですの」


『これ何の話が始まったのwww』

『いきなり内輪揉めかwww』

『装備格差www』


「ロボ王様から貰った装備を全部売り払うと179Gになりますの」

「あ、じゃあそれでいこうか」

「足りませんの」

「え?」

「わたくしとアンキモの二本必要ですの」

「ロボ勇者が一本、ロボ戦士が二本。あれ? 私の分はどうするのさ?」

「黒男さんは素手でお願いしますの」

「ロボ武闘家じゃないんだから素手はまずいでしょ」

「中途半端にこんぼう持つよりいいですの」

「なんでだよ!」

「ご主人様! ここはどうのつるぎを選びましょう!」

「わかったわかった。じゃあそれでいいよ」


 ロボ勇者はロボ王様から貰った装備を全て売り払った。


「これで179Gでしょ? まだ足りないじゃん」

「たびびとのふく……」

「なんて?」

「ロボ勇者のたびびとのふくがございますわ」

「ロボ勇者に脱げという事ですか!?」

「そうですの」

「早く脱げですの」


『全裸ロボ勇者www』

『裸にどうのつるぎwww』

『追い剥ぎwww』


「しょうがないですね。はい! 売り払いました!」

「これで231Gになったからどうのつるぎが二本買えますの」

「お嬢様とわたくしで一本ずついただきますの」

「余った31Gでやくそうとどくけしそうを買いますの」

「あれ? ちょっと待って」

「どうしましたの?」

「やくそうとどくけしそう買うGがあるなら私のこんぼう売らなくてよかったんじゃないの?」


『確かにwww』

『売り損www』

『ぬののふくいっちょwww』


「ご主人様!」

「メル蔵どした」

「ご主人様のぬののふくをください!」

「なんで!?」

「私のたびびとのふくを売ってしまいましたので。ロボ勇者が裸はまずいですよ!」

「私だって裸は嫌だよ!」

「ご主人様は今武器を持っていない非戦闘員です。ぬののふくが有ろうが無かろうが大差はありません!」

「あーもう! わかったよ! ほら!」


『ぬののふくも強奪www』

『正真正銘全裸www』

『なんで町出る前にこんな目にwww』


「あれ? マリ助、何食ってるの?」

「ちからのたねですの」

「それロボ勇者の家にあったやつでしょ? なんで勝手に食ってるの!?」

「あったからですわ」

「てかそれ180Gで売れるから全員分のどうのつるぎ揃ったじゃんよ!」

「たねを売るとかありえませんわ」


 マリ助のちからが1上がった。


「勝手に食ったのに1しか上がらないじゃんかよ。あれ? また何か食ってる」


 マリ助のうんのよさが1上がった。


「ラックのたねも食ってやがる! しかもまた1だし!」

「ごちそうさまですわ」


『はよ冒険にいけよwww』

『いざこざが長いwww』

『あーもうめちゃくちゃだよ』


 ロボ勇者一行はロボアハンの町を出た。北にあるロボべの村を目指す。


「ねえ、なんで私が先頭なのさ」

「普通HPが多いロボ戦士が先頭ですわよ」

「いや、おかしくない?」

「何がですの?」

「顔がおかしいんですの?」

「私は装備がないから防御力が低いんだよ! 死んじゃうでしょが!」

「攻撃力も無いから死んでも大差ないですわ」

「盾役として役に立って欲しいですわ」

「わかったわかった! じゃあやくそうで回復を担当するからやくそうを頂戴よ」

「だめですわ」

「なんで!?」

「死んだらやくそうが使えませんわ」

「死ぬの前提なの!?」


『死ぬ役www』

『じゃあ何をするんだよwww』

『やることないwww』


「あ、ホラ! 敵が出てきたよ」

「ご主人様! ロボスライムです! 雑魚です!」

「よっしよっし! 初戦闘だ! 武器は無いけどロボスライムなら素手で倒せるでしょ」


 黒男はロボスライムAをこうげきした。ミス! ロボスライムAにダメージをあたえられない!


「あれダメだな」

「何をしていますの!」

「うわ、なになに」

「危ないので盾役はずっと『ぼうぎょ』をしていてくださいまし!」

「ええ!?」


 ロボスライム達は黒男を攻撃しまくった。


「なんで全員私を攻撃するんだよ。しかも凄いダメージ食らうんだが」

「ロボクエ3は素早さの半分が防御力になるのですわ。素早さの低いロボ戦士は紙装甲なのですわ」

「その上全裸じゃこうなるわな! もう瀕死だよ! 誰かやくそう頼む!」


 ロボ勇者とロボ戦士の三人はロボスライムを次々と倒していった。


「良かった、倒せた。さすがどうのつるぎ三本は強いね。誰かやくそうお願い」

「さあロボべの村に向かいますわよ」

「ねえ、やくそうは!?」

「ロボべの村の宿屋まで辛抱してくださいまし」

「じゃあロボホイミでいいよ。メル蔵お願い!」

「ご主人様! ロボ勇者がロボホイミを覚えるのはレベル4からです!」

「じゃあ一旦戻ろ! ロボアハンに戻ろ!」


 一行はロボアハンに戻ってきた。


『一戦で敗走www』

『全然進まんなwww』

『これクリアできる?』


「どうして戻るんですの」

「どうしてって私が死にそうだからだよ」

「まだいけましたわよ」

「ねえ、レベル上げしよ? ロボ勇者がロボホイミ覚えるまでレベル上げよ?」

「そんなことしてたら日が暮れますわ」

「まあ何にせよ今日はロボ勇者の実家で休もう。私が瀕死だから!」


 テーレーテッテ、テレレーン。


「さあ朝ですわよ」

「今日こそロボべの村に到達しますわよー!」

「あれ? ご主人様はどこです?」

「いませんわね。あら? 装備が有りませんわ」

「どうのつるぎが全部消えていますわー!」


 すると黒男が三人の前に現れた。後ろに知らない人物を三人連れている。


「フハハハハ! おはよう諸君!」

「ご主人様!?」

「後ろの人達は誰ですのー!?」

「ロボ僧侶の御三方だよ! もうお前らには頼らん! ロボ僧侶ならロボホイミ使いたい放題! お前らのどうのつるぎは御三方に装備していただいた!」

「結局黒男さんは全裸のままですの」

「ほざけ! ロボ魔王は私が倒してやる! 全裸ロボ戦士の力を舐めるなよ!」


 黒男はロボ僧侶達を連れてロボアハンから旅立った。


『ロボ勇者パーティ追放www』

『どうのつるぎ取り逃げwww』

『まさかのロボアハンでパーティ崩壊www』

『¥1500。これではがねのつるぎを買ってください』


「えー、みなさん。ご主人様は新しい仲間と旅立ったようです。ご主人様の冒険を温かく見守ってください。あ、ニコラ・テス乱太郎さん、ロボチャットありがとうございます。あ、プルァァァァァアアさん、お楽しみいただけたでしょうか。あ、二七蕎麦さん、次回も是非見てくださいね。それでは皆さんまたお会いしましょう」


(軽快なBGM)




 そして次回へ……

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