貞淑少女の殺戮録 ～狂気の死神は世界を恐怖に陥れる～

第50話 第1回公式イベント-4

「ん、んっ…………はっ！」

　やばい、いつの間にか寝てた。何やってるの私は。疲れたからって気を抜き過ぎでしょう。というかこのゲーム寝られたんだね、知らなかった。

　状況は？

　《心の目》は反応無し。残り時間が20分、人数が2076人。何か変な特殊イベントとかも無い。

　タブレットで状況を確認していたけど、特に何も起きなかったらしい。一応安心。

　ところで、1時間以上なにもしないでも無事だったって。もしかしてベランダってかなりの良い立て篭り場所だった？

　下からはベランダの塀で見えないし、上からは屋根で見えにくい。

　……うん、最初からここ来ればよかったかも。

　――そうして結局何も起きずに第1Rは終了した。

――第1Rが終了しました。残り人数は2038人です。交流用エリアに転移します――

「ふぅ」

　第1R無事勝利、6時間は中々しんどかったね。1時間半は寝てたけど。もしかしたら今回が1番大変なラウンドだったりする？

『第1Rこれにて終了です、勝者の皆様おめでとうございます』

『脱落した方もこれ以降は観戦エリアなどでお楽しみください』

『第2Rは30分後に開始となります。ルール等に変更はありません』

『はい、それでは開始までしばらくお待ちください』

　30分ね、また雑談放送やってるしそれでも見ましょうか。

『第1Rは70エリアで同時に行われたそうで、観戦エリアも中々情報がカオスになってましたね』

『そうですね。因みに開始時全エリアで人数が4730~4740人だったのが、残り人数2000~2100人になったそうです』

『半分以下ですか、かなりイベントの影響は大きかったようで』

『14万人の方、次のラウンドはさらに波乱の展開になるかもしれないそうですよー。ちなみに特殊イベントで……』

『ミトさん！それ以上はネタバレネタバレ！』

『失礼。一応これは話しましょう。このゲームは自由なゲームです。ですので一人一人の行動、特にイベントでの行動にその後一々文句を言うのは駄目とは言いませんが、そんなに運営としては好ましくないですね。あと、次のラウンドのエリアについては話しても良いそうですね。みなさーん次のエリアは陸上ではないそうですよー』

　……え？

　何、陸上では無いって。周りもザワついてる……予め紹介されてたエリアに陸上じゃない所なんて無かったよね？

　なら空中？　それとも地下？　それとも……

　まぁ、これは始まってからのお楽しみかな。続きの話に入ってるし気にしないことにしよう。

『…………そういえば鬼は倒されたんですか？』

『いいえ、70エリア全てで撃破は無かったそうで』

『そうでしょうね。まず倒せるような設定ではないでしょう』

『今回は皆さん疲労がたまっていたようですからね。でも次はもう少し狭くなってますから、比較的楽になると思いますよ？』

『ヤエさん、あのステータスを見てもう一度言って貰えます？』

『…………戦闘力に自信のある方ー頑張ってくださいねー』

『凄い棒読みじゃないですか……』

『さぁ！　そろそろ開始ですよ、準備はよろしいですか！』

『はい、今回も大変でしょうけど、頑張ってくださいね』

『それでは、間もなく第2R、スタートです』

　あれより大変なのは勘弁して欲しいけど、まぁ頑張ろう。

　……ここは、劇場？　舞台に向けて席が大量に並んでる。大学ダンジョンの時の講堂にちょっと似てるかな？

　それで、ここは一体………………

「はぁ、なるほど」

　タブレットから地図を確認して、今回のラウンドの舞台がどこか気付いた。

「豪華客船ってことね」

　今回の舞台は全長350m全幅45m程の客船だった。鬼は5体、プレイヤーは1415人だ。

　客船には、大型のプール、カジノ、クラブ、レストラン、バー、今いる劇場など施設が多い。

　いやほんとに多いよ、豪華客船ってここまで広いんだね。それに客室が大量にある。それだけで10フロアって移動だけでも時間がかかりそう。

　さて鬼の開始場所は……って1つはこの劇場？！　危ない危ない、劇場内に他2人いたのにすぐ出ていったのはそういうことだったのね。

　とりあえず私は甲板に出ることにしよう。周囲の確認は外の方がしやすいだろうし。

　客室フロアは狭い上に長いから、あれは間違っても行っちゃだめだね。一度行ってみたけど、扉はどこも開かなかったから、あれはただの狭くて長い通路だ。

　外に出て周りを見回すと、一面が海で360度水平線が見える。船の周囲にある赤い透明の壁はこれ以上は進めないという障壁のようだ。

　船の後ろ側にある1番高い場所は鬼の開始場所になっていたので、屋外プールを挟んだ前側の2番目に高い場所に陣取る。普通に上がれるのは途中までだったので、《自由飛翔》は使った。周りには人影が無かったので問題は無い。

　ここなら屋外プールとガラス張りの屋内プールは見える。初期位置としては中々いい所じゃないかな？そう簡単に来られなさそうな上、見えにくいようになってる。さて、そろそろ開始だね。

――第2Rが開始しました。制限時間は4時間です――

　鬼が動き出したね。始まっ…………

――特殊イベントが発生しました。屋外プールに『鎧武者の骸』が3つ出現しました。解放をすると、5分後に断魂の鎧武者または御影の鎧武者にランダムで変化します。解放を行ったプレイヤーは1体につきメダルを75枚獲得します。残り時間1時間で骸は消失します――

「…………え？」