第51話 第1回公式イベント-5
第2R開始と同時にプールに3つの足場と鎧が現れた。鎧までは細長い足場を登らないとたどり着けないようになっている。私なら飛んで行けるけど。
恐らく、このラウンドで終わっていい人か、鬼が増えても逃げ切る自信のある人なら解放しに行くでしょうね。75枚と言うと、私は第1Rで2時間であまり動かず6枚だから、6時間ずっと動いて私の2倍集めたとして36枚。それを優に超える数だから、リスクを負ってでも取る人はいるはずだ。
それを阻止したい人には、魔法や鎧の前での防衛をさせる想定という所かな。
「止めたいな……」
私としては次のラウンドに進みたいから鬼は増やさせたくない。どうするか…………
よし、《恐怖の瞳》解放でいこう。
眼帯を外し、強さを中にして屋外プールの方を見る。
私は、足場で歩かせなければいいと思い、足場に近付いた人を周り諸共恐怖させて歩けなくするという荒業を考えついた。
周りからすればいい迷惑という感じだろうが、私としては私が次のラウンドに行ければいい。つまり他の人は二の次だ。それに、運営もさっき『イベントでの行動を後からどうこう言うのは宜しくない』的なこと言ってた気がするし。つまり私のこれも文句を言われる謂れは無い。
開始から1時間。屋外プールでは、私が《恐怖の瞳》で狙撃して、鬼がそれを狩るという構図が出来ていた。その影響で200人以上減って残り1208人だ。
傍から見たら酷い利敵行為だけど、そもそも他のプレイヤーは敵では無いけど味方でもないし。
「ところで鬼は……」
鎧武者は定期的に屋外プールに現れてプレイヤーを狩っているけど、私の方には来ない。気付かれてないのかも?プレイヤーの方は気付いてる素振りをしてる人が見られる、まぁビビられるのはそれはそれで面白いからいいけどね。
「ちょっと! あなたここで何やってるんですか?!」
ん?あれ、第1Rで会った忍者君だ。あの時と同じく跳躍力があるからここまで来れたのね。
「忍者さんですか、見て分かりませんか?」
「分かりませんけど! でも何かはしてるでしょう?」
「そうですね、してますよ。鬼を増やされるのは私的には困るので、させないように止めてます」
「止めてますって……それを止めようとしてる人にも被害広がってるように見えますが……」
「そうですか、でも私からしたらどうでもいいので」
「どうでもいいなんてこと……」
「どうでもいいですよ。そもそも他の方達は味方ではありませんし。鬼を増やされないで私が逃げ切れればそれでいいので」
「そうでしたか…………あなたって性格悪いですね、予想外でした」
「そうですか、否定はしませんよ」
「あなたの知り合いとか友達もいるかもしれませんよ?」
「知り合い程度なら別に知りません。友達と言えるのも1人……多く見積もっても3人ですし。あそこにいないのは確認済みです」
さっきから何が言いたいんだ。直接攻撃は不可能だから互いに何もしてないけど、そうじゃなかったら既に私は手を出してる。
「それで、わざわざここに来て何が言いたいんです?」
「そうですね、出来ればそれやめて頂きたかったですが。そのつもりは無さそうですので、実力行使に出ようかと」
「攻撃は出来ないはずでは? それにそんなことしてる暇あります?」
「押さえつけてしまう程度なら…………って何を?」
気付いていないのか、それなら囮にでもしてしまおうか。
「鬼がこっち来てますので、あなたは囮にでもなっておいてください」
私は《恐怖の瞳》で忍者に恐怖を入れ、《密殺術》と《自由飛翔》を使い高台から離脱する。
「なぁっ!?」
私は屋外プールの上を飛び、船後部の高台に飛び移った。着地したところで周囲を確認し、《密殺術》を解除する。
「ふふっ」
さっきまでいた高台で忍者がやられたのが見えた。鬼はこっちに追いかけてくる様子は無い。
それじゃあ、プールの監視の続きでもしていようかな。
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