第26話 獅子戦、その後

 戻ってくる間、襲撃されないように《恐怖の瞳》を使いながら気を張り続けた。そしてセーフティエリアに辿り着いた私は…………



「………………ふぁ」


 ――バタッ…………


 気が抜けて倒れ、気を失った。




「……っつ…………ん?」


 あれ、もしかして私寝てたの?


「お、起きたか。大丈夫か?」


「えっと、一体何が?」


「中で用事を済ませて戻ってきたら、出入口前に倒れてたからな。とりあえずベンチに寝かせた所だ。俺は今さっき戻って来たとこなんだが…………」


「そうだったんですか…………ありがとうございます」


「ってうおぉっ! 何だ!?」


 あ、まずい。《恐怖の瞳》が、《インベントリ》からスカーフを…………っと。これでよし。


「あー…………えっと、今のは……」


「今起きたことの原因は君で、その要因は発生にオンオフは出来ないもの。って感じか?」


 すごいなこの人、当たってるよ。前の時もそうだったけど、洞察力が高いんだろうね。


「詳しくは話せませんが…………大体そういうことですね。出来ればこのことは内密にして頂けると……」


「そうか、なら話さないが。というか、何があったんだ?左腕とか服とか」


「簡潔に説明しますと、ボスと戦ってその影響でこうなりました」


 って服は綺麗になってるんだけど。この人がやってくれたのかな?


「ほんとに簡潔だな……それで、どうだったんだ?」


「勝てましたよ。それで気合いで戻りました」


「腕無くなった所から気合いで勝った上に無事に戻ってくるか…………中々とんでもないな」


「そうでしょうか……あ、1つお聞きしたいことがあるんですが」


「ん? どうした。応えられることならいいが」


「この腕って、どうしたら治りますかね?」


「あぁ……部位欠損となると、効果のある治癒スキルも使える人は少ないんだよな。だから自然回復か上位の再生薬が必要だな」


「えっ、これ…………自然回復するんですか?」


「ゲーム内時間で3日で治るぞ、死に戻りしてもそれは戻らないし。現実で半日だから、今のところ待つのが一般的だな」


「再生薬はどこで手に入るんでしょう?」


「そっちは買うことが出来る人すら少ないし高いからな、少なくとも50000はするぞ」


「そうですか…………代金はありますけど伝手の方でしたか。今回は素直に待つことにします」


「代金は大丈夫なのか……まぁ、待つ方がいいだろうな」


「はい、そういえば服の汚れのことなんですが……」


「あぁ、俺が《清浄》スキル使ったんだが、問題あったか?」


「いえ助かりました、ありがとうございました。えっと……」


「あ、名乗って無かったな。俺はヘリアルだ」


「私はライブラと言います」


「そうか。あー、もしよかったらフレンド登録しないか?」


「えっと一応理由を聞いても?」


「色々と話してる間に、君はかなり凄いことを言ってたから、将来的に凄いプレイヤーになるんじゃないかと思ってな。今の内から繋がりを持っておけたらと思ったんだ」


「そうでしたか。構いませんよ、よろしくお願いします」


「あぁ、ありがとう。これからもよろしく頼む」


――フレンドに『ヘリアル』を登録しました――


「それでは、私は拠点に戻ってログアウトします」


「そうか、またなライブラ」


「はい、ヘリアルさん。今回はありがとうございました」


 帰還の羽を使い、拠点に戻った。


 さて、治るまでログアウトして待つかぁ……

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