第25話 双面の獅子

 よし、ログインっと。

 MPはログイン前から大体60回復してる。MP回復薬は足せたし、大丈夫でしょう。


 次は運動用ホール…………その前に闇属性攻撃の練習はしておこう。移動しながらでもいいかな。



 物理攻撃を闇属性に変化する、ってことは双剣で闇属性攻撃を出来るのかな?えーっと、HPを消費して腕輪の効果を発動して…………


 おお、黒い霧? オーラ? これで闇属性の付与が出来てるのかな? 濃さの調整も出来る。


 色々と試して見た結果、ある程度の仕様は理解出来た。

 まず闇を纏わせるにはHPを必要として、使う量が多いほど闇が濃くなる。多分強さも比例する。増やすとHPは消費する、減らして見ても回復はしないみたい。試しに魔物に攻撃したら、オーラとかHPが削れる様子は無かった。

 MPは消費せずに攻撃出来るようだった。闇を付与した後にHP回復薬を使って溢れさせたらどうなるのか気になるけど、この後のためにも試すのはやめておこう。


 でもHP消費は痛いから中々使うことは無いかもね。物理が無効化される相手が現れた時くらいになるかな?



 そんなことをしている内にホールに辿り着いた。

 今回は1本道だったので迷うことも無く辿り着いた。1本道じゃなかったら迷う訳じゃないけど。うん、違うから。


 ホールの広さは大体バスケットボールのコート2面分って所かな?真ん中に赤い剣があるし間違いないね。準備は出来てるし、始めよう。さて何が来る。



「グルァァァァ!!!」


 ここのボスはライオンらしい。大きさとか色合いは普通のライオンだけど、顔が2つ?いつも通り《鑑定》。


□□□□□

双面の獅子 Lv.27

※詳細鑑定不能※

□□□□□


 《恐怖の瞳》強を使って、どう来るか様子をみよう。




 …………っ。どう攻めようか、顔が斜め前向きに左右にあるから、視界はかなり広そうね。首は1つだから狙いは変わらないけど、中々攻めにくい。

 向こうも私に一定の距離を置いたまま攻めてこない。



 私から行こうか。《狂風》!


「ガルァァァ!!」


 《見切り》!


 飛びかかって来たけど、単純な動きだし問題なく避けられる。


「せぃっ!!」


 ――ザシュッ…………


「グルァァ!!」


 首元を狙ったけれど、1回程度では致命傷になり得ないらしい。

 もう1回! 《命刈り》も!


「はぁぁっ!!」



 ――ザシュン!!


 首元付近を2回切れた所でスキルの即死効果が発動されたらしく、ライオンは倒れ伏してやがて消失した。




「グァァッッ…………」


――双面の獅子を倒しました――

――1640ネイを獲得しました――


 よし、死んだね。やっぱり即死効果を発動出来たら呆気ない。

 ライオンだから身構えてたけど、攻撃は物理しかしてこなかったし、顔が増えただけのライオンだったか。


 アイテムボックスあるね。今回は何かな?


□□□□□

白牙の銛 Lv.17

耐久力:1600/1600

刺した相手に移動速度低下(弱~強)をランダムに与える

□□□□□


 銛かぁ…………私は使うつもり無いし、ハズレだなぁ。どうしよう、剣は再出現してるし戦う時も余裕あったから、いい物出るまでやってみようかな。


 よし、もう1回! 来い!


「グルァァァァ!!」


 同じライオンだね、一応《鑑定》。


□□□□□

双面の獅子 Lv.25

※詳細鑑定不能※

□□□□□


 レベルが下がってる。Lvは20~30って聞いてたしランダムでバラつきが出るのね。


「もう1回殺ってやろうじゃない」


 そうして、ライオン討伐を繰り返して…………





 ――11回目おしまいっと。さて今回は…………アイテムボックス無しかぁ。


 ライオンを何度か周回したが、3割程度で何も無いことがある。大変ではないけど出ないときはちょっと凹む。出たものも大体ハズレか、私に合わない物だし。


 というかそろそろLv20になっていい頃だと思うけど、中々上がらないんだよね。


 さて、12回目…………よいしょ。


 剣を抜いて同じ様に始めようとすると…………



「えっ、何?」


 今までのライオンの出現の時は、毎回白い霧から現れていたのだが、今回は何故か灰色になっていた。


「「グルァァァァァ!!!!」」

「キシャァァァァァァ!!」


「…………へ?」


 今回出てきたのは顔の1つが黒、もう1つが白になり、後ろの尻尾が赤い蛇になった、さっきまでの1.5倍程の大きさになったライオンだった。


 というかこれをライオンと言ってもいいものなのか、《鑑定》。


□□□□□

賢知の双面獅子 Lv.30

※詳細鑑定不能※

□□□□□


 そうだよね、さっきまでとは明らかに別物だもの。



 いきなり攻めて来ないのは変わらないのね。蛇が増えて視界が更に広がってるでしょうし、いつも通り首狙ってみようか。《狂風》!


「はっ!」


「グルァァア!」


 ――シュン!


 避けられた、もう1回!


 ――シュン!


 また避けた。まだまだ!


「はぁぁっ!!」




 ――――駄目だ、全く当たらない。


「はぁっ………………はぁ…………ふぅっ……」


 まずい、大分消耗してきてる。ライオンは…………まだピンピンしてる。

 こいつ、回避と攻撃の精度が異常に高い。相手の攻撃は何度か掠るくらいに抑えているけど、私の攻撃は1度も当たってない。


「ガルァァァァァ!!」


「やばっ…………避け…………」



 ――グチャッ!


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あぁぁぁっっ!!」


 左腕を噛みちぎられた。


「ガルルゥゥゥァァ…………」


「……がはっ…………はっ、かひゅっ…………」


 まずい、のしかかられて、喉は……死ぬ…………せめて一撃…………《命刈り》《閃撃》…………!


 ――ガッ……!


「ガルァァ!? グ…………ガルゥァ……!」


――賢知の双面獅子を倒しました――

――3090ネイを獲得しました――

――Lv.20に上が…………



 や、殺った……?

 死、死ぬ…………《治癒・弱》……HP回復薬…………


「げほっ、がはっ…………がっ、かはっ…………」

 

 喉辺りは治せたけど、吐血はするし他の部分も…………早く止血を……HP回復薬もう1つ…………





 はぁぁぁっ…………死ぬところだった。《命刈り》が発動しなかったら間違いなく死んでたよね、本当運が良かったよ。

 私今どうなってるの……? 左腕は……袖から無くなってる。出血は止まったようで良かったけど、首とか上半身には特に血が染みついてる……


 アイテムの確認をしようとした所、ふらついて転びそうになる。


 ここまで出血すれば血も足りなくなるか。フラつくけど何とか歩けるね。


 中身は……スキルロールでは無いか。って双剣だ、やっと武器変えられるかな。《インベントリ》に仕舞ってすぐ戻ろう。流石にこれをロストはしたくない。


 ステータスとか効果とか確認したいこと色々あるけど、先に戻りたい。相当格上だっただけあって、完全に満身創痍だ……

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