第21話 優姫の憂鬱

私は勘違いをしていた。




たしかに尚から言われた言葉に傷ついたけど、それ以前に疲弊していた。


きっとどこかでこの会社と縁を切ることを望んでいたのかもしれない。




それをずっと柴田尚のせいにしていた。




最悪だ。




ここ数日、尚に取った態度を後悔した。






再会して気づいたのは、尚の真面目さだった。




だからこそ、尚がなぜあの飲み会の日にあんなことを言ったのかますますわからなかった。






頭の中はごちゃごちゃしていた。




私は数年をこんなことのために無駄にしたのか...。




そう思うと心がずっしりと重くなった。




ああ、もう面倒くさいなあ。




誰にも会いたくない。誰とも関わりたくない。




ベッドで横になると、目尻から涙が垂れた。












気づいたら朝になっていた。




瞼は腫れて、目は充血していた。




サイアク…






この日、私は人生で初めて、仕事を無断欠勤した。

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