第33話 嵐山カオル

《ユーリシアン女学院》


『おおっと、ここで天王山【黒崎レイド】選手と仙台星欧のエース【嵐山ガイア】選手が相対する!ここでも激しい戦いが起こりそうだ!』


『(あの嵐山という選手、どこかで、、?)』





「妹の仇と偽善野郎か、、あいつも俺も酷い言われようだな。」


 レイドは少し笑いながら目の前の相手を見る。

 嵐山ガイアはレイドが仙台星欧学園中等部時代のチームメイト【嵐山カオル】の双子の兄である。


 彼の妹でありレイドの元チームメイトのカオルは、彼らが中等部2年の時に起きた『仙台大進撃』にて、救助活動中に亡くなっている。


 『仙台大進撃』とは2年前青森・岩手・宮城から大量の魔物が現実世界に現れ、福島原発を目指して侵攻。それを和合トモエ率いる天王山学園生徒会が仙台で迎え打った戦いである。


 周辺の異能力学園の生徒達も動員され、死傷者も出る大災害であったが、が起こした大津波を生徒会が止め、倒した事でその時の生徒会メンバーを『生徒会レジェンド』と呼ぶようになった。

 

「ガイア、、、あの時は俺達が弱かったんだ。だから1人救助に走ったカオルを止められなかった、、」


「違う! あいつらは自分達の手柄の為に見捨てたんだよ!そんな奴らと仲良くしてんじゃねぇぞ!レイドオオオ!」


 ガイアが魔力陣を発生させ攻撃に出ようとするも、後方から三本の矢が地面に突き刺さり動く事ができなかった。


「この矢、エルか!」


「動かないでガイア、次はその胸に隠したカラータイマーを狙うわよ。」


 レイドの後ろから【不森エル】が弓を構え歩み寄ってくる。彼女の百発百中の実力を知っているガイアは睨むことしかできないでいる。


「エル、邪魔をするな。」


「レイド、、人が集まってきている気配がするの。早く決着をつけなさい。」


「決着ねぇ、、この勝負か?それともカオルのことか?」


「どっちもよ。」


「"デンジャラス・ドロップ"!!」


 レイドとエルの上に大量の手榴弾が落ちてくる。レイドは闇魔法でエルは矢で全て撃ち落とすも、その隙をガイアは狙っていた。


「"ドリーム・ディメンション"」


 ガイアを中心に球状の結界が出現する。その中にレイドとエルは包まれ出る事ができない。


「しまった!警戒してたのに。」


 ガイアの横に仙台星欧の戦闘服を着た眼鏡の男が現れる。先程の手榴弾はこの男の異能力であったみたいだ。


「すまん、タイキ。」


「あの2人は任せたぞ、ガイア。俺は外から敵が来ないか見張ってるからな。」


 そう言って眼鏡の男は球状の結界から出て行く。3人が包まれる結界の中でガイアは不敵な笑みを見せる。


「この空間で俺がどれだけ強いかは知ってるよな。まずはレイド!お前を倒して天城ヒサシの所へ俺は行く。この全国中継の舞台であいつの醜態を晒してやるぜ! "ダーク・シャドウ"」


 ガイアの横に彼と同じ姿をした影が現れる。その影はレイドに向かって襲いかかった。


「やらせない!」


 エルの矢が影を狙い撃つもの、姿を変形させ全て避ける。影はまた刃物の形に姿を変えレイドに切り掛かった。


「"付与魔法エンチャント"」

 

 レイドは魔力を込めた剣でそれを受け止め弾き返す。すぐさま飛ぶ斬撃でガイア自身を狙うも闇に吸い込まれて消えてしまう。


「わかっているだろレイド。この空間にいる限り俺は無敵だ。諦めてさっさと自分でカラータイマーを破壊したらどうだ?」


「何も変わってないな、ガイア。自分の世界でしか物事を測れない。

 世界はもっと広いぞ、カオルはそれを守りたかったんだ。誰のせいでもない、俺は天王山で強くなってカオルが守った世界を守る力を手に入れてみせる!」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《必殺技企画にご協力いただいた皆様》


わじゅ@動画&小説 様

https://twitter.com/waju8810sosak/status/1580900673860009984?s=46&t=neHCiypE1vlwSaTt-92esA

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る