第31話 開会式

《東京都内公園》


「相変わらずね、防人君。」


「相変わらずのおっぱいだな。いや成長してる、、」


「早く離してくれるかしら。」


「異能力で近付いて来るのがわかってた癖に、、」


 防人君と呼ばれた男はレイカの胸から手を離す。レイカはそんな彼を懐かしむような顔で見つめている。


「新人大会の九州代表って知った時はびっくりしたわ。頑張ってるのね。」


「まぁな、出来るだけの事はしてるよ。レイカもクリスタルエイトなんて呼ばれて、この世代の先頭じゃねぇか。」


「、、、。

 ホントは貴方がそう呼ばれるべきだったのよ。」


「お前の実力だよ。」


「私がお願いして、今からでも天王山学園へ、、」


「レイカ!俺は犯罪者だ、罪は償わなきゃ。」


「でも、あれは。」


 防人は首を振る。レイカは自分が余計な事を言っている事に気付くき、悲しそうな表情になった。


「ありがとよ、レイカ。今日は本戦進出の報酬で自由時間もらってるけど門限があるんだ。今日は会えて嬉しかったよ。地下鉄まで送らせてくれ。」


「私も会えて嬉しかったよ。」


 2人は並んで地下鉄まで歩いていく。


「なあ、レイカ。天王山学園であった事教えてくれよ。」


「うんっ、色んな事があったのよ!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《ユーリシアン女学院》


『さあて、間もなく開会式が始まる全国異能力学園対抗新人大会。中継は私【吉良キララ】がお送り致します。お楽しみに!!』


 ここは東京都内にあるユーリシアン女学院。異能力学園では最大規模の女子校である。


 新人大会は全国中継され、会場には大型モニターが設置。たくさんの観客がお祭り気分でこの大会の見学に来ていた。


「すげぇ、ヘリが何台も飛んでるぞ。」


「ああ、別会場にパブリックビューイングが設営されてて出店もあるらしいぞ。」


 ヒサシとダイハチはこの会場の規模に興奮しながら入場口まで歩いている。


「ねぇ、レイカちゃん昨日はどこに行ってたの?」


「な、なによ、ひまわり。別にいいでしょ、、」


「何か怪しい、、、」




『準備が整ったようです。それでは選手達の入場だ!!!!』


ワーワーキャーキャーーー


『北海道代表:苫小牧大附属学園』

『東北代表:仙台星欧学園』

『関東代表:ユーリシアン女学院』

『中部・北信越代表:豊田ワールド学園』

『関西代表:関西東院学園』

『中国・四国代表:広島総合学園』

『九州代表:第三更生施設』

『国立天王山学園』


『以上8校でこの新人大会の本戦は争われまーす!』


 学園名が呼ばれ、それぞれ校庭へと入って行く。お目当ての学園や生徒が登場する度に観客席からは声援が大きくなっている。特に天王山学園の登場は一際活気があった。


「完全に見せ物だな。」


「それはしょうがない。異能力者の立場を考えたらこうやってエンタメにして受け入れてもらえるようにしないと。」


「チッ、俺達が守ってやってるのに随分と上からだな。」


 リュウジが悪態をつく中、大会委員長や来賓の挨拶が終わる。


『それでは優勝旗の返還です。国立天王山学園生徒会会長和合トモエさん、よろしくお願いします。』


 和合トモエの登場にこの日1番の歓声が上がる。その歓声に笑顔を振りまきながら優勝旗を返還し壇上へ上がる。


「(作り笑顔だな。)」


「みなさん、ご機嫌よう。先程ご紹介預かりました、和合トモエです。ここで長い話はしません。みなさんが気になるのは初戦の対戦内容でしょう。それを今からここで発表させてもらいます。」


 トモエの発言に生徒達に緊張感が走る。一言一句聞き逃さぬように全員が構えた。


「みなさんには今から殺し合いをしてもらいます。」

 

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