第24話 VSバットマン
《時は遡りヒサシが研究棟に入った直前の校庭》
"死ノ
イバラは校庭を覆い尽くす程の黒い魔法陣を生成させ魔法を唱えた。
その魔法陣からは1000を越えるガイコツ騎士が現れる。
「死霊魔法!? お姉ちゃんは氷魔法の使い手のはず、、」
ひまわりは死霊魔法という死者の魂を媒介にする魔法をイバラが使っている事に驚く。その魔法は彼女が知る姉の異能力とは違うものだった。
「さすがはJAPANインパクトの跡地、かなりの魂が眠っているみたいね。力が溢れてくるわ。」
「お姉ちゃん、本当に死者を生き返らせようとしてるのね、、」
「この魔法を完成させてあの人ともう一度会うの。
その為に大人しくクリスタルフラワーを渡しなさい!」
イバラは闇魔法をひまわりへと放つ。それを空に逃げながらひまわりは全て打ち落とした。下を見ると仲間達がガイコツ騎士達と戦っている。
「みんな大丈夫!?」
その声にダイハチは答える。
「任せろ! お前は姉ちゃんの目覚まさせる事に集中しろ!!」
「大丈夫よひまわり。うちにはテレスとがいる。死霊魔法は回復士の魔法に弱いはずよ!」
「させるかよ!」
詠唱に入ろうとするテレスに対して、バットマンの1人が両腕をノコギリに変化させテレスに襲いかかる。
ガキン!!
しかしその間にレイドが割って入り、テレスを守る。その他の3人もそれぞれの異能力でテレスに襲い掛かろうとするもレイドに全て対応され近づく事ができない。
「この4人は俺がやる。骨の化け物はお前達に任せた。"ディープハンド"」
レイドが出す黒い手が手下4人をテレス達から遠ざけるように投げ飛ばす。
「くそっ、なめやがって、、」
「お前ら雑魚は俺1人で充分だ。」
リュウジとダイハチがテレスを守りながら戦い、レイカも初歩的な回復魔法でガイコツ騎士を浄化させる。
「我が声を聴け"
テレスの聖なる歌声が響き、周りに蔓延っていたガイコツ騎士達を浄化させていく。しかし次々に黒い魔法陣の中からガイコツ騎士が現れ彼らに向かって来ている。
「ジリ貧ね、ひまわりがあの女を倒さない限り止まらないか、、、」
夜空を見上げるレイカの目には、空を舞いながら魔法の応酬を繰り返している姉妹の姿が見える。
《中等部校舎付近》
大鎌を持ったクレアはマオとの戦いが続いている。
空でひまわりと戦っているイバラの援護に行きたいクレアだが助けに行く事ができていない。
姉妹を気にして一瞬余所見をしてしまったクレアの目の前に光速の蹴りが飛んでくる。
「キャッ!」
大鎌で何とかガードするもまた校舎に叩きつけられる。口から血を流しながら前を見ると、マオが歩いてこちらに向かって来ている。
「あなた本当に死神と呼ばれる程強いの?そうは感じないけど。」
クレアはマオとの戦闘でボロボロになっているが目の前から歩いてくるマオは無傷である。彼女達の実力差が大きい事を表していた。
「気持ち悪い骨も沢山出て来たし、さっさと終わらせてひまわりのお姉ちゃんを倒さなきゃ。」
マオは後ろから襲ってくるガイコツ騎士を握力で潰しながらクレアにトドメを刺しにくる。
その時クレアの目に物陰に隠れながら戦況を見つめるチヨとムネノリが見えた。
「えっ?」
クレアは素早く2人に近づく。ムネノリが先に気づきチヨを守ろうと刀を出すも大鎌で弾き飛ばされ、チヨと一対一になった。
「ムネ!! うっ!」
クレアはチヨを気絶させ大鎌の刃を首元に当てる。マオは一歩も動く事ができない。
『動くな!』 ※『』内は英語。
「私でもドントムーブくらい分かるわよ、」
マオは手を上げて動けないでいる。ガイコツ騎士達が持っている剣でマオに斬るも剣の方がかけマオにダメージを与えられない。
『チッ、化け物が。』
「チヨちゃんを返せ! いくぞ【切丸】!」
ムネノリは切丸という愛刀でクレアに迫る。クレアは大鎌でいなすもその隙をマオは見逃さない。
「よくやった少年!"竜破掌"」
一瞬で間合いを詰め、マオの掌底がクレアの腹部に入る。クレアは校庭の真ん中に飛ばされ気絶してしまった。
「これで終わり。いいガッツだったよ少年。でも、何でここにいるの?」
「ははは、、、」
《校舎屋上》
イバラにとって、状況は最悪だった。クレアは校庭の真ん中で気絶しており、ガイコツ騎士達は最強クラスの回復士に浄化され、日本のバットマン紛いは1人相手に手も足も出ないでいる。
あまり期待はしていないが研究棟に入った奴らも役に立たないだろう。この勝ち目のない戦い、優先すべきは逃走のはずだが、あの人を生き返せるかもしれないチャンスを逃したくない。その為に当初の作戦を無理矢理変えてここまで来たのだから。
「お姉ちゃん、目を覚まして! バットマンなんかに手を貸してもケンちゃんは喜ばないよ!」
ひまわりは説得しようとイバラに声をかけ続けているが、【ケン】という名前が出る度にイバラの感情は怒りに震えてくる。
イバラが愛したケンはひまわりを愛し庇い死んでいった。その事実がイバラにとって許容できるものではなく彼女の心を壊してしまったのだ。
「お前が、お前さえいなければあああ!!!」
(あれを使えイバラ。)
イバラの頭の中に声が流れてくる。彼女の目線の先にはタキと呼ばれたヒサシからスリをした子供が見える。
(あなたが何故ここに?)
(お前があまりにも必死だったからな、見学だ。)
お互いは口を動かさずテレパシーで会話している。タキの目は赤く光り、この世の生物とは思えない雰囲気を醸し出していた。
(あの出来損ないのクレアを使え。
そうすれば"ガシャ髑髏"を呼び出す事ができる。)
(クレア、、)
イバラが過去に襲った研究施設で実験体になっていたクレア。イバラの事を本当の姉のように慕う彼女を生贄にする事を躊躇ってしまう。
(まだ、理性があるか仕方ない。)
イバラの胸にあるコウモリのペンダントから黒い霧が溢れて体を包む。イバラの目は赤くなり様子が変わってしまう。
「お姉ちゃん!?」
突如雰囲気の変わった姉に困惑するひまわり。イバラは手を掲げ気絶したクレアの下に魔法陣が現れる。
「何だ!?」
今まで戦っていたガイコツ騎士達が粒子となり、クレアの元へ集まっていく。そしてそのまま消えてしまった。
「何が起こってるんだ?」
手下を捕縛したレイドとマオ達がダイハチ達と合流しイバラの方を見つめる。
(さあ日本の異能力者がどこまでやるか見せてもらおう。)
突然学園全体が揺れる。そして校舎の背後から大きな骨の手が現れ空にいたひまわりを叩きつけた。
「きゃっ!」
ひまわりはそのまま地面にぶつかりそうになるも、下にいたマオが体で受け止める。
「ありがとうマオちゃん。」
「ううん、大丈夫?ひまわり?」
「何だよありゃ。」
ひまわりを叩きつけた敵の正体が現れる。クレアがいた校庭の中央から校舎程の大きなガイコツの顔と上半身が現れる。両手は宙に浮いており自由に動き回っている。
「みんな!!大丈夫か!?」
「ヒサシ!!」
「ヒサシ先輩、あれは【ガシャ髑髏】。死者の魂と人の命を生贄に出す死霊魔法ですよ。随分趣味の悪い相手がいるみたいですね。」
ヒサシ達が転移魔法でみんなと合流する。
「状況が把握できてないが、とりあえずアイツがヤベーのはわかるな。全員気合い入れていくぞ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます