第21話 真の敵

《海運倉庫》


「さあ、テメェら今日が一攫千金の大チャンスだ。これまで撒いた餌を回収する時がやってきたぜ!」


ウオーーーーウオーーーー


 バットマン達の中心にはサングラスの男がいる。その横には女が立っており何か念波のようなものをチンピラ達に送っている。


「狙うはアルファ社にある最新兵器の情報だ!何でもいいぞ、どんな情報でもデトロイト社が高値で買ってくれる。今まで虐げられ管理されてきた生活に一発逆転のチャンスだ気合い入れていけ!」


ウオーーーーウオーーーー


「(へっ、コイツら全体に催眠をかけて判断力を鈍らせるのに時間がかかっちまったが、陽動くらいにはなるだろ。あとは騒動のうちに真の目的を果たすだけだ。)」


「ボス、予定通り生徒会は副会長を中心にアルファ社で網を張ってるみたいだ。コイツら突っ込ませればガラ空きだぜ。」


「そうか、わかった。

 おい死神さんよ、ずっとどこに行ってたか知らねぇが、アンタも頼むぜ。」


「、、、。」


 幹部達の後ろにいるクレアは相変わらずここでは何も喋らない。


「チッ。 さあ、テメェらトラックに乗りやがれ俺達と一緒に天国へ行こうぜ!」


ウオーーーーワーワーー!!



《天王山学園前》


「ちょっと待ってよ、チヨちゃーーん。」


「早くしなさい、見失っちゃうじゃない。」


 天王山学園への道のりを中等部生徒会補助員コンビの【夜峰チヨ】と【山越ムネノリ】が走っている。


「ていうか、ホントに見たの?」


「もちろん見たわよ!間違いなく、あれは噂の夜空を走るスリだわ。」


 そんな言い合いをしている、2人の横を運送トラックが通り過ぎる。こんな夜中に通る事は珍しいとチヨは感じている。


「何でかしら?」

「ハアハア何が?」

ドカーーーーーーーーーーン!!!


 突然の爆発音。その後大きな爆炎がの方から上がる。


「あれは有名な会社が多く並んでるエリアだ。」


「クソーー、あっちが正解だったか!」


 チヨは悔しがっている。先程の運送トラックの疑問は忘れてしまっているようだ。



《アルファ社前》


「なんなんだよこの建物、爆発物や異能力使っても傷一つ付かねぇ。しかも何でこんなに生徒会がいるんだ。」


 大勢のバットマン達がアルファ社前に現れ破壊活動を行うも周辺施設は傷一つ付かない。そしてその周りからは副会長マナカを中心とした一団が現れた。


「あなた達はぐれ者の異能力では、この異世界島の施設に傷を付けることはできません。大人しく投降しなさい。」


「アルファ社から情報を、、、捕まりたくわ、、一攫千金、、」


 ここに来ているバットマン達の様子がおかしい事に気付く。目の焦点が合わず投降を促しても聞く耳を持っていない。


「もしかして催眠状態? この方達の中には無能力者もいる。無闇に攻撃しては大事故につながるかも。全員を捕縛するのに少し時間がかかりそうね。

 しかし幹部組がいないのを見ると、やはり狙いは天王山学園かしら。頼みましたよ、天城さん達。」



《天王山学園研究棟前》


「へへ、ちょろいもんだな天王山学園も。」


 トラックの中からサングラス男の側近が余裕をみせる。ここまで何の障害もなく侵入し、学園の校門すら開いていた。まるで誘い込まれているように。


「中に入ったら、いつも通りでいいのね。」


「ああ、コイツの通り抜けの能力で侵入してブツを盗んだら、タキの能力で空からトンズラだ。後はデトロイトメタルが導いてくれる手筈になってる。」


 学園に入ったのはクレアを合わせて6人。デトロイトメタル製の電子遮断マントを被り監視カメラやセンサーを超え研究棟まで辿り着く。


『くる。』   ※『』内は英語。


 突然の突風が侵入者を襲いマントを飛ばしていく。彼らの目の前にはヒサシ、ダイハチ、マオ、テレス、ひまわり、レイカ、リュウジ、レイドの8人が現れた。


「何だテメェらは!!」


「俺達はお前らの計画を阻止しに来た天王山学園の生徒だ!大人しく捕まえさせてもらうぜ。」


「学生だと、ふざけんな、、」


 サングラス男が歯軋りしている横からクレアが大鎌でひまわりに襲いかかる。


 その大鎌をひまわりの前に現れたマオが右脚で止めた。そしてそのまま回転蹴りをして、クレアの体を校舎の壁へと蹴り飛ばす。


「私の大切な友達をその鎌で傷物にしてくれたみたいじゃない。今日のアンタの相手はこの羽賀マオだよ。しっかり覚えておきな。」


 クレアは校舎に叩きつけられた場所から起き上がる。あれだけの勢いで叩きつけられたのに校舎には一切傷がない。


「お前らがどんな手で研究棟に入ろうとしたかは知らないが、ここの校舎は魔力壁が張ってあって、ちょっとやそっとじゃ傷つかないぜ。捕まりたくないなら全力で来い。」


 ヒサシの挑発にサングラス男は怒りの表情で睨む。そんなやり取りの中レイカは地に手をつけ、何かを探しているようだ。


「どこかに、いるはず、、、!!

 ひまわり!高等部校舎の上に2人いるわ!!」


「わかった! "シューティング・レイ"!」


 レイカの指示でひまわりは誰もいない場所へと光線を放った。そのまま通り過ぎると思われた光線が屋上で何かに当たり弾かれる。


 何かが弾けた場所から2人の人間が現れる。1人はヒサシから端末を盗んだ子供。もう1人は全身を真っ赤なドレスで着飾った長髪の女。見た目は大人びて見え、どこかひまわりに似ている。


「あらあら、デトロイト製の最新グッズが台無しだわ。随分と優秀な仲間をお持ちのようね。」


 ひまわりはその女を見た時、一瞬驚いた表情を見せ同時にどこか覚悟をしていたような面持ちであった。


「やっぱり来てたのね、イバラ姉さん、、、」


 

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