第9話 教師VS研究者
《大世門外研究施設》
「どうやら2チームともクリスタルフラワーの近くにたどり着いたみたいね。」
研究施設の巨大モニターの前に立つ南美波先生がメモをとりながら様子を見ている。
その周りでは1-Aの残った生徒達がドローンや端末から得られる情報を元に、マッピングや魔物の考察議論を交わしている。
「さて、しっかり結果出してくださいよ。」
ダダダダダダダダダダダダ!!
研究施設内では珍しくこちらに急いで走ってくる足音が聞こえる。かなり慌てた様子である。
「南先生!!ハアハア、これはどういう事ですか!!」
中へ入って来たのは【小久保宗治】。1-A副担任を任されている人物である。
「あら小久保先生、ここに来るなんて珍しいですね。いらっしゃいませ。」
「そんなことより!どうして碌に連携訓練もしていない生徒達が門の中へ入ってるんですか!?」
小久保先生は荒々しく声をあげ、机を叩く。その怒りの矛先はどうやら南先生のようだ。
「彼らは選ばれ天王山学園でも能力があると認められた生徒達です。多少の危険はあるかも知れませんが必ず結果を出してくれると信じています。」
「多少の危険って、、彼らの命がかかっているんですよ!しっかりとした指導を行って安全に配慮してからでも遅くはないはずです!」
「遅くないですって、、大世門は日本で最初に出現しました。なのに世界の異能力研究から日本が遅れてしまっているのは貴方達のような人がいるからじゃないですか?」
「彼らはまだ子供です。我々教育者が最大限に安全を配慮して然るべき存在であると考えます。研究結果の為に危険に晒されていいはずがない!」
「あなたはあくまで一般教育の指導者という立場です。私は彼らの異能力に関する指導については一任されています。今回の事も理事長に許可はとってありますし、貴方は生徒達の普通の学力『だけ』考えていて下さい。」
大人達の本気の言い合いに残った生徒達が少し引いているが、この争いは終わりそうにない。
「大体、小久保先生。あなた天城ヒサシ君に手を抜かすように指示を出したらしいじゃないですか?そういう勝手な事も研究者にとっては困るんですよね!」
「あれは理事長が、、、」
「南先生!ドローンが破壊されてしまったようです!妨害電波も出ているようで通信もできません。」
2人の言い合いの最中、生徒から報告が入り南先生は言い合いをやめ、モニターや電子機器に目をやる。
「通信はどうやら、植物型の花粉が原因なようね。ドローンは隠蔽能力があるはずなのに、どうして?」
「大丈夫なんですか?南先生」
「ふふ、どうやらあなた達教師が大好きな、生徒を信じる心っやつが必要みたいですよ。」
《洞窟内》
"火炎大円陣" "ファイアートルネード"
内部生チームの戦いは防戦一方になっていた。あまりにも大きなラフレシアに対して、炎系統の攻撃を中心に戦っているがどうしても手数が足りない。
「クソっ、ダイハチやフーバの火力じゃダメージわ与えられても致命傷にならない。ジリ貧じゃねぇか。それに、、」
ラフレシアは攻撃を受ける度に大量の花粉を散布させる。テレスの回復で一応の対応はできてはいるが、花粉の影響か思考がうまく回らず苦戦している。
「ヒサシ、あいつの蔓に退路は塞がれてるけど、私とフーバなら上の空いた天井からみんなを脱出させる事はできるわよ。」
いつも押せ押せのマオが脱出について思案していおり、この状況が危険である事を物語っている。
「ああ、これは撤退も、ん?」
何かが上から聞こえる。
ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
吹き抜けになった天井から人の影が4つ。
「あーあ、田中君落ちちゃった。」
「やっぱり、下で戦ってるみたいね。」
「、、、何だったんだ今の奴は?」
「ウオオオ、どけ!てめーらあああああ!」
ドスン!!!
ヒサシ達の目の前に外部生チームの【田中リュウジ】が落ちてくる。着地の際に痺れた足を我慢して目を見開いている。その後ろからスケボーに乗った【黒崎レイド】と杖に乗る【轟ひまわり】【東堂レイカ】が安全に着地した。
「テメェら、、」
ダイハチが苦々しい顔で外部生チームを見る。
「よぉ、雑魚。真打ち登場だぜ。」
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