第8話 VS植物型魔物
《内部生チーム、洞窟突入前》
「なぁ、ヒサシぃ、会長になんか聞いてねぇのか?」
4人は縦に並び周囲を警戒しながら森の中を歩いていた。最前列の【真田ダイハチ】は少しイライラしながら話しかける。
「最近引っ越しやら進学やらで忙しかったからな。」
「天城さんは一人暮らしされてるんですよね、私一度お邪魔してみたいです。」
【天城ヒサシ】は2列目で雷狼ライガを先に走らせながら歩く。その後ろには【進藤テレティーナ】がいる。ショートボブの金髪ハーフの女の子で、異世界島にある唯一の教会でシスターもしている。主な役割はヒーラーであり天王山学園最高の治療士だ。
「ダメよ、テレス!私もまだ行ってないんだから!」
テレスの後ろを歩き後方を警戒するのは【羽賀マオ】。この4人は中等部の頃から関わりが強く4人1組の探索も慣れたものである。
「私、最近お料理に精を出していまして、引っ越しのお祝いに手料理を作らせて下さい。天城さん。」
「おっ、いいな、それ。今度頼むよテレス。」
「それなら、アタシも行くから、絶対行くから!!」
魔界を歩いているとは思えない気の抜けた会話にダイハチは肩を震わせながら、怒鳴りあげる。
「お前らああああああああああああ!!!
わかってるのか!これは俺達内部生全員の名誉がかかってるんだぞ!そんな世間話してないで本気で取り組めよ!」
「つってもお前が勝手に買った喧嘩だろ。」
「そうよ、あんな安い挑発に乗って。」
「マオ!お前もキレる寸前だったろうが!」
「みなさんあんまり大きな声は、、、」
(主、ポイントに到達しました。どうやら洞窟の中のようです。)
「おっ、ありがとうライガ。みんなライガがポイントにたどり着いたみたいだ。どうやら洞窟らしい。」
「さすがだぜ犬っころ、お前だけが俺の味方だ!早く行くぞ。」
《洞窟内》
「なんだよこりゃ、、、」
4人が洞窟に入るとそこは植物型魔物の巣窟であった。
「植物型のモンスターハウスだな。会長は奥まで行ってみたけど、植物型は状態異常をかけてくるから、チームが全滅する可能性があると考えてやめたのかもな。」
「それなら南先生もテレスがいるから、オススメしたんじゃないの?もしかして向かうにも優秀な治療士がいるのかな?」
「爆乳東堂か轟のどっちかか。まぁしかし、こっちはテレスがいんだから、突き進むのみよ!」
そう言って突き進んで行く、真田に対してそれをわかっていたかのように天城が指示を飛ばす。
「じゃあ、俺達も行くか!
ライガとマオはダイハチに引き寄せられた魔物の処理を、それを俺とフィアで遠距離援護だ。クモリはテレスの護衛でテレスは回復と状況把握を頼む。」
(「「おう・はい・OK!!」」)
先頭を走るダイハチの元に食人植物が襲いかかる。
「草には火って決まってんだよ!"火炎大円陣!"」
ダイハチの持つ十文字槍が炎を纏い近づいた食人植物を薙ぎ払う。技を出した後の隙を狙うかのように根や蔓がダイハチを襲ってくる。しかしその根をライガとマオが切り裂き、蔓はヒサシとフィアが撃ち落とす。敵の攻撃もなんなその、熟練した連携で前へと進んで行く。
奥へ進むと花粉が霧のように濃くなってくる。
「偉大なる神よ、みなさんを守って下さい。
"
チーム全体を包むような大きな魔法陣が現れ、全員に祝福を与える。どうやら花粉の毒や麻痺を打ち消してくれているようだ。
「おい、この先天井から光が射してるぞ。広い空間があるみてぇだ。」
「ライガ、偵察を頼む。」
(はっ!)
植物がライガの行方を阻もうとしてくるものの、援護射撃の手を借りながら高速で突き進んでいく。
(これは、、、主!視覚共有を。)
「わかった、ライガ。」
ヒサシはライガとの視覚を共有し状況を確認する。そこは洞窟を出てかなり開けた場所になっていた。天井は吹き抜けになっており光が射している。
さらにその先の崖の上には、花の蕾の形をした鉱石が光り輝いているのが見える。
「ヒサシ、何かあったか?」
「ああ、あったよクリスタルフラワー、、、」
「やったね、これで私達の勝ちよ。」
「ただな、向こうさんも簡単には渡してくれそうにないみたいだ、、、」
ライガの視覚から見えるクリスタルフラワーの下に見えたのは、見た事もないくらい大きなラフレシアの花が蠢きながら無数の棘のついた蔓を動かし獲物が来るのを待っている姿だった。
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