第7話 魔界突入

《魔界》


「うおおおおおおおおおおお、はしれぇええええええええええええええ!!!!!!!」


 緑茂る深い森の中、全速力で走る男が1人。キメにキメまくったリーゼントとギラギラの金のネックレスが特徴の【田中リュウジ】である。


「おい!白髪モヤシ!馬鹿笑顔!デカ乳女!テメェら本気で走らねぇと喰われるぞ!!」


 リュウジが全速力で走る少し後ろからは巨大なヘビが口を空けて追いかけて来ている。自分の後ろにいる他の3人に対して言葉は荒いが檄を飛ばす。

 するとその檄に応えてかリュウジの両脇に3人が追い付く事ができた。


「やっと追いつきやがったか白髪モヤシ、へばってねぇだろうな、、、ってなんだそりゃ!!!」


 自分の右側に追いついて来た白髪モヤシこと【黒崎レイド】は走りもせずにスケボーの様な物に乗って汗一つかかないでいる。


「なにって、アルファ社の新製品『ターボ付きスケボーくんⅣ』だぞ。研究室に試作品があったから借りて来た。」


レイドの乗るスケボーはタイヤはなく後ろにターボが付いている。ターボからは魔力の粒子が流れており、どうやら自分の魔力を使い浮上と加速を行うスケボーのようだ。


「なんだそりゃ、テメェ自分だけ楽してんじゃねぇぞ!!そんなもんあるなら女に貸してやるのが男だろうが!!モヤシ野郎!!」


「いや、左見ろよ。」


レイドに言われて左を見るリュウジ。


「どもー、馬鹿笑顔でーす。」

「誰がデカ乳女よ。」


 そこには杖に跨り浮かびながら横を並走している馬鹿笑顔こと【轟ひまわり】とその後ろに横乗りしてタブレットを扱っているデカ乳女こと【東堂レイカ】がいた。


「なんだ、、そりゃ?」


「いやー、私の杖一応飛べるもんで。てへぇ♡」


「あんただけね、走ってるの。」


「くそがああああああああああああああああ!!」


 怒りのあまりリュウジは超加速し遥か先へと進んで行く。


「田中君、、意外とギャグキャラ?」


「リーゼントの時点で怪しいと思ってたわ。

 それよりこのヘビをどうにかしないと。調べたら新種では無さそうだけど。」


「……俺がやる"付与魔法エンチャント"」


 レイドの剣に黒色の魔力が纏われていく。そしてスケボーを反転させ巨大ヘビの方へ向かう。ヘビも向かってくるレイドに対し大きな口を空けて一飲みみにしようと突っ込んで来た。


「口の裂け目が弱点よ。」

「わかった。」


 レイカに言われた口の裂け目にレイドの剣が入る。鱗とは違う口の柔らかい部分から剣が入ったことでヘビの右側面から半分に切られていく。

 エンチャントを纏った剣の切れ味は何の抵抗も無く巨大ヘビを真っ二つにした。


 その後3人は先の方でバテて座り込むリュウジに追いつき一旦休息と作戦会議を行う。


「黒崎君、凄かったのに見逃しちゃたね。」


「あなたのその背中にある大きな斧は何の為にあるのよ?」


「ハァハァ、、うるせえ、人には、ハァ、適材適所があんだよ。」


「そんなことより、俺達は適当に走って来たが大丈夫なのか?」


「それは任せて、私の異能力がある限り道は間違えないわ。それに見つけるんでしょ【クリスタルフラワー】を。」



《約30分前》


 8人が大世門から魔界に入り、内部生チームと外部生チームがそれぞれ離れた所に飛ばされたのを確認して南先生から連絡が入る。


『みなさん聞こえますか?まずはタブレットを見てください。みなさんはご存知と思いますが確認の為に説明をします。

 大世門も小世門と同じようにその赤い丸の中へ同時に入った人達と同じ所にランダムで飛ばされます。こちらに戻る際もその円の中で魔力を込めれば門が出てくるようになっていますのでそこから帰還して下さい。』


 その後も注意事項などが続き、最後に南先生から成果についての話がある


『これが最後となりますが、何か成果をとみなさんにお願いしましたね。

 実は最近マップのこのエリアで【和合トモエ】生徒会長のチームが花の形をした新鉱石を発見しました。しかし周りにはまだ未解明の植物が多く危険と考えたので、後日捜索チームを組むと報告がきていましたよ。これはチャンスなのでは?

 研究チームは【クリスタルフラワー】と仮称して報奨金も出す予定みたいです。頭の中に入れておいて下さいね。それでは命を大事に頑張ってくださーーい!』



《現在、外部生チーム》


「あのクソ先公、あれじゃ取りに行けって言ってるみたいなもんじゃねぇか。」


「仕方ないわ、研究者上がりの教師なんてみんなあんなもんよ。それはあなた達もわかってるでしょ。」


「私達の命より魔界の研究の方が大事か、、、」


「……。」


 それぞれが教師の思い出を頭に浮かべ、苦い顔をする。魔界による最新技術の発展は素晴らしいが、異能力者に対する大人の反応や教育方法などはまだまだ発展途上のようだ。


暗いムードの中、レイドが口を開く。


「今はただ目の前の課題をクリアするだけだ。それから自分達が思うような世界を作ればいい。その為にも誰も死ぬなよ。」


「ふふ、そうね。」「さすがリーダー。」

「待てよ!リーダーは俺様だろ!」


 外部生チームは立ち上がり、目標地点を目指す。最初に入って来た時よりは雰囲気はとても良くなっているように見える。


《内部生チーム》


「なんだよこりゃ、、、」


 クリスタルフラワーがあると指定されたポイントに着いた内部生チーム。そこは大きな洞窟の中であった。

 洞窟に入り奥へと進むと中には、見たことのない大きな花が咲き乱れ、周りには蔓や根が自由に動き回っている。花に寄ってきた魔物を一飲みする植物もあれば、猛毒の花粉を撒き散らす花もある。

 そうこの洞窟は植物型魔物のモンスターハウスであった。






 


 


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