第5話 1-A集結
《居住区エリア》
朝、異世界島の居住区にあるマンションから家を出る。中等部の時は学生寮に住んでいたが【とある功績】が認められ学園から少し離れた居住区にて今年から一人暮らしを始めた。
「やべっ、地下鉄に送れる。」
昨日の夕方、ヒサシが持つ手帳型端末には1-A所属のメッセージが届いていた。1-Aは天王山学園異能力科の最精鋭のクラスであり約20人程で構成される。
その中に入ることが異能力者としてみんなの目標となっている事は間違いない。
地下に入り学園がある教育エリア方面の地下鉄に乗る。通勤ラッシュの時間帯のため多くの人でごった返している。
「朝ってこんなに混むのかよ。」
ヒサシは初めての電車通学に少しげんなりしていた。
《天王山学園》
天王山学園駅にて地下鉄を降り地上に上がる。そこには羽賀マオが待っていた。
「あっ、おはよ、ヒサシ。」
「おはよう、遅くなったな。」
(おはよっ、マオ!)
「おはよ、フィア」
なぜか勝手に出てきたフィアと目の前にある学園へと進む。天王山学園は普通科と異能力科に分かれており、共同施設を中心に北と南で建物が分かれている。
更に異能力科は高等部、中等部、初等部が同じ敷地で授業を受ける為周りには小さい子供達の姿が見える。
「Aなんでしょ、ヒサシも。」
「ああ、そうだな。マオもだろ。」
「もち」
この学園の中へ入り教室へと向かう。Aクラスは特別クラスである為1番奥にある。教室の中へ入るとそこにはほとんどの生徒達が登校してきていた。
「ヒサシ!!やっと俺もAだぜ!!」
「よかったな、真田。」
真田ダイハチが涙ながらに苦労話を話しヒサシの肩を離そうとしない。彼とマオは苦労を知っている為しょうがなく話を聞いてやることにした。
キンコーンカーンコーン
チャイムが鳴りそれぞれが席に着く、教師が教室に入ってきてホームルームを教壇に立った。
「みなさんおはようございます。私は今日から1年間担任を務める事になった【
南先生はヒサシ達が中等部の頃から教師をやっており魔物の研究で論文を出している研究者でもある。最近の悩みは結婚して名字がみなみになってしまったことらしい。
「それでは最初にオリエンテーションを行います。みなさんには自己紹介をしていただいて、学級委員を決めます。その後はカリキュラムや施設案内をしますね。それでは出席番号1番の天城君からよろしくお願いします。」
「あ、はい。えーと出席番号1番天城ヒサシです。
えーとまぁ、よろしくお願いします。」
「ダメですよ、天城君。もっと自分の事を説明しないと。門から出てくる魔物達は自分の存在を保つ為に魔力のある貴方達を狙います。しっかりと自分の出来る事を説明して情報を共有しなくては大事故につながりますよ。」
「あー、すいません。天城ヒサシです。使役士をやってます。同時に4体まで出せて、それぞれ得意分野が違い感情があります。自分だけではなく良かったらコイツらとも仲良くしてあげてください。」
(みんなよろしくねー♡)
俺の命令もなく急に出てきたフィアに外部生の生徒達は驚いている。
「パチパチ。素晴らしい自己紹介です。フィアちゃんは私とも仲良しさんなんですけど、天城君は使役士としては珍しい完全自立型の使役を行っています。私の研究にも大きく貢献してくれてる優秀な生徒さんなんですよ。中等部時代は生徒会で凄いことも成し遂げていてみなさん頼りにしてくださいね。」
みんなからの拍手の後それぞれが自己紹介を始める。
「黒崎レイド、魔法剣士。」
「真田ダイハチだ。英霊士で槍をメインで扱ってる。」
「進藤テレスティーナです。回復士で傷ついた体を癒すことができます。」
「東堂レイカです。異能力は感知能力に特化しています。九州支部から来ました。」
「関西支部の轟ひまわりでーす。一応魔法使いで長距離攻撃を得意にしてまーす。」
「羽賀マオです。拳闘士で身体強化が得意です。よろしくお願いします。」etc.
クラスメイトの自己紹介を聞きながら違和感に気付く。内部生が物凄く少ないのだ。
「これで自己紹介は最後ですね。みなさんありがとうございます。気付きましたか?今年は天城君、真田君、進藤さん、羽賀さん以外の18人はみなさん外部生なんですよ。外部生のみなさんはわからないことが多いと思います。先生には話せない事も天王山学園にずっと貢献してくれている4人に、何かあったら相談してくださいね。」
その後も南先生により、内部生のそれぞれの研究貢献について語られヒサシ達はむず痒い気持ちになってきていた。
「なあ、先生よぉ」
「はい、どうしました?田中くん。」
「さっきから内部生の奴らを贔屓すんのはやめてくれねぇか?」
「そ、そんな贔屓なんて、、、」
南先生に横柄な態度で意見してきたのは【佐藤リュウジ】、バリバリのリーゼントに割れ顎、首には金のネックレスをかけ椅子に片膝立てて座るいかにもな奴であった。
「ここにいる奴らはよ、大体がこの学園の中等部試験に落ちた奴ばっかなんだよ。それでもAクラスに入る奴が多かったってことは、ただそいつらが異能力の覚醒が早かった早熟なだけって事だろ。」
ヒサシの隣の席のダイハチがイライラしているのがわかる。拳を握りしめて我慢しているが顔は笑っていない。
「例えばよぉ、生徒会だかなんだか知らなねぇが、使役してる化け物がつえーだけでそいつは大した事ねぇんじゃねーか。そんな奴らが出しゃばられると困んだよ。まっ、そんな雑魚に負けるNo.1様もいるみてぇだがな。」
リュウジはレイドの方を見て鼻で笑う。レイドは目を瞑り反応を示さない。しかしそれを聞いて我慢できなかったのはダイハチだった。
「テメェ、さっきから聞いてりゃ、適当な事言いやがってやんのかオラァ!!!!」
「あ?なんだとコラァ!!」
一触即発の雰囲気を割って、南先生ニコニコしながら、手をパンと叩きある提案をする。
「わかりました。じゃあ、行きましょうか大世門。」
「「「えっ??」」」
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