第1話 入学式
《異世界島裏山》
天城ヒサシの朝は瞑想から始まる。自分の使役する精霊達と対話し連携と自分の魔力を高めていく。祖父から教わった大切なルーティンである。
(今日は入学式だね、ヒサシ!)
(主よ、昨日の戦いはよかったぞ。)
(ヒサシちゃん、わたし、眠い、、。)
(クモリ、あなたはいつも。)
「(相変わらずうるさい奴らだ、カッコよく決めてるのに)」
【風ノ精:フェアリーのフィア】
【雷の精:雷狼のライガ】
【水の精:大クラゲのクモリ】
【炎の精:火鳥のフーバ】
爺ちゃんが残してくれた皆んなと【アイツ】を倒す為にこれまで修行を続けてきた。
必ずまた現れるであろうアイツに、この手で復讐を果たす為に。
《天王山学園大講堂》
「皆にはまず、この天王山学園は異能力育成の最前線であると自覚してもらいたい。来たるべき決戦に備え学友と切磋琢磨し己の力を磨いていって欲しいと私は願っている。」
整列する学生達の前で熱く語るのはこの学園の理事長だ。初等部の頃からずっと同じこと言ってる気がするのだが、、、。
「おい、ヒサシ。」
「どーした、ダイハチ?」
俺に声を掛けて来たのは中等部からの親友である【真田ダイハチ】だった。
「見てみろよ、あの爆乳ちゃん。羽賀や会長よりデカいぞ。ヤベーー、声かけちゃおうかなぁ?」
この通りただの馬鹿である。
「学園長ありがとうございます。続いては生徒会長の挨拶です。よろしくお願いします。」
「皆さんおはようございます。本学園の生徒会長を務めさせていただいております【和合トモエ】と申します。どうぞよろしくお願いします。」
「うおーー会長キターー。」
「こいつはホントに」
(ヒサシ、ダイハチの口にクモリ詰め込もう)
「フィア、お前もこえーよ。」
会長が挨拶を終えお辞儀をして階段を降りていく。その時に俺の方を見てウィンクをした。その姿に男女問わず黄色い声援が上がる。
「今、会長お前の方見てたな。」
「そうか?」「死ねよ」「えっ?」「死ね」
入学式終了後はひとまず名前順で教室に案内される。そこから身体・体力・能力測定が行われる。
「今日の測定が終わって明日は編入試験だろ。今年は必ず20位以内に入ってA組に入ってやるぜ!」
「ヒサシ!おはよう!!」
「ぐはっ!」
俺の背中が粉砕する程の強さで叩いてきたのは【羽賀マオ】。小さい頃からの幼馴染である。身長は180㌢を超え俺より2㌢大きい(今年は抜かす)茶髪のポニーテールでスタイル抜群。女子人気がすごく異能力も同学年でトップクラスの実力者だ。
「羽賀、ヒサシがそろそろ死んでしまうぞ。」
「ああ、いたんだダイハチ。」
「ヒサシ以外興味なさ過ぎだろ、泣くぞ。」
俺達は中等部からの仲であり、和やかな雰囲気で教室に向かっているが他の生徒達は違う。全国各地にある中学からこの学園に入れただけでも強者の証である。しかしその中でも編入試験後に割り振られるクラス分けは1年を左右すると言っても過言ではない。
「高等部のA組は中等部の時とワケが違うみたいよ。全国から凄いやつが集まってくるから、去年の先輩達のクラス分けなんて外部生が半分以上A組に入ってたらしいわよ。」
「マジかよ、頑張らなきゃな。」
そう言いながら教室に入り。測定に呼ばれるまで待機する。3人で喋りながらしばらくすると。
「ピンポンパンポン。高等部1年男子は体育館へ集まって下さい。」
「よし!行くか、ヒサシ。」
「お、おう。今チャイムを口で言ってなかったか?」
「気合い入れてくぜ!」
「えっ、スルー?」
《体育館》
「こちらでは魔力測定を行います。指示に従って下さい。」
体育館では生徒達が魔力の測定を行っている。特殊な測定器を使い、そこで魔力量を測っている。魔力とは異能力を発揮できる総量の事であり、高ければ高いほど強力な異能力を発揮できるのだ。
全国平均は高等部で2500程度、しかし天王山学園高等部の入学基準は5000となっている。ちなみに今までの最高は和合生徒会長の14500である。
「よっしゃ!7200やあああ!!。実家で特訓した甲斐があったぜ!!」
反対側のレーンで真田の叫び声が聞こえる。7000を越えればA組入りは間違いないレベルである。
そして俺の番がやってきた。
「次は天城か、、、」
「小久保先生、なんですか?」
「いやあ、お前毎年壊すじゃん。こいつ一応15000まで測れるけどさ、そうだ!わざと11111のゾロ目でコントロールしてくれんか?」
「いや毎年壊してますけど、、そんな事していいんですか?」
「壊したら怒られるんだよ。頼む!」
「じゃあ。まあ。」
中等部からお世話になっている小久保先生の頼みを聞き俺は11111に魔力量をコントロールした。
「ありがとよ、天城。どうせ、お前を超える奴はいないだろ、ははは」
そんな話をしていると、、、
「オオーーー!外部生の1年が13800出したってよ。見に行こうぜ!!」
周りは騒がしくなり人集りができている。俺は小久保先生を睨むも先生は目を背けた。
「はいはい、騒がしいぞーー。次きなさーーい。」
「おい、覚えとけよ、小久保。」
《学園内廊下》
「測定後は直帰できるから楽よね。」
俺はマオと一緒に下駄箱に行く為に廊下を歩いている。
「お前はいくつだった?」
「12400!」
マオにも負けてんじゃねぇか小久保!!
「ねぇ、ヒサシさ、この後予定ある?」
マオがマオらしからずにモジモジしながら聞いてくる。
「いや、何もないが。」
「ホントに!じゃあ一緒にこの後学園下に新しくできたお店でパンケーキでも食べに、、、」
「おい、お前。」
急に後ろから呼ばれ振り向くと銀髪のイケメンが立っていた。
「俺か?」
「お前、測定で手抜いただろ?」
あからさまに敵意のある態度に思わず構えてしまう。銀髪イケメンはそのまま、指を差し言葉を放つ。
「俺と戦え、天城ヒサシ。」
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