第28話 特殊付与効果

 結局その後はもう一泊させてもらい、その間にお詫びもかねてということで、色々とおまけしてもらった。


〔ステータス〕

空木蒼うつろぎそら Lv.39

〈装備〉

E.星屑の蒼剣/E.白銀竜の小手/E.琥珀の髪飾り/E.幸運のブローチ

〈スキル〉

スラッシュ/スライス/グリンドバイス/スピニングレイド/ネオサイクロン/リバースインパクト/リバースリフレイン/ブレイクスルー/殺戮の宴/?????


 どうやら双剣に装備武器種を変更する際に、持ち越せないスキルもあるみたいだ。少しスキル欄がさっぱりした気がする。


 これからも同じように、シャストンの三人は鍛冶屋を続けていくらしい。


 去り際、ドレイフさんは俺を呼び止めて。


「あんたのおかげでいい経験ができたわ。それにその双剣も、あんたみたいな凄腕に使えて貰えるなら光栄だね!」


「凄腕……まあ、俺は双剣使いその道のプロみたいなもんだし、それもそうか」


 どうやら、師匠のお墨付きを頂いたみたいだ。ありがたく使わせてもらおう。


「それにあっしらは信じているからな、あんたが、この装備たちを間違った目的で使わないってことを。だから託すんだ」


 弟子の二人も、しっかり頷いた。クレスは隠れた髪の下からにこやかに。


「……あの時、私たちのことを仲間って言ってくれて嬉しかったです」


「そうだ、あんたになら任せられる。この大事な双剣作品を」


 最後にもう一度、熱い握手を交わして。グーとグーはぶつかり合った。


「約束するよ、この双剣を大切にすると」


「おう、当たり前だ。悪用でもしてみろ、直接ぶちのめしにいくからな!!」


「お、おう。それじゃあ達者でな……!」


 三人は、手を振って見送ってくれた。


「またいつでも、いい素材を仕入れた時は絶対に、ここに立ち寄ってくれよな!!」


 俺は、背中を向けて左手を上げ返した。



……………………………………………………



「よっしゃ、いくぜ!!」


 装備が強くなったからといって油断は禁物、俺はどれだけ強くなったって足りないくらいなんだ。目指す先は頂点だから。


 ガンガンレベリングかますぞ、と向かった先は高速道路。


『マスターエイプ』

『Lv.40』

『ミニオンエイプ』

『Lv.35』

『ミニオンエイプ』

『Lv.35』


【スライドワイプ】


 紺碧こんぺきの剣は次々と襲いかかってくる小猿たちを薙ぎ払い、道路に叩き落としていく。


「食らえ、双剣×軽装備の再誕。双剣使いの熟練戦闘技術……!」


「ヴギィィィィィィ!!」


 小猿たちは倒しても倒しても次々に召喚される、あの奥でふんぞり返っている猿が牛耳っているのだろう。


 頭装備の『琥珀の髪飾り(B +)』、付与された特殊効果は。


『《アクティブスキル》【護身の旋風】: 発動時、全身が旋風に覆われて低威力の“圧”攻撃と”射”攻撃と”波”攻撃を無力化(五回)』


 投擲とうてきは無効化できる、だから真正面からの切り崩して進める。


 投げつけられた軽自動車を踏み台にして、斬って、蹴って、飛び越えて。


『白銀竜の小手(A)』


『《アクティブスキル》【白銀の吐息】:斬撃を加えた対象の体を侵食し、一定期間防御力を低下させる(累積//二分)』

『《パッシブスキル》【銀鱗の大腕】: 小手に一定以上の強力な衝撃が加わった際、相手に反射追撃を与える(波)』


「お前がリーダーだな、もう少し利用させてもらうよ、その習性」


 見失わない一定の距離を保ちつつ、呼ばれる子分を斬り進んでいく、経験値稼ぎだ。


『レベルアップしました』


 一時間後、疲労も蓄積してきたしレベルアップもしたので。


【ウェーブムービング】


 軽く跳び上がって繰り出す前回転、双剣撃は、暗い部屋でライトを振り回した時のような勢いのある軌道で。


 リーダーのマスターエイプは、頭からずしりと真っ二つになった。


「今日は調子いいな、スキルも増えてるし。双剣に変えたからかな?」


 次の地点は小さな洞窟、トロッコのレールの上に飛び降りて。


『ジャイアントポイズンスパイダー』

『Lv47』


「次はお前だ。もうオレンジ文字の敵は、全然怖くないな……!」


 レールの鋼を踏み締める音が、空洞内で反響する。その音はどんどん鋭く険しくなっていき、双剣も右に同じく。


【シェープソルブ】


 吐き出された巨大粘着糸を回避、回避、網ごと切り裂いてスライディング、足を順番に切り落として動きを封じていく。


【ランディングピアス】

 

 暴れ狂う大蜘蛛には跳躍からの突き刺し、体内からは緑色の血が噴き出す。


星屑ほしくず蒼剣そうけん(A+)』

『《アクティブ/パッシブ》【彗星すいせいの反照】: 双剣が描いた軌道が一瞬だけ残存し攻撃判定をもつ(常時on/off切り替え可能)』


 これは、ドレイフさんにおまけで付与してもらった特殊付与効果。


 装備品の特殊付与効果はオーブを素材にランダム抽選、A+ランクの武器なら三つまで効果付与の枠があるのだが。


 どうやら秘密の特殊技法とやらで付与されたらしく、一つで三枠分の異次元スキルが完成してしまったようだ。


 この効果のヤバさは多分あれだ。多段ダメージを与えられるのもあるが、適当に双剣を振り回しておけば防御にもなることだ。


 まあ、これは諸刃もろはの剣にもなりかねない。取り扱いには細心の注意が必要だな。


「楽勝だ……装備だけで、こんなにも変わるのかよ……!」




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