第53話 願かけ

 場がシーンとした。


えっ?湊 なんて言ったんだ?


“”瀬原田さんとつきあってんの“”


って、言った??


あははははっ!!と湊が笑って

「ごめん、ごめん!!イジワルな言い方しちゃった!!

俺の彼女、瀬原田だけど、菜月じゃなくて、

葉月の方ね!!先輩のお姉さん。年は4つ上」


えっ!!

えーーーーーーーー!!!!!!

みんなデカい声をあげた。

そもそも、湊に彼女がいたのも知らなかったし。

初めて聞いた。


「俺が中学生の頃からつきあってる。あ、遠距離したり、別れたり、復活したりって感じだけどな。ここ最近は割と安定期。

だから、菜月は俺にとっては妹みたいな感覚」


「うん、そう。みなくん、1個下だけど、ほら、精神年齢的には超年上って感じで、わたしずっと面倒みてもらってるの。お兄ちゃんって感じ。

人前では、しっかりと先輩らしくしろって言われてたから、坂北くんて呼んでたけど、2人になると みなくんって呼んじゃう。

恭ちゃんも、兄さんって呼んでたよ」

にいさん?

「義理のお兄さんになる人って」


「マジかよ~!!」

なんか、みんなでそう声をもらした。


えっ?えっ?

それは、それで、びっくりしたけど、俺の告白はどうなったの?

俺の告白 既読スルーって感じなんですけど。


「何ヶ月前になるのかな? 弓道場で、みんなに会ったのは。

あの時ね、わたし 願かけに行ったんだ。

初ホタル見たら、願い事しろ!ってのあったじゃない?それをしようと思って、1人であの場所に行ったの」


「でも、ホタルはいなかったんでしょ?」

真島が聞いた。


「ううん、いたの。一匹だけ。なんか、弱々しいヒカリだったけど。

それでね、初ホタルにお願いしたんだ。

“”運命の人に会わせてください!!“” って!」


えっ?

えっ?えっ?


「その直後、バタバタ!バタン!って人が倒れる音が聞こえて、すごいドキドキした。

こんなすぐに、運命の人との出会いがきたの?って。

それが、神田くんだったの!!

こんな7年も経ってるけど、この人は、今でも わたしのことを好きでいてくれるのかな?って思った。

だけど、聞くまでもなく、神田くんの顔には、

わたしのことが好きです!って書いてあって!

あぁ、わたしにとっての運命の人なんだなって思ったんだ」


顔に書いてあるの?オレ……

センパイの運命の人……オレが?


「居酒屋へ歩いて行く時、わたし、みなくんに聞いたの。

神田くんに告白したいと思うのって。

そしたら、みなくん、俺たちの中で、かんかんを選ぶのは大正解だよ。

でも 待って、告白は かんかんの方からさせるから。

かんかんに、それが出来ないようなら、ダメだな。って」

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