第49話 瀬原田さんはツンデレですね

 「ありがとう」

と、センパイはニコッとした。

「平林くんと、大町くんもフード買いに行ったよ」

センパイの向かい側に真島とブッチさんが座っていた。

買った物をテーブルに置いて、俺はセンパイの左隣りに座った。

センパイの右側に湊が座った。

ブッチさんが、俺らが買ってきたカットステーキを箸でつかむと、

「瀬原田ちゃん、あ~~~~ん!!」

と、センパイの方へ手を伸ばした。

「あははっ!大丈夫です。大淵くん、飲み過ぎ!!」

「ノーサンキューだってよ!酔っぱらい!!」

そう言って、真島がそのステーキをパクっと食べた。

「あーーーー!!!!ふざけんなよーー!!!!

瀬原田ちゃんのステーキ!!」 

「瀬原田ちゃんの、じゃねーよ!!」

「大淵くんのこうゆう感じ初めて見る~。

真島くんとほんと仲良しなんだね~」

仲良しじゃないです!!って、真島がデカい声で言うから、おかしかった。

義徳とひらりんが焼き鳥とたこ焼きを買って戻ってきた。

「修司、ブッチさんとラブラブだな~」

と義徳がからかうように言った。

「ラブラブじゃねーわ!!マジで、ブッチ!うぜー!!」

うぜーって言いながらも、すごく笑顔。

真島のこうゆう感じも、初めて見るかも。

マジで仲良しだな。


俺たち5人で飲むのとはまた違って、センパイとブッチさんが一緒なのは、なんだか楽しかった。


「朝陽主任がさ~マジでウザいんだよー!!

瀬原田ちゃん、ビシッとお断りしてんのにさ~、アイツちょっと頭のネジが緩んでんのかな~

“”瀬原田さんはツンデレですね“”

とか言ってんの!自分が誘ってあげて、嬉しいくせに!!

みたいなこと言っちゃってさ~!職場でシラフでそうゆうこと言っちゃうんだから、かなりヤバイヤツだろーー?」

ブッチさんが、センパイに同意を求めるように、ね!ね!と言った。

「う~ん、ちょっとね~、どこまで冗談なのか、本気なのかわかんない感じなんだよね~」

と、センパイが困ったような顔をした。

「自分が誘えば、絶対に落ちるって思ってんじゃん!たかが社長の次男がなんぼのもんだよ!」

「えっ?ヨッシー珍しくキレ気味じゃん。あははっ!」

と真島が笑った。

「俺も義徳も、あの人にいい印象ないから」

と、俺が言うと、な!って義徳が笑った。


山車がこの公園近くを通る頃だって、ちょうど食べ物もなくなったし、道の方へ見に行こうぜ!って、ひらりんが言って、みんなで席をたった。


大丈夫?って小さい声で、湊がセンパイに声をかけた。

うん、大丈夫。

センパイも小さな声でそう言って、湊の手を掴んで立ち上がった。

あまりにも、あまりにも自然な感じで、そうゆう関係なのか……って思った。

みんなは、ブッチさんが立てない、立たせて!!って大騒ぎしてる方に気を取られて気づかなかったみたい。


湊とセンパイ

俺と義徳

ブッチさんを真島とひらりんが両方から支えて歩いた。


道に出た時


「菜月?」

と、センパイを呼ぶ声がした。



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