第44話 ジャージとポニーテール

 台車を車に載せているところへセンパイが走ってきた。

アディダスのジャージを着て、ポニーテール。

かわいい!!


「大町く~ん!!ありがとね~!あれっ!あれ、あれ、神田くん?」

俺を見てニコッと笑った。

天使が舞い降りたーー!!!!


「あ、こんにちは。バイトの神田です。あははっ!」

「こんにちは。お手伝いしてくれたんだ?ごめんね。わたし、大町くんが来る時間にはこっちにいるつもりだったんだけど、体育館の方の準備で遅くなっちゃった。もう、運んでもらっちゃったのかな?」

「はい。4階の会議室に運びました」

「そう。大丈夫?なんか、失礼なかったかな?」

「朝陽主任に、受取りサインももらったので大丈夫です」


すっごく、感じ悪かったです!!とは言わないんだな。

義徳、大人だな~。


「うちの会長が、ほんとに桜花堂の和菓子大好きな人でね、ちょっと無理なお願いしちゃって、すみません」

そう言って頭を下げた。


「いえ、会長さんには昔から、ごひいきにしていただいてますし、うちを使って頂いて有り難かったですよ」

本当は、ちょい迷惑だったけど、センパイが礼を尽くしてくれたから、それに応えたってことは伏せてるのか。

かっこいいな 義徳。


「ちょっとね、わたし、注文してくるように言われたけど、行きづらくてね。大町くんがわたしに気を遣って、無理をさせちゃうかもとか思ったし……

だけどね、神田くんとランチして、なんか勇気が出てね、桜花堂へ行けたの。神田くんありがとね」


えっ?

俺がセンパイに勇気を与えた?

あのランチで?

まったく、桜花堂の話なんてしてないし、センパイを勇気づけるようなことしてないけど……


「あっ!!やだ!!わたし、まだやることいっぱいあるんだった!!

大町くん、改めてお店にお礼に伺います。

ありがとうございました」


深々と頭を下げて、顔をあげると最高の笑顔を見せて、俺たちに手を振った。

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