第42話 紅白まんじゅう

 朝陽建設の運動会当日


土曜日で俺は休みだったから、義徳に電話して

一緒に配達に行くことにした。


「かんかん、サンキュー!!店の人たち、土日は忙しいからさ、配達用員俺しかいねーじゃんって思ってたんだ!かんかんに手伝ってもらえると、マジで助かる!台車で運ぶにしても、一回じゃ載り切らねーから」

「いや、朝陽建設の中入ってみたかったんだよね~。センパイがどんなとこで働いてんのか見たくって」


桜花堂のうぐいす色の作務衣を貸してくれた。

お!なんか、こうゆうの着ると、それなりに見えんな~。

バンに紅白まんじゅうが入ったダンボール箱を4箱載せた。

紅白まんじゅうだから、紅と白の2個入ってるんだろう、桐の箱。

それを、赤と白の水引きみたいやつでとめている。

想像してたよりずっと高級品な感じ。

まぁ、桜花堂の和菓子は、どれもお高くて、御贈答用って物だ。

俺が普段扱っているジジババ菓子とは格が違う。


義徳の運転で出発した。

「かんかんってさ~、マジで優しいよな」

「ん?なにが?」

「自分のことよりも、人の心配すんじゃん。

高校の部活の新人戦大会の時とか、あん時は試合出たの、俺と湊だけだったけどさ、俺めちゃめちゃ緊張してヤバかったけど、かんかんが すげー笑わせてくれて マジでほぐれたわ~」

「あははっ!ふざけんな!って、先生と先輩にメチャ怒られたな」

「それな!!かんかん、すげー怒られてるー!!って、それも笑えてさ~。マジで緊張なくできたんだよな。

あん時、ちゃんとお礼も言ってなかった。

かんかん、ありがとうな!!」

「そんな、改まってお礼言われることしてないよ。義徳と、湊の活躍で、上の大会にいけたもん」

「なにげに、かんかんに恩返ししよって思ってるから。言っちゃうとサプライズになんねーけど。あははっ!」


恩返しって、今の時代にそんなもんあるの?


そんな話をしながら、朝陽建設の本社前に着いた。


「着いたら、受付で “”総務部の朝陽主任“” を呼んでくれって言われてるんだ」

「朝陽主任って、社長の次男って人のこと?」

「あ、そうだって。この間、電話で話したけど、なんてゆうのかな~、おおへいな感じ?偉そう!って感じだったよ」


“”文句があれば聞きますよ。今夜一緒に食事でもどうですか?“”

とか、瀬原田センパイに言っちゃう人だもんな。

この人は、俺も気になってたから、会えるのは好都合だな。

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