第40話 彼氏じゃない男の人

 ほんと、もう、ってブツブツ言いながら、センパイはパスタを食べて、突然ハッとしたように顔を上げて俺の顔を見た。

「えっ??なんですか?」

びっくりして、フォークを落としそうになった。


「わたし、恭ちゃん以外の男の人と2人で食事したの初めてだ~」

えっ?初めて?

「この間、ブッチさんとお茶したって言ってましたよね?」

「あ、うん、お茶したけど、同期の女の子も一緒だったから3人だったし。

彼氏じゃない男の人と2人って初めて」

あははっと笑った。


彼氏じゃない男の人

はい、そうですね……

でも、初めてって言われて、なんか嬉しかった。


「ありがとうございます!なんか、光栄です」

「神田くんてさ、なんてゆうのか、落ちつくよね」


落ちつく……

えっと、それは、男として見られてない?

まったくドキドキしないってことなのか?

うーん……

でも、それで俺とランチに行こうって思ってくれたなら、女友だちレベルの感じだとしても、それでもやっぱり2人で食事できてることの方が、

今の俺にはすごい素敵なことだ。

俺は、センパイと一緒にいれるだけで、超 幸せだし。


「昨日、せっかく誘ってもらったのに、なんかいろいろごめんね」

「あ、そう言えば、車 大丈夫そうですか?」

「うん、昨日、わたしお姉ちゃんの車 乗ってっちゃったから、お姉ちゃんがわたしの車、車屋さんに持ってってバッテリー交換してきたって。

だから、バッチリ!生きかえった!って」

「バッテリーが寿命だったんですかね?」

「そうみたい。突然で、エンジンかからなかったから、なんか動揺しちゃって、みな、坂北君 来てくれてありがたかった」


今、また “”みなくん“”って言いかけたよな。

で、坂北君って言い直した。

うーーーーん……どうしよう……これ、聞いちゃっていいのかな~


“”湊とはどうゆう関係ですか?“”


なんとなくだけど……聞いちゃいけない気がした。

聞くのが怖いってのもあるけど……

みなくんの ふでおろしの~ とか言われたら、即死するわ!!


「このワンピース、昨日買ったの。早速着ちゃった」

「すごい似合ってます!すごいかわいいです!」

「ほんと?嬉しいな~。わたし、かわいいなんて言われることないから、すごく嬉しい!」

えっ??

かわいいって言われることない?

そんなわけないじゃん!!

あ!!でも、そっか、かわいいってより、キレイ系だもんな!!

「かわいいじゃなくて、キレイですね!は、よく言われるんじゃないですか?」

「あ、なんで?よく言われる!ショップ店員さんとか、美容師さんとか、あれ、完全にお世辞だよね~!」

「センパイ!お世辞とかじゃなくて、マジでキレイなんですよ」


センパイは俺の顔をじっと見て、プッと吹き出して笑った。

「神田くんに言われると、なんか、イヤな気がしないな~!!ありがとね~!あははっ!」


冗談で 言われたとでも思ってるのかな?

に、しても、勢いよく

“”マジでキレイなんですよ“” 

とか言っちゃった!!!!

なんか、ヤバい!顔がアツい!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る