第39話 だまされてAVに出ちゃった人

 メニューを見ながら、どうしよう 悩む、どうしよう 悩む と、だいぶ長く考えて、決められないやと、本日のオススメって書いてある

“”シラスと青じそおろしパスタ“”

という物をセンパイは頼んだ。

なんか、そうゆう感じ?

意外だった。

なんか、センパイは、いつもテキパキしていて、即決!!みたいな感じなのかと思っていた。

俺は、この店で1番のお気に入りの

“”ボンゴレビアンコ“”を頼んだ。

パスタを頼んだら、サラダとスープと、紅茶かコーヒー、食後に小さなカットケーキが付く。

えっ!すごいお得だね!って、センパイが笑った。


「あの、センパイ、朝陽建設のウェブ動画見ました」

「えっ!!なんで?やだ~!」

パスタを食べる手を止めて、両手で顔を隠した。

えっ?  やだ?  なの??

「すっごい、かわいかったです!!」

わっ!本人にかわいかったとか本音言っちゃったよ。

「もう!ほんとにやだ~!恥ずかしいんだけど……」

「そうなんですか?」

「なんで あれ見たの?」

「あ、ブッチさんが教えてくれて」

「ぶっちさんって?」

「あ、真島の大学の友達の、大淵さん?でしたっけ?その人から真島に電話きて、真島が俺たちに教えてくれて」

「えーー!大淵君!もう、なにしてくれてんのよ~!!拡めないでほしいのに~。家族にも言ってないのに」

もう!と、ちょっとムッとした表情をした。

「えっと……すみません。でも、すごい良かったですけど」

「なんかさ~!騙されてAV出ちゃった人の気持ちがわかる!って感じ」

AV!!

AVとは、俺が思ってる あの AVのことか?

アダルトな……ビデオ的な……あのAV?

「ちょっと、意味がわかんないんですが」

「だってさ、あれ、わたし ちゃんとインタビューとかしたりしてんのにさ、なんで わたしだけ映ってんの?相手を映してよ~って感じ」

確かにそんな感じ。

会社のいろいろな部署を紹介してるけど、センパイが全部 画面の中心にいて、他の人たち見切れてて。

建設中の建物を案内して、現場監督さん?がいろいろ説明してる音声は入ってるけど、映ってるのは、瀬原田センパイだけ。

うん、うん、と頷き、そうですね、と笑う顔のアップ。

会社の紹介ってより、先輩の紹介ビデオだなって湊も言ってたけど、ほんとそんな感じ。


「あれ 撮ったの社長の次男さんって聞きましたけど、どんな人なんですか?」

「えーー、どんな人?うーん、わたし部署が異動になったばっかりでまだよくわかんないな。

まぁ、わたしの直の上司って人なんだけど、

仕事は別の人に教えてもらってるし。

まだ、あんまり喋ったこともないの。

それなのにさ、動画撮るから出かけます!って突然言われて、撮られて、出来上がり見たら、あんなだよ!!

もうびっくりじゃない!」

センパイは、勢いよく一気に喋った。

「それでさ、なんなんですか?あれ!!って、

文句を言おうとしたらさ~、“文句ならちゃんと聞きますよ。今夜一緒に食事でもどうですか?“

ってゆうの!!

は?って思って、結構です!!って、断って、あ、だから文句も言えてないんだけど」


“”今夜一緒に食事でもどうですか?“” って

マジで完全に狙ってんじゃん!!

すげーストレートに誘われちゃってんじゃん!!

センパイ断ったんだ~。

良かった。

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