第36話 PR動画

 朝陽建設の会社PR動画

こんなん出てるなら、センパイ教えてくれりゃ~いいのに。


「これは……」


会社のPRではあるが……

なんてゆうのか、アイドルのプロモーションビデオみたいな感じ。

アイドルというより、女優さんの?

会社の中を案内したり、建設中の建物内を作業服でヘルメットをかぶって紹介したり、社長へのインタビューってゆうか、対談形式。


かわいい

キレイ

賢い

美しい


いや!これ!ダウンロードして永久保存だろ!!


ってか、これ 撮ったの会社の人なのかな?

外注したのかな?

編集とか普通に上手い。


なんてゆうのか……うまく言えないけど……

撮ってる人の視線は……

センパイのことを、好きなんじゃないのかって思えるような感じ。

こんな風に愛情ある眼差しで、センパイのことを見ている人が近くにいるなんて……

イヤだな。


スマホが光った。

あ、見終わって、ライン再開されたのかな。



湊『お疲れさま。

瀬原田先輩は、ちゃんと送り届けたよ。

で、ライン見て、朝陽建設のWEB動画も見てみた。

なんか、会社の紹介ってより、瀬原田先輩の紹介ビデオみたいな感じだな(笑)』

真島『湊、おつかれ~!運転ありがとう!』

ひらりん『真島!おまえ、ちょいちょい俺の女が世話になったな発言やめろよ』

義徳『ほんと!それ!』

かんかん『湊、ありがと!おつかれ~』

真島『ほら!かんかんも同じこと言ってんじゃん!』

義徳『かんかんが言うのと、修司が言うのとは、意味合いが全然ちがうわ!!』

ひらりん『それな!!』

真島『2人、俺に当たり強くね~?せっかく、先輩の動画のこと教えてあげたのにさ~(笑)』

かんかん『真島、マジでありがとう!

センパイめちゃくちゃ かわいいな♡』

湊『ハートつけんなよ(笑)』

真島『いや、つけたくなるよな~!!ハートマーク♡♡♡♡♡♡♡ハート7個!って感じ』

義徳『ハート7個って何?』

真島『セックスしたい』

ひらりん『バカ!!!!』

義徳『死ね』

湊『で?ブッチさんの電話なんだって?』

真島『ひらりんとヨッシーの暴言もキツイけど、完全スルーの湊も たいがいなもんだぞ!!』

かんかん『ブッチさんなんだって?』

真島『あれ、企画したり撮ったり編集したりしたの社長の次男なんだって!

前はIT企業にいたらしいんだけど辞めて、4月から朝陽建設の総務部に入ってきたんだって。

で、今回の瀬原田先輩の異動は、そうゆうミエナイチカラが働いてるんじゃないかって』

かんかん『ミエナイチカラ』

湊『その社長の次男が先輩のことを狙ってるってこと?』

真島『そうじゃねーかって会社の中では噂になってるって。

そもそも、6月に先輩が彼氏と別れたってのが拡まって、我れも我れもみたいになってたのが、今回のPR動画で、戦況が変わったって。

社長の次男に目をつけられたら、どっかに飛ばされちゃうかも!とかって、おいそれと先輩に手が出せなくなったって』


いっぱい群がっていきそうだったオオカミ達が、群れのリーダーの登場で、引き下がったって感じ?

それは、喜ばしいことなのか?

いや、社長の息子に見初められるって……

だいぶ ヤバいだろ……


今日、俺はセンパイの休日を一緒に過ごした。

だけど、そこにセンパイはなんの意味も持ってないだろう。

俺は、どうすればセンパイに認められるような男になれるんだ?

今日の俺なんて、認められるどころか、つかえない、ダメな奴って認定されたって感じじゃん。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る