第33話 アウトレットモール

 アウトレットモールに着いた。

せっかく来たんだから、2人も自分の買い物しなよ!って、1時間後にスターバックスで待ち合わせって言って、センパイとは別行動になった。

デートじゃないし、センパイは最初から俺と一緒に服を選ぶなんてことは考えてなかったらしい。

2人で来ていたとしても、はい!別行動です!って言われていたんだろう。


「服 見る?」

と、湊が俺に聞いた。

「いや、スタバ行く」

「かんかんさ、顔に出過ぎ!!

俺が一緒でムカついてんのはわかるけどさ~」

「ムカついてる?いや、湊にムカついてるわけじゃねーよ。自分がさ、マジで、バカみてーだな!って、自分にムカついてるだけ」


湊と俺はスターバックスへ入った。


「あのさ、まぁ、まず、ライン見てみろよ」


なにが ラインだよ?ってキレ気味にラインを開いた。

「あっ……」

やっちまった……



ーーここから未読ーー


8:00 菜月『神田くん、ごめん。車の調子が悪          くて、ちょっと遅れそうです』

8:05 菜月『不在着信』

8:07 菜月『バッテリーあがっちゃってるみた      いで。どうしたらいいかな?今日、お父さんいないし、車のことよくわかんなくて』

8:10 菜月『不在着信』

8:12 菜月『神田くん、まだ寝てるかな?これ見たら、電話ほしいです』

8:14 菜月『坂北くんに電話してみるね』

8:52 菜月『今、出ました。ちょっと遅れそうです』



「状況わかった?

俺、朝飯食ってたら、先輩から呼び出されて、先輩んちで葉月……さん、あ、先輩のお姉さんの車からジャンプして、エンジンかかったけど、遠出だし、心配だから、お姉さんの車を借りて行くってなって、なんかあたふたしてっから、俺運転してきますか?って聞いたら、お願いって言われて現在に至るって感じなんだけど。

あの赤いマーチは、お姉さんの車」

湊は、俺の顔をじっと見てそう言った。


「ごめん……」

俺は、小さく言った。

何に対しての “”ごめん“” なのか……


センパイとのお出かけで、ただ浮かれていた。

スマホをチェックする時間がなかったわけでもないのに、していなかった。

いつものことだけど。

いろいろやってくれた湊のことを、なんでおまえが一緒なんだよ?ってカチンときたり。


「マジで、ごめん」


「邪魔して悪いんだけど、先輩に運転させて事故でもおこされたら困るし、って心配になるくらい冷静じゃなかったからさ。

“”神田くんが!車が!神田くんと!“”って、

電話も支離滅裂でさ、最初かんかんが事故ったのかって思ったよ」


えっ?

そんな?

俺の知ってるセンパイは、いつも冷静沈着な感じ。

酒を飲んだら、まぁ、あんな感じだったけど、普段は、落ちついてて、大人っぽくて。

そんな慌てふためくようなのは、想像つかない。


「あのさ、かんかん、先輩を誘うのはいいけどさ、それなりに責任もてよ。男として」

「ごめん」

俺、さっきから、ごめんしか言ってねーな……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る