第29話 ノープラン

 相変わらず、忙しい毎日。


あ~~、センパイに会いたいな~。

せめて、声が聞きたい。


ブッチさんに、負けてらんないし、個人的に誘ってもいいんだよな?

センパイを誘ってもいいですか?なんて、あいつらに確認しなくてもいいよな~?


電話って緊張する……

本人を目の前にして話すのも、緊張するけど。

どっちもどっちだな……


電話しようかと思っても、早い時間だと、まだ仕事してっかな?って思うし、通勤は車だって言ってたから、運転中だったらどうしようとか、食事中かも、とか、お風呂入ってるかも、とか、疲れて寝てるかも……とか、とか、とか。

そんなことを考えはじめると、タイミングがわからない。


 木曜日 21時

意を決して、電話してみることにした。

出なきゃ出ないでいいじゃん!!そう思うことにした。


プルル(ドキドキ)

プルル(ドキドキドキドキ)

プルル(ドキドキドキドキドキドキ)

プルル(ドキドキドキドキドキドキドキドキ)


出ねーー!!!!

もう、ダメだ~!!

堪えられない!!

もう、切っちゃおー!!


カチャッ

「もしもし」


わっ!!!!わっ!!!!わっ!!!!

出ちゃった!!

やべ、どうしよーー!!


「もしもし?」


「あ、あの……神田です」

「あ!神田くん?こんばんは!」


‘’こんばんは‘’ って挨拶、なかなかしたことないな。

「あ、センパイ!こんばんは!!

センパイ!今、何してましたか?」


‘’今、何してましたか?‘’ って、なんか、変態っぽい質問だな。


「お風呂あがりで髪を乾かしてた。電話 気がつかなくて、いっぱい鳴らした?」

「あ、いえ、それほどでもないです。髪、大丈夫ですか?まだ、乾かしますか?」

「うん、あ、でも大丈夫だよ!この間は、ありがとうね。それで、なに?」


なに?って聞かれると、なんと言ったらいいんだろう。

〈声が聞きたかったから〉

さすがに、キモいだろ。

〈大好きだって、伝えたくって!〉

更にキモいな。

〈僕と付き合ってください!!〉

どうした、どうした?って感じだよな?


「うん?いつ?」


えっ!!えっーーーーーー!!

ねー俺!!心の声がダダ漏れかーー!!??

まさか! ‘’僕と付き合ってください‘’ って、

口に出して言ったの?

それに対してのセンパイの返答が

‘’いつ?‘’

ってことは、ブッチさんがお茶に誘ったみたいに、お茶に付き合ってください!ってくらいの、付き合ってください、だと思ってんだな。


「金曜日の夜でも、土曜日でも、日曜日でも、僕は全然いつでも大丈夫なので、センパイのご都合で!」

「今週末ね!うん、いいよ~!なんにも用事ないから。土曜日にする?」


えーーーーーー!!!!

マジか~~~~!!!!

ってか、まさかOKされるとも思ってなかったから、ノープランだ!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る