第21話 キレイな花火

 18時50分

橋は交通規制になっていて、橋から花火を見ようとしてる人たちで、満員電車状態だった。

さっきの桜の木のところで待ち合わせた方が良かったな~。

前を歩く湊とでさえも、はぐれてしまいそうなくらい。

湊のシャツの裾をつかんで、ギュッと握った。

ひらりんと義徳を探してキョロキョロしていると、

「湊~!! かんか~ん!! 」

と、デカい声で呼ばれた。

声の方を見ると、ひらりんが大きく手を振っていた。

ここで、かんかんは ちょい、恥ずかしいんだけど……

「おつかれ~」

ひらりんは、今日は部活の練習試合だと言っていた。

「おつかれ!さっき、義徳から電話きたよ。交通規制の渋滞に巻きこまれてるから、直接ラーメン屋近くの駐車場に行くって」

「そっか」


ドンッ!!!!

ヒューーーー!!!!

パーーン!!!!


花火の音で、空を見上げた。

大きな花火が頭上に広がった。


打ち上がる時のドンッってやつが、腹にパンチをくらったみたいに響いてきた。


すげーキレイ!!

わ~~!!

花火って、こんなキレイだったのか~。

これを瀬原田センパイと2人で見れたら、どんなに幸せだろう。

瀬原田センパイと見たかったな~!!


「かんかん、今 瀬原田先輩と2人で見たかったな~って思っただろ!!」


ひらりんが笑いながら、俺の顔を覗きこんだ。

えっ!?なんで、わかるんだ?超能力者か?


「あはははは!なんで わかるんだ?って顔してんぞ!かんかんは、わかりやす過ぎるんだよ!」

と、湊は笑った。


「マジで?そんなん顔に出てんの?こわっ!!」


3人で並んで花火を見上げた。

なんか、すごい感動した。

ほんとに、瀬原田センパイと見たいなと思った。


30分くらい花火を見て、義徳と待ち合わせのラーメン屋へ歩いて行った。


「おまたせー!!」

「ごめん。遅かったか?」

義徳は、ラーメン屋のすぐ横のコインパーキングの金網フェンスに寄りかかって、空を見上げていた。

ちょい遠いけど、ここからでも建物の間から花火が見えた。

「いや、すげー遠回りして、やっとたどり着いたって感じ」

そう言いながら義徳は腕時計を見て、

「20分で着く距離を1時間かかったわ!」

と、笑った。

義徳はかっこいい。

真島と1番仲が良かったから、真島と一緒にいることが多くて、真島と比べるとあまり気づかれなかったかもだけど、和風のイケメンだ。

それで、和菓子屋だから、ほんとに絶妙な感じ。


「マジでお疲れ様!車 サンキュな!」

「ってか、腹減った~!早く食おうぜ」


4人で大盛りのラーメンを食った。



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