第20話 BLじゃないから
「かんかん!」
そう呼ばれて顔を上げると湊が立っていた。
「えっ!よく発見したな~!こんなごった返してんのに!」
「いや、偶然!!早く着すぎちゃったから、まだ橋に行くには早いしと思って、どっかに座るとこねーかな~って探してたんだ」
そう言うと、隣りに腰をおろした。
桜の木の根もとに男2人で肩を並べて座っている。
なんか、BLカップルっぽいな。
湊は、座ってから何も喋らずスマホをいじってたから、俺も喋らずに缶ビールを飲んでいた。
「瀬原田先輩のどこが好きなん?」
スマホを見ながら、突然そう言った。
「ゴホッゴホッ!」
むせた……
ってか、なに!このタイミング!!
「どこって、もちろん全部!!」
「全部って、かんかん 瀬原田先輩の何を知ってるってゆうんだよ?」
そう言われると……何も知らない……
「顔とか、スタイルとか、全体的な雰囲気とか、声とか、笑い方とか、そうゆう感じかな」
「つまり、外見が かんかんの どストライクってことだな」
外見が、って言われると、外見だけなのか?って言われてるみたいだな。
「高校の頃、瀬原田センパイとは話したこともなかったし、だから、この間、マジで初めて喋ったくらいだけど、瀬原田センパイ 俺のこと覚えててくれて、神田くん?って、言ってくれて、
ただ外見だけが好きなのかもしれないけど、湊みたいにセンパイのことを理解できてもいないけど、だから もっともっとセンパイのことを知りたいって思うのは、ダメなのか!?」
俺は、湊の方を向いて勢いよく一気に喋り、湊は俺の勢いに圧されて仰け反っていた。
「なぁ、俺を通りがかりの他人が見たら、ボーイズ・ラブで押し倒されそうになってる人って感じに見えるだろうな」
そう言いながら体勢を戻すと、俺をじっと見た。
「笑うとこなんだけど」
と、真顔で言う。
「あ!いや、ごめん!俺、BLじゃないから!」
「わかってるよ。俺だって違うわ!!
知らないから、知りたいって、ま、純粋な恋心なんじゃね~の。かんかん」
そう言うと、あははははと湊は大笑いした。
なんだか、急に恥ずかしくなって、コナンの新一風に、ば〜ろ〜と言ってみた。
「さぁ~て~と!そろそろ、待ち合わせ場所へ行くか!」
と、湊が立ち上がり、
そうだなと俺も立ち上がって、2人してケツの砂をパンパンと払って、土煙をまき散らした。
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