第19話 花火大会
土曜日
花火大会の会場の河川敷は、まだ18時だというのに、人でごった返していた。
有料の観覧席もあるが、大抵の人は、土手からちょっと下がった芝生のところにビニールシートを広げたり、折りたたみのイスを持ってきたりして花火を見る人が多い。
その場所取りを昼くらいからするようなことを聞いたことがある。
ヒマ人だな~と思っていた。
でも、もしも今日、瀬原田センパイと花火デートだったとしたら、俺は間違いなく朝から場所取りにここへ来ていただろう。
花火大会は、19時から。
1時間前のこの時間でも、こんな状態なんだな~。
こんな18時にここに来る必要はなかったけど、家にいても なんだか落ち着かず、早めに家を出てしまった。
あいつらとの待ちあわせは、橋のたもとに19時。
まぁ、花火を見るのが目的でもないし、かと言って義徳は車を出してくれるから、俺らだけが酒を飲むのも申し訳ないし、とりあえず集合して花火をちょっと見てから、ラーメン屋でも行くか!って話になっていた。
少し歩いて、土手通りの大きな桜の木の下に腰をおろした。
彼女連れだったら、彼女の浴衣を汚さないように、とか気をつかうとこだけど、俺の短パンなんか汚れようが別に構わないから、ただ地べたに座った。
コンビニで買ってきた缶ビールをあけて飲んだ。
センパイの会社の飲み会は、18時からってことだから、そろそろ乾杯してるところか。
目の前を歩く人たちは、ほぼほぼカップルさんだ。
中学生か高校生か?ってくらいのカップルがやたらと多い。
微笑ましい感じ。
初チュウとかを狙ってんのかな?なんて思ったりして。
いいな~青春だな~。
俺の高校時代は、瀬原田センパイに片思いしているだけで、なんの女っ気もなく、部活に明け暮れ、あいつらと遊んでるだけの高校生活だった。
ってか、高校の時に彼女いなかったの、湊と俺だけか。
真島は、ほんとに切れ目なくとっかえひっかえ女がいたし、義徳は高2の時に後輩に告白されて付き合ってたし、ひらりんは同級生と半年くらい付き合ってたよな。
向こうから告白してきたのに、やっぱ別れよ!ってフラレたって。
ちょい可哀想な感じだったけど。
あ~あ。
なんか、女の子とラブラブな高校生活とかしたかったな~。
とにかく、俺は瀬原田センパイひとすじだった。
誰にも言わなかったし、大学生の時には数人と付き合ったりしたから、センパイひとすじじゃねーじゃん!って言われたけど、俺の心の中には、いつも瀬原田センパイがいたんだ。
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