第18話 俺の仕事

 月火水曜と3日間で、宮城、山形、秋田の東北3県のメーカーさんを廻った。

俺が担当しているお菓子メーカーさんは、誰もが知っている有名企業とかじゃなくて、家族経営に毛が生えたくらいの小規模な会社。

オシャレなお菓子ではなく、いわゆる“ジジババ菓子“と呼ばれるもの。

就職して、この部署に配属されるまで、自分ではスーパーとかでも手に取ったことがなかったような お菓子たち。 

透明なフィルムで個包装されている 一口サイズの最中とか、パイとか、カステラとか、半生菓子というのだが、お年寄りが日本茶を飲みながら つまむようなお菓子。

若者は、これは買わないなぁって思う。

今、50代の母親に試供品でもらったお菓子を持って行っても、まぁタダで貰えば喜んで食べるけど、買ってまでは食べないとか言われてしまう。

う~ん……そうか~。

でも、まぁ、そこは仕事として割り切っている。

若者をターゲットにするわけではなく、お年寄りが購入したくなるような物を、担当しているメーカーさんに作ってもらい、それを売る先を開拓するのが、俺の仕事。

仕事は忙しくて、毎日クタクタで、外食するか、弁当を買って帰るか。

アパートに帰って、風呂に入って寝る。

そんな毎日。

彼女いないけど、彼女いなくて 寂しいって思う時間もないくらい、疲れてただただ寝ていることが多い。

25歳の健康な男子が、こんなでいいのかな。


そんな時に、瀬原田センパイと再会した。

瀬原田センパイは、相変わらずキレイで、いや 高校生の頃よりももっと、キレイな大人の女性になっていた。

高校から約10年間付き合っていた若保先輩と別れたばかり。

瀬原田センパイと、もしも付き合うことができるとしたら、こんなチャンスは今しかないだろう!!

今、動かなくて いつ動くんだ!!


まずは、今度の土曜日の、センパイの会社の飲み会で、センパイをオオカミの群れから守ること!!

それが最大のミッションだ!!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る