第14話 カウンターくらった

 なんとなくだけど、湊は早く着ている様な気がした。

ギリギリくらいに魚七に着けばいいかって、コンビニで10分くらい時間をつぶして行ってみた。


店の暖簾をくぐると真正面のテーブル席に湊が1人で座っていた。

マジか……

「おつかれ~。電話 サンキューな!」

そう言って、湊の向かい側に座った。

「お疲れ様。義徳、ちょっと遅れそうって。

あと、ひらりんも少し遅れるってさ」

マジか……湊と2人は気まずい……

「先にはじめようぜ」

さすがに、ただ2人を待っているのは無理そう。

あぁ、そうだなと、湊が生大2つ頼んだ。

生大が運ばれてきて、じゃ、おつかれ~と2人で乾杯して飲んだ。

湊は一口だけ 口をつけると、

「かんかん、高校の時、瀬原田先輩のこと好きだったんだな」

カウンターくらって、ちょっとむせた。

「ゴホッゴホッ!…… あ、うん、そう。

……俺、中学バレー部だったし、高校でもバレーやるつもりでいたんだけど、なんとなく部活見学でいろいろ廻って見てて、弓道場で瀬原田センパイ見て ひとめぼれして、弓道部に入ったんだ。

不純な動機すぎて、誰にも言えなかったけど。

あはははは~!初めて話した」

「俺、なんとなく わかってたよ。

自分も好きだから、だと思うけど。

かんかんの視線の先に、いつも瀬原田先輩がいたような気がしてた」

えっ??マジで??

「でもさ、若保先輩のガードがマジでキツくて、たぶん俺 一回も話したことなかったと思う」

「俺も、そう。部活帰りもさ、若保先輩方向違うのにさ、わざわざ瀬原田先輩んちまで一緒に帰んの。俺、うしろからチャリで、抜かすにも抜かせないし、マジでイラついてたわ!若保先輩に」

「あはははは~!!マジかよ~!!

湊が若保先輩にイラついてたなんて、これっぽっちも感じなかったな~!あはははは」


15分過ぎた頃、駅で一緒になったと、ひらりんと義徳が店にきた。


先週の瀬原田センパイがいた飲み会では、湊はあまり飲まなかった。

最初から、センパイを送って行くつもりでいたのだろう。

今日はだいぶ飲んでいる。

生大を二杯飲んだあとから、焼酎にかえて、ひらりんも焼酎好きだから、2人で水割りを飲みだした。


「で?ぬけがけなしな~!なんて、中学生みたいなこと言ってね~で、誘ったもん勝ちでいいんだよな!!俺、来週飲みに誘うつもりだけど」

と、湊が言った。

「いいだろ!ってか、俺も誘うけどね!!」

義徳が笑って言った。

「えっ!俺も!俺もセンパイ誘うわ!!」

俺は慌てて言った。

「じゃ、それぞれ、これで先輩をおとすぞ!って企画を練って、誘ってみようぜ!先輩が誰の誘いを受けようと恨みっこなしでさ」 

と、ひらりんが言った。

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