第9話 ラインに招待

 瀬原田センパイは、30分後くらいに目を覚まして、でもまだ酔っ払ってるからか陽気だった。

真島がセンパイにライン交換してくださいってお願いしたら、いいよ~!って。

とりあえず、俺らのグループラインに招待した。

やり方がわからないって言うから、俺がセンパイのスマホをいじらせてもらった。

そんなにジロジロ見るつもりもなかったけど、

ラインに登録されているのは、

『おとうさん』

『おかあさん』

『おねえちゃん』

だけ?

若保先輩に、スマホも監視されたり、制限されてたのかな。

「センパイ、グループラインに招待したんで、よろしくおねがいします!」

「ありがとう!家に帰ったら、やってみるね」と、笑った。


歩いて帰れるってセンパイは言ったけど、タクシーで帰ってもらうことにした。

俺はすげー送って行きたかったけど、方向が一緒だからって、湊が一緒にタクシーに乗って帰った。

俺たち4人は、センパイが相変わらず美人だったな~とか、寝顔可愛かったな~なんて話をしながら駅に向かい、解散した。



 アパートに帰ってから、センパイにラインしようか、どうしようか迷った。

ってかさ、フラレたてホヤホヤの今が、千載一遇のチャンスなんじゃね?

千載一遇なんて言葉初めて使ったけど、マジで、滅多にない二度とないチャンスじゃん!!

失恋の傷が癒えてない今、元彼の若保先輩のことも知っているから、

『若保先輩のことは 俺が、忘れさせてやるよ!!俺に甘えろよ!!』

みたいに口説いたらどうだ??

いいじゃん!いけんじゃね~!!


もう、普通に寝てるかな。

でも、電話をかけるわけじゃないし、既読にならなくてもいいから、とりあえず送っとこうかな。


グループラインじゃなくて、センパイ個人にラインした。


『神田幹太です。

今日は、久しぶりに瀬原田センパイに会えて、一緒に飲めて、嬉しかったです。

また、機会があれば、一緒に飲みにいきましょう。よろしくおねがいします!!』


あはは。

ありきたりな文章送ってしまった……

ま、さすがに、

『俺が忘れさせてやるよ』

は、このタイミングじゃないだろ。


既読


えっ!!!!

速攻

既読になった!!

ちょうどスマホいじってたか?

すぐに返信くるかな~。


何気にスマホの画面を見つめて15分たってしまった……

センパイからの返信は なし か……


既読スルーで、寝ちゃったかな。

まっ、いっか。

とりあえず、風呂入ってこよ。



風呂からあがって、マッパのままスマホを手に取った。


お!ラインきてんな。

センパイからかな。

ん?

俺にじゃなくて、グループラインの方にか。


え!

え~~~~なに~~~~!!


菜月『今日は、ありがとう♡

はじめての飲み会、楽しかったです♡

みんな、1人ずつラインくれたけど、こっちに返せばいいの?

誘ってもらって、嬉しいです。

また、参加させてね~!

おやすみなさい♡』



『みんな1人ずつラインくれたけど』

???

俺だけじゃなくて、あいつらも、センパイにライン送ってたの?

グループラインじゃなくて、個人に?

え~~

それって、俺と一緒で、千載一遇のチャンスってみんな思ってるってことなの~?

あいつら、そんな素振りなかったじゃん!

ってか、俺も、そんな素振りは見せなかったけど……

ヤバいじゃん!あいつらがライバルなのかよ?

え~~~~それは、ちょっとヤダな~。



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