第5話 バージンって

 『バージン』

って言葉は、普通の会話で使う語彙なのか?

一旦おさまってた俺の下半身が、その言葉に過剰反応してる。


関係ないけど、オリーブオイルで、初めて『エクストラヴァージンオリーブオイル』って聞いた時は、なんてエロいオイルなんだ!って思ってしまった。

そのオイルを身体に塗ったくって、ローションプレーするのか?

いや、処女の秘部から採取した神秘の液体!

エクストラって言ってんだし!!

なんて、謎の妄想が頭を駆け巡ったりしたもんだ。

男なんて、だいたいそんなもん!!


『私、バージンで、飲むとエロくなっちゃう』


そのワードだけが、頭の中をグルグルグルグル回っていた。


「じゃ、軽めにしときましょう。僕も、そんなに飲まないんで」

と、湊が言った。

すげー!!

どうしてそんな冷静な返しが出来んだよ!!

なんの下心も感じさせない スマートなお誘いだな~!!

「うん!ありがとう!」

と、センパイは笑った。


俺らが、飲みに行くのは大体いつも決まった店。

大衆的な居酒屋さんだ。

3店くらいのローテーション。

ひらりんが予約を入れてくれて、空いてるどこかって感じ。

どの店も駅前近くの繁華街にあるから、とりあえずそっち方向へ歩きだした。

「ひらりん、今日、店どこ?」

と、真島が聞いた。

「食いしん坊」

じゃ、一応6人に変更って、電話した方がよくね~?なんて話して、歩きながら、ひらりんが電話してくれた。

湊と並んで前を歩くセンパイを、改めてまじまじと見た。

本当に本物の瀬原田センパイ。

7年ぶりに見たセンパイは、大人の女性って感じだった。

でも、昔と変わらずに清楚なお嬢さんという感じ。

水色の、薄いテロテロとした生地のひざ丈スカート。

上は、袖がヒラヒラとしてる白い半袖のカットソー。

髪型は、昔より短めのセミロングヘア。


俺がジロジロ舐めるように見てる視線を感じたのか、突然センパイが振り返った。

「神田くんて、今も『かんかん』なんだね~。

平林くんも、『ひらりん』なんだ~。

カワイイよね!その呼び方!」

と、笑った。


カワイイよね!!って。オレ?ひらりん?どっち?

え~え~、カワイイのは、あなたの方ですよー!!


俺の理想の女性は、瀬原田センパイみたいな人。

ずっとずっと そう思ってきた。

瀬原田センパイみたいな人じゃなくて、

瀬原田センパイだ!!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る