第11話
床にペダルがはりつくまでアクセルを踏み続けていると、やがて、前方にパーディントンのリムジンが見えてきた。
私はショットガンに弾丸を補充し、左手に持ち替えた。
パーディントンは並びかける私を振り切ろうと、車を必死で右に左に蛇行させる。
ショットガンの銃口を窓から突き出し、私はその後輪に狙いをつけた。
相手のリムジンが接近した刹那、私は続けざまに引き金を絞った。
耳を覆うような炸裂音とともにリムジンの後輪が吹っ飛び、バランスを失った車体は支えようもなく横転。
反対車線へ飛び出し、逆さまになってやっと停まった。
車から降り、私は横倒しになったリムジンへ駆け寄った。
パーディントンが運転席から這い出そうともがいている。
上体だけ出したところで突きつけられたショットガンに気づき、憎々しげにうめいた。
「むう、貴様さえ現れなければ!」
苦痛に顔を歪めている。
「くそっ、脚が折れたらしい」
「なぜランドールを殺した?」
「あいつめ、私をコケにしおって。鉱山会社へプラチナ鉱脈に関する最終報告書を送るのを遅らせるだけでよかったものを」
悪びれもせず、身勝手な怒りをぶちまけている。
「それでも情をかけて山小屋へ監禁する程度で許してやれば、どうだ。我々を出し抜いて逃げ出そうとしやがった。だから殺したのさ。おとなしくしていれば、命どころか充分な地位も収入も約束してやったというのに、バカな男だ。たかが雇い主への義理立てのために、一つっきりの命を失っちまったんだからな」
怒りがこみ上げ、私はみなまで聞かず、ショットガンを全弾撃ち尽くした。
最後の理性でかろうじてパーディントンを外して撃った散弾は、文字通り路面とリムジンを穴だらけにした。
凍りついて声も出ないパーディントンを運転席から引きずり出し、私はその白茶けた顔面を力任せに殴りつけた。
「貴様が殺したそのバカは、俺の友達だったんだ!」
パーディントンをリムジンの後部席へ押し込み、腕時計を見ると、店を出てから30分ほど経過している。
そろそろ警官隊も到着しただろう。
私はナルティとシェリーの隠れ家へリムジンを走らせた。
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