第9話

 街中では奴らも容易に手を出せまい。


 私はラングラーの速度を下げ、つけてくるリムジンの様子を伺った。


 間に二、三台の車を挟み、同様に二台とも速度を落として尾行してくる。


 やがて、少しずつ街並みが途切れ始めた。


 いくつ目かの交差点で、私はラングラーを郊外の方角へ向けた。


 間にいた車が反対方向へ行ってしまったので、今や我々の間を阻むものは何もなくなった。


 対向車もいない。


 道路を走っているのは我々だけだった。


 そろそろ来る頃だろう。


 私は徐々にラングラーの速度を上げていった。

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