第3話
主の言っていたナルティの山小屋は、翌日すぐに見つかった。
周辺に小屋が一軒しかなかったというのはもちろん、真っ赤な屋根と、窓に銃弾の穴だらけとくればなおさらだ。
ラングラーを近くに停め、私は小屋の敷地内へ入って行った。
敷地はうっそうとした林に囲まれかなりの広さだが、小屋自体は粗末なものだった。
納屋の前を横切り、私は小屋へ近づいた。
近づくにつれ、辺りにそれまで感じなかった異臭が漂い始めているのに気づいた。
かすかではあるが、嫌な匂いだった。
最初は林のどこかで動物の死体でも腐っているのではないかと思ったのだが、すぐそうでないのがわかった。
臭気は、明らかに小屋の内部から漂ってくる。
ドアを引いてみたが、ノブはしっかり施錠してある。
表から入るのは無理なようだ。
裏へ回ってみると、ドアがわずかに開いていて、異臭はそこから漏れてくるのだった。
キッチンへ通じるそのドアから中へ踏み込んだ瞬間、私の視線は床へ釘付けになった。
板張りの床に、黒っぽい染みがまるでスープ皿でもぶちまけたかのように広がっている。
血だ。
乾いて変色しているが、間違いない。
床を覆った血痕。
そして、異臭。
私の頭脳は確実に一つの結論を導き出そうとしていた。
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